〜本章#2〜

――2階。

 ゲームに出てくるアバターのような霊が30人弱廊下の奥からやって来た。全員顔も背丈も美紀に似ていた。

 そのアバターに案内され、口裂け女に会った。長い黒髪と大きなマスクでほとんど顔は見えなかった。前を紐で縛った茶色いロングコートを着て、右手に刃も取っても40センチ以上ある巨大な暫定鋏を持っていた。教室でかるたを探すゲームもさせられたが、仁美が探している『鬼に金棒』がどうしても見つけれなかった。

 その後、あの叫び声が上がり、口裂け女に異変が起きた。男が乗っ取りを始めたのだ。口裂け女も必死に抵抗していた。口裂け女の裂けた口から、表面がドロドロに溶けた男が出てきた。男はかるたを見つけられていないという理由で、仁美に体をよこせと言ってきた。

「仁美……契約しろ。人生をやり直したいんだ。お前の体をくれ……そうすれば俺はただの夢の亡霊ではなくなる。仁美として新しい人生を生きたいんだ。」

 アバターの1人が「そうだ、ヒーリング!」と思いついたように口にすると、他の子たちもそれだそれだと賛同した。

 アバターたちは一斉に光の球体に変わり、抜け殻になっていた口裂け女の体の中に入っていった。すると、口裂け女は縦に向かって、どんどん膨らんでいった。

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