〜本章#15〜

 僕たちも屋上へ向かった。そこには仲間たちが集結していた。鬼の力ではない。花子さんが呼んだのだと思った。みんな、入り口側に固まっている。その先には光る照明に照らされた、花子さんの後ろ姿とその奥にスーツ姿の男が見えた。

 仁美は口裂け女のそばに行って、なにか話をしている。和樹は人体模型と骸骨男に抱きつかれていた。

 花子さんは少し焦っているようだった。男が思い通りにならないらしい。

「口が利けるように顔だけ作ったつもりなのに、自分で再生しちゃった……あんたにらめっこに負けたんだから、誓いを立てなさいよ。」

 花子さんが言った。男は首を横に振った。

「私は君とは勝負してない。」

「じゃあ改めてやりましょ。」

 男はまた首を振った。花子さんが怒って、蚊をつぶすようにその場で手を叩いた。それに合わせて、男の体もパンっと音を立てて原型がなくなるほど小さく潰れたが、その次の瞬間には元通りに戻っていた。

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