〜本章#10〜
「にらめっこしましょ、笑ったら負けよ……」
本当の花子が男に向かってそう言い、それから壁に触ると黒い穴が開いた。どうやら出口のようだった。入口は僕たちみたいな人間にしか入れなかったから、この状況を待っていたと、花子が言った。
男を勝たせるわけにはいかない。僕はポケットから写真と新聞の切れ端を出した。
新聞には『被疑者自首後急死』と書いてあった。
写真をしまって、新聞を丸めて男に投げた。新聞は不自然に飛んで花子の手に収まった。
男にそれを差し出した。男は立ち上がって新聞を読むと愕然として、倒れ込むように膝をついた。
「戻る体がなくなった。」と言い、その顔はゆっくりとこっちを向いて……にこっと笑った。また泣き顔に戻してから花子のほうを見て、新聞を悔しそうに破り捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます