エピソード30【ミッション・スタート】

「ここがそうか...」

「個人でオークションやるんだね」

「しかも、自宅でだぜ」

わたしとレイは見晴らしのいい宿の窓から

お金持ちの宮殿を見ていた

ある、当主がオークションをやると

ヒロムさんが

アオイさんとアカネさんと

一緒に調べてくれた。

ここのオークションを開く当主は

自分が集めた色んな

コレクションを高値で出して

売るために色んなお金持ちの人達を

集めてたまにこうして自宅で集まって

盛り上がってるらしい。

「ここは、お金持ちなら

誰でも、入れる。

その代わりに警備が凄い慎重で簡単には

いかない」

「なるほどな、しかも

警備の奴らは凄腕ぞろい」

だから、もしコレで失敗したら

次はないかもしれない。

「そいつの名前は?」

「ジュンペイって名前」

レイは自分の手を見た。

「俺はあの時呪われた

その時、呪いの匂いを覚えてるから

誰がジュンペイかって分かる」

流石レイだ、アカネさんも

ジュンペイが闇属性の魔法を使うって言ってたから

呪いを使えるのは間違いない。

「仮にもし匂いで分からなくてもここの

観客名簿を見ようぜ」

「それは、最後の手段だよ」

そして、問題は。

「どうする?魔法と体術だけでやれるか?」

「いや、アカネさんの話を聞いたけど

結構強いらしい。

それに、護衛も居るよ

体術で乗り込むのは厳しいし

それに、わたしとレイの魔法はまだ制御が

掴めてない」

こうなったら。

「不意打ちだな

俺の事は死んだと思ってるし

まさか、ネロがやってくるなんて思ってないだろな」

「うん、それに自分の手でやらないと気が済まない」

レイの影響かな。

「とにかく、まずは...」

わたしとレイは折りたたみ式の手鏡をテーブル

に置いた。

「えーと、魔石で充電して...」

ヒロムさんの手鏡の番号を入れる。

「なぁ、コレでいいのか?」

「そのはずだけど...」

しばらく待ってみる。

フワァアアン

「あれ?ネロとレイじゃないか!

どうしたんだ?」

「おい!写ったぞ!」

これは、鏡で遠くの人の顔が映り込んで

会話する事ができる

錬金術と魔法の装置で

アルケミスト国の書物を読みながら

わたしが作成した物。

だけど...。

「おい...あんまりそっち...様子...」

「やっぱり、まだ未完成だね」

ちゃんとした作り方をしてないから

途切れてしまう、写りが悪くて

映像も声も途切れてしまう。

ヒロムさんに送ったはいいものの

ちゃんと会話できると良いんだけど。

「そっちから...きこ...」

「ああ、もう!ちゃんとせめて

声を聞かせろ!」

ドンッ

レイは、少し鏡を叩いた。

「ちょっと、砕けて破片が飛んだら危ないよ」

「すまん」

ザザザザザザ

「あれ?映像の方は見えたり消えたりするけど

二人の声はハッキリ聞き取れるぞ!」

「えっ?なんで?」

壊れてる訳じゃないのに

何で叩いて正常になったんだ?。

「まぁ、映像は途切れるけど

まともに会話できるならいいや」

「そうだね、さてヒロムさん

ジュンペイの事だけど...」

ヒロムさんは言った。

「ああ、オークションの事だろ

僕達も今何か考えてるんだ」

「いや、実はネロと一緒に

そのオークション会場の近くに

張り込んでる」

顔を見なくても分かる絶対固まってる。

「はっ?何故だ?」

「俺とネロがはっ倒す」

「いや、待て!二人だけで

危ないだろ!せめて僕や人を集めるから

待ってくれ!」

「ヒロムさん、オークションが始まるのは

明日なので間に合いません」

「そう言う訳だから、叔父さん

そいつの事倒してくるは」

「いや、ちょっとま...」

ブツンッ

「あっ!電源が切れた...」

「まぁ、後で怒られようぜ」

「そうだね」

よし、準備を始めよう!。


わたしとレイは

オークション会場に向かった。

今は夜だけど、屋敷の明かりのおかげで

周りが明るい。

「どうも、おや、これは美しい」

そう、言ってわたしの手にキスをするボーイさん。

わたしは青いドレスを着て

レイは雄専用のタキシードを着て胸にサラシ巻いてる。

わたしはレイに左手でお尻の方を軽々と

持ち上げられてる。

「あら、どうも」

「俺の嫁だから、当然だろ?」

「お似合いですよ。それではこちらに」

そう、言われてわたしとレイは入った。


「案外すんなり行けたな」

「ここは、お金持ちなら誰でも入れるからね

その分、この中に入ってからの方が大変だけど」

レイは少しニヤニヤしていた。

「どうしたの?」

「いや、前はあんなに嫌がってたのに結構ノリノリだな」

「言ったでしょ、間違えられるのはやだけど、騙すのは好きって」

だけど...。

「わたしをキミの手に座って持ち上げる必要ある?」

「いいだろ、かわいいだから」

そういえば、レイはわたしのドレス姿をずっと見てたな。

「自分で歩いていい?」

「いや、はぐれると大変だから、このままで」

鼻息荒くしながら、わたしを見ても説得力ないよ。

「それで、そのジュンペイって人いるかな?」

「待ってくれ」

レイは目を閉じた。


あの時の感覚...。

一瞬だけど、あの時の呪いの匂いは覚えてる...。

匂いの痕跡...。

「見つけたぞ」

「何処にいるの?」

俺は目で周りの人混みを良く観察して。

「あいつだ、灰色のオオカミ族だ」

俺の嗅覚が確かなら、あいつで間違い無い。

「次はわたしの番だね」

ネロは無言で集中した。


わたしは周りの声を聞きながら

ジュンペイらしきあの雄に集中する。

「どうも、いつもありがとうございます」

誰かと話してる?。

「いえ、こちらこそ。あなたが手伝ってくれるおかげで、こちらも簡単に事が進みます」

「そう言ってもらえて嬉しいですよ」

事が進むどういう事だ?。

「ジュンペイさまは今回のオークションは

どうなさいますか?」

「今回は品数が少ないから

参加しよう、気に入った物があるかもしれない」

「おや、めずらしい。

それでは、最後にオークションに出し

品物の確認に行ってまいりますので

もうしばらくお待ちを」

何か個人的な事を言っていたけど

あいつがジュンペイ...。

「なぁ、何か聞き取れたか?」

「呪いの匂いはあの雄だね?」

わたしは念の為に聞いた。

「ああ、間違いない」

「実は、多分ここの屋敷の当主かな?

その人と話してた時にジュンペイって

呼ばれてたから、あいつだよ」

わたしとレイはお互い顔を見合わせた。

「流石だな」

「キミのおかげ」

レイはジュンペイの方を見た。

「おい、何か白い猫族の雌の人と

ジュンペイと同じ灰色のオオカミ族の雄が来たぞ

あと、何か護衛っぽい奴も」

「ちょっと待って」

わたしはもう一度集中した。

「ねぇ、仕事の話は終わったの?」

「ああ、今の所な。

また、帰ったら新しい商品を頼む」

商品なんのことなんだ?さっきから。

「はぁ...分かった...」

彼女はあまり気乗りしてないみたいだけど。

「兄さん、仕事が終わったらすぐに帰ろう

取引する数が少ないとは言え油断はできない」

「そう、焦るないつも通り堂々としてろ」

護衛の犬族の雄の人がジュンペイに

話かけた。

「ジュンペイ様、あちらで

この前の取引をされた方がたまたま、

こちらに顔を出されていました。

お礼の言葉を直接、伝えたいとの事です」

「分かったすぐに行く」

そう言って、ジュンペイは護衛と一緒に

行ってしまった。

「兄さん!まったく...ゴメンよいつも...」

「いいのよ、気にしないで」

なんだろ、あの二人は?。

わたしはレイに聞いてみた。

「レイ、なにか知ってる?」

「あの一緒に歩いてる護衛は知らねぇけど。

確か、アルケミスト国出身の猫族の妻がいるって

言ってた。それと、多分あいつは

ジュンペイの弟の名前はなんだっけな?

アカネ達も弟はいるって言ってたけど

話に聞いてただけだからあんまり知らないって」

なるほど、弟かぁ。

言われてみたら、ちょっと似てるかも。

とにかく、あいつがここに居ることは

分かった。

「今は待ってる事しかできないな」

「そうだね、とりあえず、溶け込もう。

あんまりジロジロ見るのは怪しまれる」

見失ってもレイの鼻であいつの居場所は

ある程度わかる。

「ねぇ、レイ。ボーイさんは居た?」

「ちょっと待ってろ...」

レイは鼻を使ってボーイさんを探した。

「雪山の時はレイの鼻使えば良かったのに」

「あの時はお前がユキさんが連れ去った時は

吹雪のせいで匂いが無くなってたから。

大和国の時は、場所は聞いてたけど

正確な場所は分からなかったから鼻が効くから

助かった」

本当にレイの鼻はすごいなぁ。

「匂いはここら辺だけどなぁ。

声聞こえないか?」

「ちょっと待って」

わたしは人混みの声の中を探す...。

「見つけた、あそこだよ」

わたしはボーイさんの方向を指さした。

「よし、受け取るか」

そう言って、レイはボーイさんの

近くに行った。

「ちょっといいかな?これってアルコール入ってる?。

彼女は酒がダメなんだ」

「いえ、こちらはぶどうジュースでございます」

そう言って、わたしとレイは

グラスを受け取ったと同時に

彼からさりげなく袋を受け取った。

わたしはウィンクして

彼も笑ってその場を去った。

そして、いったんレイの懐に隠した。

「人気の無い場所に」

「了解」

歩きながら、ぶどうジュースを飲んだ。

「これ、美味いな」

「ハマりそう」

呑気な事を言いながら、人気の無い場所を探す。


「トイレに二人で入ってたら逆に怪しまれない?」

「大丈夫だよ、無駄に広いし

誰か来ても匂いで分かるから」

俺とネロはとりあえずトイレに二人で

入っていた。

誰か近くに来ても、匂いで分かるから

居なくなるまで、しばらく待てばいい。

「この袋だな」

俺は懐から袋を出した。

あのボーイは昼間のベンチで

頭を抱えていたから、どうしただろ?って

ネロが気になっていた所を話しかけた。

話に聞いてみると

息子が重い病気になってしまって

治療が難しかったらしい。

だけど、ネロがわたしなら

治せると言って直接、息子さんを

治してあげた。

その人は泣いてお礼を言ってなぁ。

何か自分に出来ることがあったらなんでも言って

くれって言っていた。

その時、俺がここの屋敷で働いている

証のバッチを着けていたから、

手を貸してもらった。

「あの人のおかげで武器を持ち込めたね」

「ああ、何とかな」

俺は袋の紐を解いた。

シュルルル

「おい、短刀とナイフは良いけど。

これ、デリンジャー2丁って」

俺も段々ネロの影響で銃の種類も

詳しくなった。

これだと、頼りないだろ。

「しょうがないでしょ、あんまり大きいと

目立つもん」

「けどなぁ...」

大丈夫かよ、これ...。

「まぁ、しゃうがねぇか...」

頭に一発撃てばさすがに大丈夫だろ。

「とにかく、早く準備しよ」

ネロはスカートをめくって

太ももの所にナイフと銃をしまう

ホルダーを身に付けた。

「ヒュウ、いい足」

やべぇ、熱くなる...。

「こら、もっとお上品に」

「やだね」

俺はネロに近ずいた。

チュッ

そして、俺はネロの唇を奪った。

「こんな時に?」

「お前だって笑ってるだろ?」

ネロもどこか嬉しそうだった。

「そのまま、もっと積極的になってくれ」

「気が向いたらね」

「連れないなぁ」

まぁ、前に比べたらマシかな。


俺とネロはオークションをするための部屋にやって来た。

「どのぐらいで席を立つか、わからねぇけど、

とりあえずは、ここで見張ってよう。

匂いで分かるから、安心しな」

ジュンペイは55番の小さいプラカードを持っていた。

「ねぇ、レイは欲しいものある?買ってあげるよ」

ネロは32番のプラカードを持ちながら俺に聞いてきた。

「ジュンペイが目的だから、別にいいよ」

「お金持ってるから、買ってあげるのに」

いや、別に興味ないし。

「さぁ、皆様、早速はじめましょう!」

全員がどんな品物が出てくるのか

楽しみにしている中。

俺はジュンペイを見張っていた。

その時、オークションが始まったばかりなのに、

ジュンペイに護衛の奴が何か話しかけていた。

「なぁ、ネロ、アイツらの話聞こえるか?」

「ちょっと待って」

そして、ネロは目を閉じて、集中して

聞き耳を立てた。

「どうやら、何かトラブルがあったみたいだよ」

ネロがそう言ったら、ジュンペイと

他の二人の妻と弟も立ち上がった。

「ここを出るみたいだな」

「どうする、チャンスかな?今なら

仕留められるかも」

俺も同じ事を考えていた。

「ジュンペイ達がここから出たら行こう。

なぁに、俺の嗅覚で歩いた場所はわかる」

そして、ジュンペイが扉を開けて

この場から去って行くのを見守った。

「よし、行こう!」

「分かった」

待ってろよ、ジュンペイ。


「ここがそうなの?」

「ああ、この部屋に入った」

匂いの跡を痕跡を道標に歩いた。

そして、俺とネロは銃を構えた。

「なぁ、文句言ってすまないけど...。

これ、大丈夫か?」

ホントに小さいなこの銃。

「大丈夫だよ、これでも銃だから

急所に当たれば、流石に命落とすから」

なんか、サラッと怖いこと言ったけど、

今はスルーだ。

「てか、ここはわたし達がさっきまで

休んで料理とか、飲み物飲んでた場所じゃない?」

ネロの言う通り何か違和感がある。

「とにかく、入ろう」

ガチャ

ギイイイイイイ

そして、俺とネロは扉を開けて入った。

少し、離れた場所にジュンペイは居た。

「さっさと、しろ時間がもったいない」

こいつ、似たような状況が沢山あったんだろうな。

なれてやがる。

「ん?お前は...」

ジュンペイは俺を見て少し眉間にシワを作った。

「なんだ、生きてたのか」

「ああ、結構危なかったけどな」

「わたしを無視するの?」

ネロが話かけると、ジュンペイは少し驚いていた。

「ん?、ああ、これは失礼...

しかし、ホントに可愛い顔をしてるな

気を悪くしないで欲しいが、ステキなレディだな」

「いいよ、褒め言葉としてもらっとく。

けど、あんたはここで終わりだよ」

俺とネロは銃をかまえた。

「その、結末には興味があるが...」

バッ

周りからぞろぞろ、銃を持った、警備兵たちが出てきた。

「ここの、主人とは長い付き合いでね。

彼らも私の命令を良く聞いてくれるよ」

こんなに、居ると身動きが...。

「おい、ジョンは私と一緒に来るんだ」

「はい、ただいま」

ジョンと呼ばれた、あの犬族の護衛はジュンペイの隣に立った。

「それでは、後は頼むぞ」

そう、言って二人は行ってしまった。

「悪く思わないでくれよ。これも仕事なんだ」

ここまで来て...。

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