②白うさぎと黒猫――②

 グリーンアイランドには、蜂蜜が湧く泉やドラゴンが卵を落とす野原、ヒトクイバナが並ぶお花畑はありますが、どこにも林檎の木は生えていません。召喚魔法でも流石に植物は呼び出せず、ないものを一から生み出す魔法はさすがのヒスイも使えません。林檎を手に入れるには、下界まで降りなければならないのです。


「あと…………おうた、ききたい……」


「歌……? 子守歌、歌ってほしいってことー?」


「んーん……やまで、いつも、きこえてたのがいい……」


「山って……モノクロ山のこと?」


 ヒスイが尋ねると、ノアはゆっくり頷きました。

 モノクロ山は、ノアがこのお城に来る前に住んでいたところです。


「あれきいたら……いつも、よくねむれてた……」


「ふーん……何かの動物の声かなー……」


 モノクロ山には果物がりやすく水も澄んでいるため、動物が集まりやすいのです。林檎の木も見つけられるに違いありません。


 下界の様子を思い浮かべるヒスイの中に、大きな不安と、たった一粒の淡い期待が生まれました。


「……ちょっとだけ……手伝ってくれたりしないかなー……」


 頼れる場所。それは忘れもしない、青々とした森の奥深くに建つログハウスでした。

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