エピソード26【スカウト】

わたし達はライオネル国に戻っていた。

ヒロムさんは

アカネさんとアオイさんと

一緒に生まれ故郷の為に一から頑張ろうって

言っていたな。

それに、レイを殺そうとした

奴のこともアカネさん達から情報を聞きながら

居場所を探すって言ってたな。

今はわたし達は大人しくヒロムさん達の

連絡を待つだけだ。

変にわたし達が動いて相手が警戒する

可能性もある

下手に動くより今は待とう。

だけど...。

「何で、レイが仕事を探すの?」

わたしは一緒に街を歩きながら

レイに適した仕事を探していた。

「そんな事しなくても

わたしが医者の...」

「だって、暮らすための資金も

料理、洗濯、掃除、家事は全部

お前がやってるから何か...複雑なの!」

レイだって家で家事してるのに...。

「せめて、何かパートとかでもいいんだけど...」

そう言って何日か探してた。

初めは飲食店で店員をやってたけど

面倒な客がやって来た時に

ぶん殴って、問題を起こしてクビになって。

清掃員をやってたけど

その、掃除を依頼された人にナンパされて

キレて、蹴り飛ばしてクビになって。

荷物配達の仕事をしてたけど、

その道中のチンピラにちょっかいを出されて

喧嘩したら荷物が壊れてクビになった。

「ネロ、ごめん...」

「いいよ、レイが悪いんじゃないよ」

正直、わたしはスカってしてる

レイにちょっかいを出した雄共が怪我して。

「でも、やっぱり何か無いかな?」

わたし達は街中を歩いていると...。

「ちょっといいですか?

そこのオオカミ族のお姉さん?」

レイに声をかけてもレイはそのまま歩いていた。

「お兄さんキミの事だよ」

「えっ?俺の事?」

いや、キミしか居ないでしょ?!

しかも、わたしがお兄さんって

呼んだら反応したし。

「あっ!そうか俺今日は胸にサラシ巻いてねぇや」

わたしとレイが話していると

犬の紳士的なおじさんが話を続けた。

「あの...レディに失礼なのですが...

身長は何センチですかな?」

「えっ?177センチだけど?」

レイは凄い高いんだよな。

ちなみにわたしは148センチ。

「いや、失礼しました背が高くて

しかも、キレイだったので。

私は実はこういう仕事をしてまして、

この後、予定が無ければあそこの喫茶店で

お茶をしながら話しませんか?

おごりますよ」

そう言ってレイに名刺を渡して

喫茶店にとりあえず一緒について行った。


「ファッションモデル?」

「はい、まだまだ私の会社では

服自体は売れてるのですが

今人気のモデルが居ないんですよ」

なるほど、それでレイに話しかけたのか。

「私の会社ではメンズからレディース

まで、幅広く服を出して売ってるんです。

ですが...やはり、モデルの業界でも

会社を有名にしていきたいんです」

そういえばここのブランドの服

わたし好きなんだよなぁ。

「レイ見てコレかわいい!」

わたしはレイにファッション雑誌を見せた。

「いいじゃんこの服俺着たいな」

ところがレイはその隣のスーツを指さした。

「違う、違う、こっちの

ヒラヒラのスカートの方だよ」

「ええ、何で寄りによってヒラヒラなんだよ

嫌だよ、俺こんなん着るの。

あなたにも悪いけど俺は雌の服は嫌いなんだ

メンズの服を着るならやるけど」

「えっ?いや、やっぱりあなたにはレディースの

服を着てもらいたいんですが...」

けど、相手も引き下がらないなぁ。

「ねぇ、レイも一回だけでもやってみたら

わたしも一緒に行くから大丈夫だよ」

レイはそれでも悩んでた。

「お願いします、この子も言ってますし

働いた分のお金もちゃんと出しますから」

「はぁ...ネロが言うなら仕方ないな...」

レイは渋々受けることになった。

「どうも、ありがとうございます

申し起これましたが私はアントです、

改めてあなたのお名前と年齢と誕生日と

出来れば血液型を教えてくれますか?」

「俺も改めて、レイだ16歳で誕生日は3月3日で

血液型はO型。

そして、彼氏のネロ、誕生日は2月22日で13歳で

血液型はAB型」

何で、わたしも紹介した。


わたし達はアントさんに一緒について行って

会社にやって来た。

「こちらですよ」

そこは、貴族の屋敷みたいなお店が立っていた。

「前から知ってたけど、こうして見るとやっぱりすごいな」

「俺大丈夫かな、こんな場所で...」

ちょっとレイ不安になってる。

「大丈夫だよ、レイ綺麗だから」

そう言いながらわたし達は

会社の中に入る。


「こちらが、撮影場所になります。

今は別の子が撮影中ですから見学して下さい」

撮影中かぁ...。

「すごい、予想はしてたけど

カメラだ、しかもアルケミスト製品だ

わざわざ国に行ったんですか?」

「はい、高額でしたけど手抜きはしたく

ありませんでしたから」

「なぁ、カメラってそんなにめずらしいのか?

俺も確かに余り見たこと無いけど

普通に売ってるだろ?」

そうか、レイは知らないか。

「確かにこの国でもカメラはあるけど

錬金術の発想の国と言われてるアルケミスト国

では、科学が特に発達してるから

色んな便利な機械が沢山あるんだ。

わたしやレイが知らない物も沢山あるよ」

「俺も傭兵の頃は行ったこと無かったなぁ...」

でも、よくわかった

だから、ここの雑誌はモデルの写真写りが

良かったんだ。

カシャッカシャッ

「いいよ、そのまま」

カメラマンの人も上手く使いこなしてるなぁ。

「あのー、ちょっといいかな?」

急にアントさんに呼ばれた。

「どうしたんだよ急に?」

アントさんは申し訳なさそうに喋った。

「実は、さっきモデルのマネージャーの人が

来て、今日撮影予定の子が風邪をひいて

来られなくなってしまって...

レイさん、急で申し訳ないんてますが...

服を着て写真を撮ってもいいですかな?」

レイは少し顔が引きつった。

「いや、そんな...急に言われても...」

「お願いします!ちゃんと給料は出しますから!」

アントさんは深く頭を下げた。

「はぁ...ネロ手伝ってくれ...ズボン以外

慣れてないんだ...」

「よしきた!」

わたしはノリノリでレイと一緒に

着替え室に行った。


「これがそうかよ...しかもドレス!」

レイは凄い嫌そうな顔をした。

「大丈夫だよ、絶対似合う!」

わたしは鼻息が荒くなっていた。

「興奮してるなら俺を襲え」

「そんな事、言ってる場合じゃないでしょ」

わたしはドレスを持った。

「さぁ、手伝ってあげるから

着て早く!」

「何か、今日のネロテンションおかしくないか!」

そう言いながらレイは渋々服を脱いだ。


ガチャッ

「どうですかな?サイズの方は?」

「バッチリですよ...レイ出てきて!」

俺はゆっくりドアを開けた。

ギィィィ

「おぉぉぉ、これは!」

白いドレスで肩の引っ掛ける部分は

両方ともあえて少し下げた向かって左の

太ももが開いて見えるデザインのドレス

しかも、ハイヒールの靴まで。

「すっごい綺麗だよレイ!」

ネロは目がハートになってる。

「もうヤダ、着替える...」

「いや、ちょっと待ってください

まだ、撮影が...」

俺はそれでも着替え室に行こうとした。

「似合ってないよ、絶対しかも

胸苦しいし!」

アントさんは少しキョトンとした。

「えっ?苦しいですか

これを着る予定の子はEカップですが...」

「俺はFカップなんだよ!」

少しアントさんは驚いていた。

「君は凄いスタイルの持ち主ですな」

「でも、レイって筋肉あるけど

肩はそんな広くないよね」

「雌だからしょうがないだろ!」

俺はその後もイヤイヤと言いながらも

撮影をした。


数日後...。


「確か、今日がレイが撮った写真が雑誌に

載る日だよね」

「買いに行くなよ...」

俺たちは道を歩きながら

喋っていた。

「あのー...ちょっといいですかって

あれ?」

声をかけてあれって...なんだよ?

のこ、猫族の雄の人は。

「あっ!すいません人違いです

この雌の人と間違えて...」

そう、言われて雑誌を俺とネロに見せてきた。

そこには、俺が写っていた。

「この人、すごい綺麗だから、

ちょっとサインとか頼もうと思ったんです」

「俺が雌みたいなんていい度胸だな...」

俺は睨みつけた。

「あっ...いっいえ、失礼しました!」

そう言って逃げて行った。

「レイ、あの人褒めてくれてたのに...」

「俺の事を雌として扱っていいのは

ネロだけなんだよ」


俺たちはしばらく歩いて

いると、クラリスとケントがいた。

「あれ?クラリスにケントさん!

どうしたの?」

「私だってたまには外で買い物ぐらい

いきたいもん」

この子もそりゃ息抜きぐらいしたいよな。

「ケントも偉いな護衛だろ?

いつの間に出世したんだよー」

俺は首を腕に巻き付けて

頭をグリグリした。

「やめろよ姉さん!」

俺たち兄妹と姉弟で仲良く話していた。

「ところでネロ、コレ見てよ」

クラリスが雑誌を出してきた。

「これ、出てるのレイさんよね?」

クラリスが見せてきたページに

ドレス姿の俺が写っていた。

「これ、実はレイがスカウトされた

時に代理で撮影したんだよ!」

「そうだったの?!すっごい綺麗!」

「流石姉さん!やっぱり綺麗だよ!

スカウトされたならその会社で

モデルとして活躍した方が良いよ!」

何故か三人して

テンション上がってるだよ!。

「もう、いい!行こうネロ!」

「あっ!待ってよレイー!」

俺は怒りながら、ネロと一緒に逆方向に

歩いて行った。

「出るたびに買いますねー!」

「次の雑誌楽しみにしてるよー!」

「二度と買うなー!」


「おや、ネロ王子」

「奇遇ですね、王子と...レイ殿」

「わたしの事は呼び捨てでいいってば」

何故かジャック隊長は俺を見るの緊張てしるし

ネロは俺の事を何故か抱きしめてる。

かわいいなぁ。

「城のカーテンのクリーニングを業者に頼んでたんです

ジャック隊長にはその付き添いで」

ロビーさんが話しているとジャック隊長が雑誌を出してきた。

「レイ殿、この雑誌たまたま見つけたのだが

ケントとクラリス王女が噂してたから自分も買って見てみたのだが。

綺麗だったぞ」

あんたも見てたのかよ!。

「いや、しかし綺麗でしたぞ流石王子が決めた伴侶ですな

きっといい王妃になりますぞ」

ロビーさんあんたまで。

「てか、ネロは王族戻る気ないぞ」

確かに、クラリスの事はみんな受け入れてくれたけど、

やっぱり、王族で医者を両方できる奴なんて

ネロぐらいなもん、だから戻ってきて欲しいって

言葉もある。

「わたしは戻らないー」

ロビーさんとジャック隊長はネロに戻ってきて欲しいって気持ちがあるらしい。

「どうしても?」

「やだ」

ネロはそう言って俺の後ろに隠れた。

「今の方が幸せだもん」

俺は嬉しいけど、二人めちゃくちゃ落ち込んでるなぁ。

「ですが、彼女が王妃でも問題ありません!

大きな胸、スラッとした足そして...」

バンっベシっ

俺はロビーさんとジャック隊長を蹴り飛ばして

ネロを連れてその場を去った。

後ろからジャック隊長が何故自分までって

聞こえたけど、気のせいだろ。


「レイちゃん!」

レミアさんがユキさんを連れて大慌てでやってきた。

「もう、みずくさいじゃない!」

「キレイでしたよレイ」

この展開まさか...。

「この、雑誌見たわよ!すごい美人じゃないの!」

「私もうっとし、ビックリしましまよ

ファッションとは分からないですが

あなたがキレイなのは代わりありませんよ」

何か二人で盛り上がってる。

「これは、ヒロムさんにも...」

「だから、やめろってばぁ!」

俺はネロを抱き抱えてその場を去った。

何日間たった後。

叔父さんから手紙で涙の跡があった手紙から

綺麗だよ、レイって書いてあった手紙が届くのはまた別の話。すでに

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