〜本章#22〜

 もう1人の男は肌が触れ合ってから少しずつ、黒いもやもやとした存在に変わっていた。

「内容は?」

 花子さんが聞いた。厳しい口調だった。

「消滅!」

 体にまとわりついていた黒いもやもやはすでに消えていた。

「家族に一生楽な暮らしを……」

 本当の花子か男か、どっちが言った言葉かわからなかった。男はその後すぐに、指示された通りに誓いを立てた。「比較的健全な精神状態……」から始まる簡単な誓いだった。

 男は消えた。とてもあっけない最後だった。静かな拍手が聞こえた。僕は、仁美と和樹のところに駆け寄って、双子を抱きしめた。和樹が鼻をすすりながらまた僕を罵った。

「終わったんだね……美紀ちゃんには会えた?」

 仁美に聞かれ、僕は頷いた。ここにいたと言って、自分の胸に手を置いた。

「ずっと一緒にいたんだ……」

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