①魔王と出逢ってしまった木こり――②

++++++++++



「ふー、こんなもんかな……」


 ほんのりと日が傾き始めてきた頃、アイは斧を下ろしました。

 切り倒した木をロープで一つにまとめます。そうしていつも木を引きずって街まで歩いていくのですが、その途中でアイはびっくり仰天しました。道端に何か大きなものが転がっているではないですか。


「うぅ……」


「だ、大丈夫か!?」


 転がっていたのは人間ヒトでした。

 引きずっていた木をほっぽって、アイは倒れている誰かさんを揺さぶります。エメラルドグリーンの長い髪を三つ編みにして垂らすその誰かさんは、アイと同じくらいの年頃の男の子でした。


「おい、聞こえるか⁉ しっかりしろっ!」


「はち……つ……」


「え? 何だ⁉」


「はちみつ……いっぱい……たべ、たい……」


 そう言って、男の子はアイの手の中でガックリと力を失いました。


「……蜂蜜はちみつって……食いモンだっけ?」


 いびきをかき始めた男の子の顔を眺めながら、アイは数秒間真剣に考えてしまいました。

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