〜本章#11〜

「私もある事件を知ってるぞ、少女が男に殺された……」

 男がそう言った。その後、事件の詳細をこと細かく話し出した。汚い中年に襲われ、使われていない学校のトイレに閉じ込められた……本当の花子の恐怖に引きつった表情を見ると、デタラメを言っているようには思えなかった。

「死んだ後も体が腐るまで何日も、一日中やり続けて……触れることもできないくらい腐敗したらビニールで覆って、その場で燃やした。火の中から再び現れた少女は、キラキラと輝いて見えた。すぐに水をかけて半焼けの少女をもう一度やってやった。温もりが戻ってきたように感じた。体が冷え切るとまた火をつけてやった。それを何回も何回も繰り返した。結局灰になるまでやった……本で読んだ、私はこれを本で読んだ。お前の事だ! お前だお前だ! ははははは!」

 男は狂ったように笑っていた。本当の花子はやめてと言いながら泣いていた。僕もその笑い声を聞きたくなかった。自分の心と体が壊れていくのを感じた。もうおしまいだとわかっていたけど、救いがほしかった。

「花子さん助けて!」

 僕は大声でそう言った。耳をふさいで泣いている本当の花子にまたも異変が起きた。必死になって、それに抵抗していたが、勝てないようだった。次の瞬間には美紀が生み出したあの花子さんの姿に変身していた。

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