機械仕掛けの不条理

Slick

第1話

この世は不条理

誰もが言う

格差、貧困、富の独占

でも私達は、

不条理の上に生かされて

それで満足してやがる



テレビが叫ぶ「社会問題だ」

新聞が語る「社会問題だ」

僕らの理性も、かく語る

コンビニにある募金箱

理性は1円で満たされる


不思議なものじゃ、ありません?

テレビ見るとき、ドキュメンタリー

その時確かに僕たちは

何かを考えるはずなのに、

電源落として暗いスクリーン

翌朝にゃすっかり忘れてる


もちろん立ち上がる人もいる

第一線で働く人もいる

でもそれはスクリーンの向こう、

紙面の向こう、

決して僕自身じゃない

何億光年も遥かなる

どっかの知らねぇ『偉人』野郎で


不条理について何か考えただけで

偉いことした気になって

緑の箱に1円投下

そして満たされる理性の欲望

機械仕掛けの単細胞

有機体の練り上げた不条理か?


僕たちは一体何をした?

一体どれだけ、苦しむ誰かの役に立った?

自己満足で社会を回し

社会の自己満足を掻き立てる


貴方だってすぐに

こんな詩なんて忘れるさ

分かったふりしてすぐ消して

さぁ仕事に行きましょか




まぁ僕も同じですけどね




何も出来ない、と、何もしない

どうせ同じことなのさ

無力の意義をこじつけて

それに酔いしれるやじろべえ


僕は無力

貴方も無力

僕たち無力

社会は無力


機械仕掛けの不条理は

そう、実数解を弾き出した



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