エピソード28【カップルの集まり】
「ここが、プールかぁ...」
色んな、獣人達が遊んではしゃいでいる。
俺たちみたいなカップルから
大人と子供まで。
「なぁ、ネロ...」
「何、レイ?」
俺は少し不安になった。
「無理してないか?俺の友達だけど...
俺も会ったことない二人の彼氏もいるし...
俺、適当に誤魔化してネロは帰るか?」
実は、プールでお互いの彼氏を
紹介したいってなって
ネロに言って来てもらったけど。
やっぱり、ネロが可哀想になってきた...
ネロ本人は大丈夫とは言ってたけど、
やはり、止めとけば良かったかな。
「大丈夫だよ、レイの友達なら
わたしも会ってみたいし」
ネロはニコニコしながら言った。
「それに、二人っきりじゃ無いけど
プールいってみたかったし」
それは、俺も同意見だ。
「でも、ネロ浮き輪がないと泳げないんだろ?」
「それでも、泳ぎます!」
ネロは浮き輪をつけながら
キリッとした顔で言った。
「それにしても、レイすごいね...」
初めて買った水着...。
真っ白のビキニ、今思えば違うのにするべき
だったかな...。
「ネロは海水パンツよく持ってたな?」
「川の中とかの、錬金術の素材
探すのにつけてた」
なるほど、だからか。
「それにしても、レイの水着いいね」
白のビキニを着て。
ネロは黒い海水パンツを着ていた。
「あんまり、同時無くなったな」
「そりゃ、家で裸何度も見てたら
なれるよ」
俺は、屈む様にネロに近ずいた。
「それなら、コレは?」
胸の谷間が見てる様にわざと見せた。
「もう、ばか...」
「悪い、悪い...」
ネロをからかっていると...。
「あっ!レイ!先に待っててくれたんだね!」
サムが手を振ってやって来た。
「やっと、見つけた思ってたより
混んでたから、遅くなったわ」
ヘレンも後からやって来た。
二人の後から雄の人もやって来た。
「早速、紹介するね!
あたしの彼氏のニック!」
「よろしくな!」
コンくん達とは少し違う雰囲気の狐族か。
何か、サムに性格似てるな。
「私の彼氏のアズよ」
「アズだ、よろしくな」
アズは犬族か...この人も何かヘレンと
同じで、大人びてるな。
「二人とも、私達の一個上の先輩なのよ」
「あたしがニックに一目惚れして
初めは友達から初めて、それから
付き合ったの」
「それで、オレの紹介で
アズとヘレンにも、春がやって来たんだ」
この二人テンション高いなぁ...。
「あらためて、レイだ...」
「ネロです...」
俺もネロも何かぎこちない。
ネロの事言えないじゃないか!
結構、俺も緊張してるじゃねえか!。
「二人はどうやって知り合ったんだ?」
アズが聞いてきた。
「幼なじみです...」
ネロが答えた。
「幼なじみかぁ、歳は?」
「13です...」
四人はビックリした。
「13歳!、レイちゃん結構
幼いの趣味?」
「こら、無神経な事言わない!」
サムはニックのことを怒った。
「とりあえず、泳ごうせっかく
プールに来たんだ」
「そうだな、行こう。
ほら、行こうぜ!」
「あっ、はい!」
そう言って、雄3人は走って行った。
「サムが滑りたいって言ってた所で
先に待ってるな!」
「分かった!」
滑りたい場所?。
「ネロって子大丈夫?」
俺が疑問に思ってるとヘレンが話しかけてきた。
「ニック達にも王子だけど、気を使わないで
素の性格で話してあげてって言ったけど...
大丈夫?」
二人とも心配してくれてんだな。
「いいさ、あいつも行きたいって言ってたし」
ネロも楽しんでくれてるといいな。
わたしはニックさん達に連れてこられ
後からレイ達もやってきた。
ここはプールと言っても
色んな、種類の遊び場があるプールで
子供から、運動してストレス発散したい
大人まで、人気の場所らしい。
存在は知ってたけど、わたしもレイも
行く機会がなかったから、ここに来るのは初めてだ。
「なぁ、ネロ...」
「そうだね、レイ...」
わたしとレイは同じ事を考えていたと思う。
「「大きすぎでしょコレ?!」」
二人揃ってハモった。
「ちょっと待って下さいよ!
いきなりコレするの?!」
「俺もネロも初めてなんだよ!
せめて、後にしてくんね?!」
わたしもレイも流石に怖かった。
「あたしもびっくりしたけど
この巨大滑り台ここの名物なのよ。
いつもは行列なんだけど
たまたま、人が少ないから今がチャンスなの」
「そうそう、オレも気になってたんだよ!」
この二人が乗りたの!。
てか、ヘレンさんとアズさんも
さっきから固まってんだけど!
流石に怖いんだよ!。
「次の方どうぞー」
「あっ!順番来たよ!」
「よし、行くか!」
サムさんとニックさんは
ウキウキしながら行った。
「そちらのお客様達もどうぞ〜」
「行こう、ヘレン...やな事は
早めに片付けよう...」
「あなたの言うとうりね...
それに、案外楽しめるかもしれないし...」
二人も渋々行った。
「わたし達も行こうか」
「そうだな...」
「やっぱり高い...」
これ結構、高いよ!。
「よし、早速滑ろうよ!」
「じゃあ、カップルの定番の...」
先にサムさんが滑り台に乗って
ニックさんが抱き抱える。
「それじゃあおっ先!」
「ふぅううううう!」
あの二人はげんきだなぁ...。
「アズ、行きましょ」
「ああ、しっかり捕まってろ...」
そう言ってサムさんとニックさんがやった様に
二人も滑って行った。
「きゃやあああああああああぁぁぁ!」
「うぉおおおおおおおおお!」
結構、すごいスピードだよコレ!。
「浮き輪、どうすんだよ?
逆に危なくないかそのまま滑ったら」
レイの言うとうり逆にコレつけた状態で
滑って途中でつっかえたら
怪我するかも。
「すいません、コレ預かってもらって
いいですか?」
「構いませんよ、下にいる
スタッフの方に預からせるので
下に到着したらお返ししますね!」
わたしはいったんスタッフのお兄さんに
自分の浮き輪を預かって貰った。
「なぁ、ネロお前、浮き輪が無いと
泳げないし、俺の方が体大きいから
俺が後ろで抱き抱えるよ」
「お願い...」
ここは素直にレイを頼ろう。
わたしは滑り台の端っこに乗った。
「よし...」
そして、いったん座った。
「ちょっとゴメンよ...」
後ろからレイがわたしを抱き抱える。
ちょっと力が強い...。
「レイ...怖い...」
「逆にお前は怖く無いのかよ...」
はい、めちゃくちゃ怖いです...。
「ええい、もう行くぞ!」
「やっちゃって!」
そして、わたしとレイは滑った。
バシャン
シャアァァァアアア
「うあああああああああああぁぁぁ!」
「早い!早い!早いってぇえええええええ!」
思った、二倍早いよコレ!。
てか、あれ苦しい...。
抱きついてるレイの力が強い...
しかも、そこ首だし...。
「うぐ、苦しい...」
「おいおいおいおいおい!マジかよ!」
レイは完全に焦って力加減出来てない。
「おい、もうここで...」
バシャァァァン
ブクブクブクブク
「ぶはぁ!怖かった、大丈夫か...
てっ、ああ!ネロごめん!」
水に飛び込む形になったから
わたしの事をしっかり離さないように
してくれてたんだけど、それで余計に
首がしまって、苦しかった。
「うう...」
「ネロォオオオオオオオ!」
「ネロ...ゴメンよ...」
「いいんだよ、レイがいなかったら
わたし泳げないし」
俺たちはプールのフードコートで
座って休んでいた。
「でも、何だかんだ楽しかったな」
「うん!もう一度はやだけど」
「ねぇ!ネロくん回復した!一緒に
バレーボールやろー!」
あいつら元気だなぁ...
ヘレンとアズも多分振り回されてるから
慣れてんだろうだろ。
「いけるか?」
「大丈夫、わたしだって遊びたい!」
よし、行くか!。
俺とネロは走ってサム達の所に行った。
「おいー!メンバーは!」
「丁度、六人で雄チームと雌チームで
三対三で別れてバトルしようぜ!」
という事は...。
俺とサムとヘレンがチームで。
ネロとアズとニックか...。
「頑張ろうなネロくん!」
「動けるか?」
「はい...」
声ちっさ!!。
てか、ネロには当てないようにしよ。
「頼むわよ、テニス部」
「任せて!」
「サム、テニス部なのか?」
初耳だぞ。
「うん!ニックもテニス部の先輩だったから」
だからか、となると、ニックも運動できるって
事になるのか。
「レディーファーストだ
お先にどうぞ」
ニックがボールを渡してきた。
「レイがサーブをやってよ背が一番高いから」
バレーボールなんてやった事ないからな。
しかも、水の中にバレーボールやる
場所があるってちょっと凄いな...。
「よし、行くぞ!」
俺はボールを高く投げてジャンプした。
バシャン
俺はボールに狙いをさだめた。
ボォンッ
「よし、オレに...」
ドンッ
バシャンッ
下でニックはボールを受けようとしたけど
衝撃が強くてアゴに当たって
落としてしまった。
「痛えぇ...レイちゃん強えぇ...」
やべ、強すぎた。
「ねぇ、ニック大丈夫?」
「すまん、初めてだから力加減が分からなくて」
悪いことしたなぁ。
「ニックさん、ちょっといいかな?」
ネロはニックのアゴにそっと手をかざした。
ファアアアア
白い光が手のひらから光って
ドンドン、アゴの腫れた部分が綺麗に治っていく。
「はい、これで大丈夫だよ」
「ネロくん、凄いな」
「やだ、神秘的...」
「流石、天使のネロ...」
何か、急に二つ名が出てきたぞ...。
「えっ?わたしそう呼ばれてるの?」
「そうだよ、とにかくありがとな」
ニックはネロにお礼を言った。
「さっきはゴメンな」
「良いよ、それに強い方が燃えるぜ!」
そう言ってまた俺たちは再開した。
「今度はオレからいくぞ!」
ニックのサーブではじまった。
バシャン
「とりゃ!」
ドンッ
「えい!」
トンッ
バシャン
サムが滑り込みでボールを浮かせた。
「レイ!」
トンッ
ヘレンがパスしてきた。
「また、俺かよ!しょうがねぇなぁ!」
俺はまた、飛び上がった。
バシャン
「来るぞ!」
「今度はパワー負けしないぞ!」
そして、俺はボールにアタックした。
ボォンッ
「ネロくん!行ったぞ!」
「えっ?わたし?」
ボンッ
ボールは思いっきりネロの顔面に当たった。
「ネロォオオオオオオオ!」
そして、俺はまたネロの名前を叫んだ。
「ネロ...ゴメンな...」
「もう、良いって、今回復してるから」
ネロは回復魔法で自分の鼻血を止めていた。
「あれ?ネロくん遅くない回復?」
「ネロの治療魔法は相手の怪我や病気を
治すのに特化してるけど
自分の怪我や病気は治すのは時間が
かかるんだ」
第三者なら一瞬で治す事ができるけど
自分の怪我や病気は難しい。
それでも、早いけどな
ネロの話によると、階段で転んで
足を折ってしまった時も
確かに一瞬では無理だったけど
5時間で治った。
「大丈夫だよ、鼻血止まったから」
「ゴメンな、ネロ~」
俺はネロを抱きしめた。
「はいはい、分かった」
ネロも回復したし。
「ネロ、フードコートで何か食おう
俺奢るから」
「気にしなくて良いよ」
「いや、オレが奢るよネロくんには
アゴ治して貰ったし、みんなも何か頼めよ」
「やったー、ニック好きー!」
そう、ニックが言ったから俺たちは
フードコートに歩いた。
「丁度近くだし...あれ?」
「どうしたのアズ?」
アズは少しイスを見ていた。
「しまった、ここイスが一つ足りない...」
「あっ!ホントだ...私ちょっと
イスもう一つ借りてくるよ」
「ああ、大丈夫」
俺は、ネロを抱きかかえて
膝の上に座らせた。
「ネロをここに座らせれば
大丈夫だから」
それに、ネロの頭の上に丁度、胸置けて
楽できて一石二鳥。
「ちょっと恥ずかしいよ...」
「いいじゃん」
ネロと話してると
四人が俺とネロをジロジロ見てきた。
「なんだよ、別に良いだろ」
「いや、文句言いたい訳じゃ無いけど...」
「何か、歳の離れた弟をあやしてる、みたい」
ニックとアズは急に目を反らした。
「あっ!彼女の胸見てたでしょ!」
「二人ともまったく!」
ネロは膨れっ面になって風魔法を出そうとした。
「おい、ネロ」
「だって...」
俺とネロは小声で話して二人はサムとヘレンに怒られていた。
「いや、違うんだって」
「ちょっと待ってくれよ」
「お待たせしましたー!」
その時、店員が注文してた物を持ってきてくれた。
「ほら、持ってきてくれたから!なっ?食べようぜ!」
「そうそう、なっ?」
二人は渋々イスに座った。
サムはストロベリーサンデー、
ヘレンはチョコレートサンデー、
ニックとアズはメロンソーダフロート、
俺は甘いものが苦手だから、アイスコーヒーを頼んだ。
そして、ネロは...。
「お持たせしました!」
後ろから、もう一人店員の人がやって来た。
「スーパーデラックスパフェのお客様は?」
サム達はさっきの険悪な空気が一気になくなった。
「なんだよ、あんなデカイの頼んだの?」
上のアイスだけでも、ネロの頭ぐらいにある大きいパフェ。
「あっ!わたしです!」
「はい、お待たせしました!」
みんなは無言になった。
「えっ?ネロくんが注文したの?!」
「うん、ここのアイスデザート美味しいって聞いてたから
一度食べて見たかったんだ」
なんだ、ならもっと早くに誘ってやればよかったな。
「こいつ、結構食うんだよ」
まぁ、俺はこいつの食欲知ってるから今さら驚かないけど。
「いただきまーす、う~ん美味しいー!」
ネロは次々と口に運ぶ。
「レイも食べる?」
「俺はいいよ、甘いの苦手だし」
ネロはオレンジを取った。
「これは食べれるでしょ?」
「あっ!ありがと」
俺はオレンジを口に加えた。
「うまい」
「でしょ?」
四人は俺とネロをじっと見ていた。
「なんだよ?」
「いや、仲がいいなって」
「見てるこっちが恥ずかしくなるよ...」
何故か四人が顔を赤くして。
ネロ顔を赤くして。
俺もつられて恥ずかしくなった。
五時間後...。
「今日はありがとうー!」
「楽しかったよー!」
俺とネロはサム達と別れて家に向かった。
「大丈夫か?疲れたか?」
「大丈夫だよ、楽しかったし」
良かった、でもネロがあのパフェを全部完食した時の四人の顔...。
「ぷっ、笑える!」
「どうしたの?」
「いや、何でもねぇよ」
ネロ少し不思議そうにしていた。
「でも、ちょっと意外だった
レイが人と遊ぶの苦手だったの」
やっぱり気づいてたか。
「あんまり、人とかかわるの苦手なんだよ
胸を隠す魔法の布をもらう前は雄は俺を雌扱いして
嫌だったし、雌の人は話についていけないし」
「傭兵の仕事仲間は?」
「傭兵次第は、人物や積み荷を護衛しないと
いけないんだけど、敵を見つけたら仲間に任せて
持ち場を離れて一人で倒したり、討伐以来がある時は
一人で突っ込んで倒したり。
よく、仲間からちゃんと仲間と行動しろって言われてたけど、
基本一匹狼で敵と戦ってたよ。
それでも、クビにならなかったのはちゃんと結果を出してるからかな」
まぁ、傭兵の奴ら邪魔な奴が消えて良かっただろ。
「でも、傭兵の会社から戻らないかって手紙きてるよ?」
えっ?マジで?。
「うん、なんか敵を倒すのが難しくなったんだって」
「手紙燃やしといて」
「うん、わかった」
助っ人頼みはよくないな。
「なぁ、ネロ...」
「何?」
俺は少しかがんで、左手を下にした。
「あのね、わたしはキミの子供じゃないんだよ」
「頼むよ...」
ネロは膨れっ面で俺の手のひらに座った。
「もう、まったく!」
「えへへ、かわいい」
俺は上機嫌で家に歩いた。
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