エピソード22【シロイハナ(後編)】

「白いライオン族なんてめずらしいよな?」

とうしよう...バレる...。

「そんな...わたしは雌ですよ...」

わたしは自分が雌だと言う事を強調して言った。

「それとも...わたしが雄みたいな顔ですか?」

「あっ!いや、そういう意味じゃ...」

少し困った表情になった。

「ちょっと、アカネ。

こんなに可愛いのに...」

「いや!雄みたいな顔って言いたいんじゃなくて」

まぁ、雄なんだけどね。

「とにかく、あなたは行ってきていいよ

雑用があるでしょ。

こいつは私が叱ってるから」

「ホントにすまん...」

そう、二人に言われてわたしはその場を後にした。


わたしはリンちゃんを探していた。

リンちゃんを上手く連れ戻せば

コンくんも安心出来る。

レイの呪いの札も破壊することが出来た

だけど、ちゃんと彼女の様子を

見に行きたい。

「あれ?あそこにいるのは?」

リンちゃんだ。

庭で一人で座っていた。

「ねぇ...大丈夫?...」

「あ!お姉さん...」

「ハナでいいよ...」

わたしは名前でいいよと言った

その方がかっこいい。

「どうしたの?」

「実は...アオイのお姉ちゃんとアカネのお兄ちゃんが、あたしのお兄ちゃんに頼み事を

する為にここに連れてこられたんだけど」

コンくんの事かな?だけど、こんなに偶然

ありえない。

きっと、この子で間違いない。

「もしかして...酷いことされた?」

「ううん、全然!」

リンちゃんは大声で言った。

「むしろ、すっごく優しくしてくれてるの!

だけど、お兄ちゃんにも会いたい...」

なるほど、唯一の肉親だもんなぁ。

けど、話を聞いてるとあの二人は

リンちゃんには何もしてないみたいだな。

「だけど...何だかお姉ちゃん達

見てると、お父さんとお母さんを

思い出す」

お父さんとお母さんか。

「お父さんもお母さんも事故で

死んじゃったけど、お兄ちゃんがそばに

居てくれた」

リンちゃんは自分の事を話し始めた。

「ハナさんのお父さんとお母さんはどんな

人なの?」

リンちゃんはわたしの事を聞いてきた。

「わたしの母親は産まれた時に

死んでしまったから顔は正直、覚えてない

周りの人達が言うには母親の子供頃と

今のわたしがそっくりって言ってた」

先生に聞かされた事があった。

時々、先生がわたしの母上の昔の頃を

思い出して、泣きそうになることがあった。

「お父さんは?」

「立派な人だよ、人の為にどんな

難しい問題もちゃんと考えて冷静に

判断できる立派な人だよ」

父上はすごい人だ。

「わたしはどうしても、落ちこぼれだから

愛してくれなかったけど...

それは、わたしが悪い、期待に応えられなかった」

わたしが攻撃魔法を使えてたら

愛して貰えたのかな。

「だけど、妹がいたし幼馴染みがいた

妹はわたし何かよりしっかり

してるし。

実はわたしはその幼馴染みの事が

好きなんだ」

「その人かっこいい?」

「すっごい、かっこいいよ」

リンちゃんは食いついてきた。

やっぱり雌の子は好きな人の話とか好きなのかな?。

「背が高い?!」

「高いよぉ」

「顔はどんな感じ?」

「凄い、イケメン」

リンちゃんはニコッと笑った。

「あたし、その人な会ってみたな」

「いつか、合わせてあげる」

「うん、約束!」

わたしはリンちゃんと約束した。

「ん?」

「どうしたの、ハナさん?」

「何か、騒がしいな...」

わたしは後ろを振り返った。

すると...。

「あれ?アオイさま...」

何故かアオイと呼ばれてた

狐の雌の人がいた。

一応、わたしはさまを付けて呼んだ。

「えっ!いや...その...」

まさか、見られてた?。

「ぎゃあああ」

誰かの悲鳴が聞こえた。

「もう、なんなの?!」

アオイさまは走って行ってしまった。

「ハナさん行こう」

「えっ?!いや、ってちょっと待って!」

リンちゃんはアオイさまの後を追ってしまった。

わたしも後に続いて走った。


「痛えなこのガキ!」

「離せ!」

わたしは玄関の所にやっと着いた。

そしたら、そこには。

「コンくん?」

何故かコンくんが大人の雄の人達に

抱き抱えられて、暴れていた。

「ちょっと子供相手にそんな乱暴に!」

「こいつが噛み付いてきたんですよ!」

「あなた達が悪いんでしょ!」

アオイさまは怒って口論になっている。

「おいで、坊や」

「お兄ちゃん!」

わたしはコンくんをこっちに居るように

誘ったその方が安全だと思った。

そしたら、リンちゃんがお兄ちゃんと

叫んだ。

やっぱり兄妹だったんだ。

「リンじゃないか!」

コンくんは走って、リンちゃんの事を

抱きしめた。

「リン、怪我はないか?」

「うん、大丈夫だよ」

二人が再会してお互い涙目になって

お互いを心配した。

「あれ?ネ...」

「シー...ここでは...雌でハナって名前なの...」

わたしは小声でコンくんに行った。

「どうしたの?」

「いっいや、何でもないよ...」

何とかコンくんもわたし為に乗ってくれた。

「だけど、何でこの子を...」

「オレが連れて来させた」

声が聞こえたと思ったら、

後ろからアカネさまがやって来た。

「まだ、この子を外に出す訳にはいかない

だけど、肉親はそばに居させてあげたかった」

「だけど、こんな強引に...」

「しょうがないだろ、あいつの命令とは

いえ、オレだってこの子達を

巻き込みたくなかった。

だけど、この子達を解放してみろ

あいつに口封じされるかもしれない」

二人の言ってるあいつって誰だ?

しかも、そいつの命令?。

「とにかく、オレ達が守ってやらないと

オレの責任なんだ」

「自分一人で抱え込まないでよ」

この人達も複雑な状況なのかな?。

その時、コンくんがわたしに小声で話かけた。

「ぼく、ヒロムさんにおつかいを

頼まれて外を歩いてた時に捕まったんだけど

レイのお姉ちゃんは大丈夫だって、急に

黒いの消えたよ」

よかった、呪は無くなったんだな。

「それと、アカネ、頼みが

あるの...」

「なんだ、言ってみろ?」

アオイさまはわたしの方にやってきた。

「この子なんだけど...」

わたしの近くにやってきた。

「あなた、初めて会った時から

思ったの...」

まさか、バレたか...。

心臓の鼓動が収まらない。

冷や汗が出てきた。

レイ、ごめんよ、もしかしたら

帰れないかもしれない。

せめて、レイのしたい事全部

してあげれよかった...。

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