〜本章#4〜
――3階。
トイレはすぐ目の前にあった。中から暗めの赤色をしたワンピースを着た少女、花子さんが出てきた。
「ハンカチある?」
花子さんが言った。緊張感のない、天真爛漫な感じの子だった。
僕はトイレに向かって進んだ。一緒に行こうとした和樹と仁美を花子さんが止めた。
「仁美と和樹は私のそばにいて。伝えたい事があるの。それに私はトイレには行かない。手、洗ったばっかりだし……翔!」
花子さんが寂しそうな顔をしながら僕を抱きしめ、耳元でこう囁いた。トイレの個室の先に美紀の部屋そっくりな空間があると。その部屋は本当の花子が作ったもので、自分もあの男も入れないのだと説明した。
「そうだ、切り札がある。1枚はあいつを破滅できる。1枚はあいつを救える……さあ行って! その後の事は美紀が教えてくれるから。」
花子さんから、新聞の切れ端と、真ん中できれいに折りたたんである写真を渡された。
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