エピソード24【双子】

「さっきはすいませんでした...」

「ごめんなさい...」

二人はネロに向かって土下座して謝った。

「もう、いいよ...」

「あっ、待ってよ!」

たしか、アオイって呼ばれてたよな

あの人...

走ってネロの方に行ってしまった。

叔父さんと先生はコンくんとリンちゃんを

今後どうしたいかって、話を聞くために

別の部屋に移った。

「えっと...確か君の名前は...」

「レイ、あんたはアカネでいいんだよな?

歳はいくつなんだ?見たところまだまだ

若いけど?」

俺は好奇心で聞いてみた。

「オレの事は呼び捨てしてくれて大丈夫だ。

歳は22だ母さんは9歳の時に亡くなった

父さんは...仕事ばかりで構って貰えなかったし

冷たい所もあったけどオレたちの事を

育ててくれた

ここの奴らも居場所が

ない奴らのための場所さ

尊敬してた、そんな父さんも三年前に

亡くなった」

アカネ達も色々あるんだな。

「だけど、双子の姉のアオイがいつもそばに居てくれた...オレもこうして今までやってこれたよ...」

なるほど、アオイとは双子の姉弟だったのか。

「オレの事をいつも面倒見てくれた...

双子だから、同い歳なのに...

だから、今度はオレが守らないといけないって

恩を返さないといけないって...

そう、思ってるのに...アオイはいつも

オレを子供扱いしてくる...」

アカネは暗い表情をした。

「オレだって...あいつを守りたい...」

「多分、子供扱いなんてしてないよ」

俺はしっかり目を見た。

「俺には血の繋がった弟がいる...

だけど、今は立派な場所で立派な兵士に

なるために頑張ってる...

だから、もう俺はあいつは一人でも

大丈夫だと思って離れて暮らした...」

俺はケントを思い出す...

ヤンチャな奴だよあいつは...。

「だけど、やっぱり会いたくなるよ

子供扱いしてるとかじゃ無くて

それに、いくつになっても可愛い弟には

変わりないさ。」

まぁ、アオイって人も多分。

「あんたの姉もやっぱり雌だぜ

雄より、か弱いさ、だからこそ...

気持ちで支えたいんじゃないかな...

唯一の肉親で自分もあんたがいたから

今までやってこんたんだと思うぞ」

「レイの親は?」

俺は天上を見上げた。

「俺が6歳の時に亡くなったよ

ケントは父親は何と覚えてるけど

母親の方はあんまり記憶が曖昧なんだ」

アカネは俺にもっと質問してきた。

「寂しくないか、唯一の肉親と離れて...」

「寂しくないって言ったら嘘になるぞ...

だけど、俺にはもう一人弟みたいに

可愛くてしょうがない奴がいるから」

ネロ...。

「それに、あいつは一人でも

大丈夫さだけど、会いに行きたい時に

会える距離だから大丈夫さ!」

少し、アカネは明るい表情になった。

「だけど、姉弟で大人になったからって

離れなきゃいけない訳じゃないしさ

お互い助け合えばそれでいいじゃん

だけど、もうこんな合法的な

事はやめた方がいいぞいくら

生きるにはコレしか無かったとは言え

悪い事には変わりない俺も考えてみるから」

俺はアカネの肩に手を置いた。

「ありがとうな...でもレイに何で

こんな事を急に話したんだろ?」

「いいじゃん、出会い方は最悪だったけど

結果的にダチになれたから。

俺はまだ16だけど、俺が大人になったら

酒でも飲みながら悩みを打ち明けようぜ」

アカネは笑った。

「お前、16なのかよ!オレより背がたか...」

続きを喋ろうとしたら、アカネは

俺の方を見て顔を赤くして

急に目を逸らした。

「あれ?どうした?」

「いや別に...」

どうしたんだ?。

「おい、まさかあんた...」

「いや違うんだ!」

焦ってるなもしかして...。

「俺の胸見ただろ!」

アカネはキョトンとした顔で俺を見た。

「サラシ巻いとけば良かった!

俺はこの体嫌なんだよ!」

俺は立ち上がった。

「たくっ!ネロを探してくる!」

「待ってくれ!」

俺は呼び止められた。

「なんだよ?」

「その、悪かった...」

なんだか、まだ言いたそうだな...。

「なんだよ...怒らないから...言えよ...」

何か急に言葉がつまり出したな...。

「その...何だ...」

俺はただ相手の言葉を待った。

「お前が大人になったら酒飲もう...」

何だそんな事か。

「おうよ!」

俺は笑って返した。


「ハァハァ...ここにいたのね...」

わたしは中庭で一人座っていた。

「なにさ...またわたしをからかいに来たの?」

「そうじゃないわよ、気を悪くしたのは

謝るから」

アオイさんはわたしの横に座った。

「ここ綺麗でしょ?弟のアカネと小さい頃

よく遊んだわ」

「アカネさんは弟さんだったんだ!

そういえば、似てるね」

「一応、双子だから」

アオイさんは庭の水面を眺めた。

「私達、母親を早くに無くして父さんが

ずっと育ててくれたの

まぁ、ちょっと冷たかったり仕事ばっかり

だったけど、私達を育てる為やここの人達の

為だと思うそんな父さんも亡くなってしまったけど...」

アオイさんは話を続けた。

「私にはアカネだけなの...

もう、家族を失いたくない...

だから、守ってあげたい...

でも、ちょっと怖いどんどん離れて行くようで...

それに、私の事を必要としてないのかなって

だから、私の事を突き放すような...」

「そんな事ないよ...」

わたしは遮って話した。

「雄はどうしても自分でやらないと

気が済まないだあなたが鬱陶しい訳じゃないと

思いますよ」

わたしもアオイさんと一緒に水面を見た。

「わたしも両親がいません...

だけど、肉親で妹がいます...

妹はわたしの為に色々と変わってくれてるです」

クラリス、わたしはいい妹を持ったよ。

「わたしも初めはどうしようと思った

まだ、早いんじゃないかって

せめてもっと歳を重ねてからの方がいいんじゃ

ないかって」

でも、わたしは決断したんだ

クラリスを信じて。

「でも、見てて思った妹は

わたしがいなくても十分やっていけると

周りにもサポートしてくれる人がいるし

それに、何かあったらわたしもすっ飛んで

行きますから、だから妹に託しました」

わたしは魔法でスイレンの花を

手のひらから出して水の上に浮かせた。

「だから、あなたも

そっと見守って上げてください。

けど、大人になった姉弟でも

離れなきゃいけない訳じゃない

何かあればあなたも弟のアカネさんを

支えればいいんです、その時以外は

ただ、ゆっくり弟の成長を姉として

見守ればいいんです」

レイも...そんな感じだったのかな

時にはわたしの事を弟として見た時も今でも

あるだろうし。

それでも、わたしは幸せだよ。

「そうね、あなたの言うとうりね

私も過保護すぎた、もっとアカネの

成長を遠くから見守ろう...」

そう言ってアオイさんはわたしを

見て顔を赤くした。

「どうしたんです?」

「いえ...別に...」

どうしたんだろ?。

「熱でもありますか?魔法で治して...」

「いえ、大丈夫だから!」

急におおきな声を出した。

「びっくり、したなぁ!さっきから、どうしたんですか?」

「おいー!ネロ、ここに居たのか?」

レイが後ろからやってきた。

「レイ!アカネさんも一緒にどうしたの?」

「お前ら二人を探しに来たんだ」

わたしとレイは改めてお互いの無事を

確認して、ホッとした。

「レイが目覚めて良かった」

「ありがとう、ネロ」

レイはわたしを持ち上げた。

「ちょっとわたしは子供じゃないよ!」

「いいだろ、寂しかったんだから」

それに恥ずかしいよ...

二人が...。

「あれ?二人とも何で暗い顔してるの?」

「どうしたんだよ?」

わたしもレイも気になって聞いてみた。

「ううん、なんでも無い」

「ああ、仲良いんだな」

「おう!」

「うん!」

そう言って後それでもレイが

甘えて来る。

「ネロ~」

「ちょっと~」

だから、人前は恥ずかしよ。

「アカネあんたも?」

「ああ、お前もか?」

「何か言ったか?」

レイがそう言った後、

二人は何でも無いと言って二人とも

その場を去ってしまった。

どうしたんだろ?。

「もしかしてイチャついてたから

気まずくなった...」

「レイが調子乗るから」

「だって好きなんだもん」

そう言ってまた頬ずりしてきた。

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