エピソード20【呪いの行方】

「二人とも、見せてくれ!」

カチャッ

バンッバンッバンッ

わたしは三発の弾丸を撃った。

キィィィィ

シュパンッ

グググググ

そして左の的は凍って、真ん中の的は風で切断されて、

右の的は植物のツタで巻かれた。

「すごいよ、ネロくん

光属性の魔法は攻撃できなかった、だけだから後元から使い方を知ってるから

もう、これぐらいで大丈夫だ。

それに、レイの方も...」

「はぁあああああ!」 

下から、上に振り上げて炎が登る用に燃え上がり。

ボォオオオオオオ

バァアアアアンッ

そして、練習用のカカシを焼き切った。

「うん!レイの方も上達してきたな!」

まぁ、あれだけの訓練、魔法が上達しなくても

色んな意味で強くなるよ。

「後は実戦あるのみだな!今日は休みだ好きな場所に行っておいで!」

「やったぁ!ネロ行こうぜ!」

「ちょっと待って...筋肉痛が...」

レイはそんなのお構い無しに、わたしの手を引っ張って

連れていってしまった。


「まったく!強引なんだから...」

「ゴメン、ゴメン、その代わりお前が行きたい所を最初に行こうぜ!」

俺達は商店街の道を二人で歩いていた。

「それなら、着物のお店に行きたいな」

そうか、前から気になってたもんな。

「自分の買うのか?」

「うん!それとレイの着物も見たい!!」

なるほど、ネロの考えてる事が分かったぞ...。

「俺、雌用は着ないからな」

「ええ、いいじゃん...」

いくら、ネロの頼みでもそれはちょっとな...。

あの時は情報が欲しくて仕方なかったから着てたけど...。

「あのー...」

そう思ってると不意に後ろから声が聞こえた。

「どうしたんだ?」

後ろを振り替えると、そこには

狐族の少年が立っていた。

「あっ...あの道を...聞きたいんです...」

なんだ、道を聞きたいだけか。

「場所はどこなんだい?」

ネロが真っ先に答えた。

幼い子には普通に喋れるんだな。

「えっと...あっ!お姉さんちょっと来て...」

何で俺を呼んだんだろ?。

「なんだ?」

「地図を出すからお姉さん見て

ぼく、まだ読めない...」

「あっ!そっか、わたしはここの産まれじゃ

無いもんね、ごめんね」

ネロは少し謝った後、俺に少年の手を取って

俺の近くに連れてきた。

二人そろってかわいいなぁ。

「それで何処に行きたいんだ?」

「ごめんなさい...」

急に謝ったと思った瞬間、俺の手に何か紙を渡した。

「えっ?何だこ...」

そしてその紙から黒い霧が出てきた。

俺はその霧を吸ってしまった。

「なっ、何だこれ?!」

「レイ!!」

ネロは俺の名前を呼んだ、だけど返事ができない。

あれ?おかしいな視界がぼやけて...。

バタンッ

俺は倒れてしまった。

ぼやけて見えるけどネロが何か言いながら

俺を見てるけど何も聞こえない...。

あー、寝る前は必ずネロとキスしたいなぁ。


一時間後...。


「レイ!返事をしてくれ、レイ!!」

「下がってください、ヒロムさん!。

ネロは浄化魔法と治療魔法を同時に使って!私はできるだけ

あなたの魔力を安定させながら、魔力を分け与えるわ!」

「はい!」

わたしは先生と一緒にレイに取り付いた怪しい何かを浄化しようとした。

だけど...。

「どういう事?体力は回復してるけど浄化魔法の効果がない?!。

ネロは回復や浄化の魔法に特化してるのにどうして?」

わたしにも分からない多分、呪いの類いなのは分かっているけど。

「おい!どういう事なんだ!これは呪いかそれとも

別の何かか?!」

ヒロムさんはレイにお札を渡した少年に怒鳴った。

「ごめんなさい...ごめんなさい...」

少年は泣きながら謝った。

「やめて下さい、ヒロムさん!」

わたしはヒロムさんの前に立った。

「この子に怒鳴っても仕方ないでしょ!

ねぇ、何でこんな事したの?」

わたしはヒロムさんをなだめた後、理由を聞いてみた。

「ごめんなさい...ぼく、実は妹がいるんだ...

だけど、お父さんとお母さんは昔、事故で死んじゃって...

ぼくと妹だけで、生活してて。

昨日、妹が知らないおじさんに、拐われて

妹を返して欲しかったらレイってオオカミのお姉さんにこのお札を

渡してこいって、言われたの」

なるほど。

この子は妹の為にこんな事を...。

「ごめんなさい...まさかお姉さんが倒れるなんて、

思って無かったんです...ごめんなさい...」

「安心してキミは悪くないよ

お姉さんもわたしが治すから大丈夫だよ」

わたしはこの子を抱きしめた。

「さっきはごめんよ怒鳴ったりして...

君も色んな事で苦労したんだね、ごめんよ...」

ヒロムさんもこの子に謝った。

「キミの、名前は?」

「コンだよ、狐だからコン...」

「妹の名前は?」

「リンだよ...」

この子の名前はコンで妹の名前はリンか。

「先生、レイの体力はどのくらい耐えられますか?」

「予想では三日」

なるほど、タイムリミットは三日か。

「コンくん、キミにお札を渡した人分かる?」

「顔は分からない...だけど、声なら聞いたら分かるよ!」

それだけでも、充分な手がかりだ。

「先生とヒロムさんは、レイを見てて上げて」

「分かった、私もあなた程じゃ無いけど、レイちゃんの体力を何とか

ちょっとでも、回復させるは」

「僕、はレイの呪いを弱くさせるよ

解呪は出来なくても、弱くさせることは出来るかも知れない」

レイは二人に任せて、わたしはコンくんと一緒に外に出た。


わたしとコンくんは街中の中央広場にやって来た。

「ネロのお兄さん...」

「呼び捨てでいいよ、その方がカッコイイでしょ?」

わたしはコンくんの緊張を少しでも軽くしようと思った。

「えっと...ネロ...」

「何?」

「どうやって、探すの?」

わたしはコンくんを近くに寄ってもらった。

「動かないで」

わたしはこの子の頭にそっと手を置いた。

ファアアアア

白い光が手のに宿った、そしてコンくんが見ていた

記憶を頼りにたどっていく。

そして、コンくんがその怪しい人物にお札を渡されたシーンが映る。

コンくんの言った通り、顔がよくわからない。

少しだけ、先に映像を進めると、そいつはこの子にお札を渡して

しばらく、すると立ち去って行く。

ナイスだコンくんずっと立ち去る所を見ていたんだな。

そして、去っていった時コートが風で少しめくれた。

あれは?左手の裏にツバキの花の刺青だレイの故郷にしか咲かない花だ。

ファアアアアン

わたしは一度、記憶を見るのをやめて

コンくんと目があった。

「何か分かったの?」

「キミの記憶を見たよ左手の裏にツバキの

花の刺青があった」

コンくんは驚いた顔をした。

「ツバキの刺青!それ雪華組だよ!!」

「せつかぐみ?」

聞きなれない単語が出てきた。

「ぼく、でも知ってる組織だよ

お父さん言ってたけど悪い事して

武器とかお薬とかの取引してるんだって

警備隊もすごく、困ってるんだって」

なるほど、でも何、レイが狙われたんだ?

「ああ...どうしよう...リンも

そんな人達に使って...しかも、お姉さんまで...」

そりゃ、不安になるよなぁ...。

「大丈夫だよ、わたしが何とかするから。

とりあえず、キミはヒロムさんの

所に行って、わたしはやる事がある」

「わかった、ネロ

必ず帰って来てね」

そう言って、わたしを抱きしめた。

そして、わたしもコンくんを抱きしめた。

「大丈夫だよ」

そして、コンくんは走ってヒロム達の所に

向かった。


「ここが、雪華組か...」

コンくんが言うには武器とか薬の

取引をしてるって、言ってたから

わたしは元々医学を習ってる

依存性の高い薬を服用して顔色が悪かったり、

挙動がおかしかったりしたら

直ぐに分かる。

その、薬を服用してそうな人をまず

人気の無い場所で待ってから

その人が誰かと話した瞬間後ろから

掴みかかって、銃でおどす。

その時の薬を持って奴はツバキの刺青を

入れてた、そいつをおどして

今ここにいる。

「ここまでは、意外と簡単だったけど...」

問題はどうやって忍び込むかだ。

だけど、ここで間違いない、レイの呪いの

反応が強くなってる、ここで引く事は出来ない。

ガラガラガラガラ

んっ?何で馬車がここに?。

疑問に思っていると中から

綺麗な雌の獣人達が数人ほど出てきた。

すごく豪華な着物を着てるなぁ。

そして、その人達は組の中に入って行った。

その時、わたしは閃いた。

「もう、雌用の服はやだけど...

レイの為だ仕方ない...」

わたしは雌の人達が乗っていた馬車の下につかまって、そのまま馬車が走り出した。

このまま、しがみ付いていれば!。


一時間後...。


「ここは...」

何だろう?お店みたいだけど?...。

「おや、どうしたんだい?」

ずっと、見ているとスズメのおばさんに話しかけられた。

「いっいえ...何でも...」

あーあ、しまった!馬車の下裏にいたから

汚れまくってるし!目を会わせて話できない!。

「あんた、もしかして?花魁に興味があるのかい?」

えっ?おいらん?...。

「そうさ、雄の殿方がお金を払って綺麗な雌の人を買ってすごい簡単には言うと

お酒をついであげたり、踊りや歌を見せてあげたり。

あまり、大きな声で言えないけど夜伽の相手をしたり」

えっ?よとぎ...。

わたしは固まってしまった。

「まぁ、ここは訳ありの娘達が集まる場所だからね

あそこは怖い所だけど、雪華組の人達に

ごひいきにさせて貰ってるからね」

雪華組!。

「あんたも知ってるでしょ?雪華組をさぁ、

週に一度、ご飯作る人と掃除する人と一緒に

行って、雑用している間に

花魁の娘達は夜の準備をするのさ」

なるほどそれなら!。

「あのー...」

「なんだい?」

とにかく今出来る事を!。

「実は仕事を探してるんです...

雪華組の雑用で構いませんので雇っていた

だけませんか?」

わたしは頼んでみた。

そうすれば忍び込めるかもしれない。

「いや!家としては逆に

助かるよ!あそこはちょっと怖い所だから

娘達は嫌でも行かないと行けないけど...

雑用してくれる人は怖がって

来る人が少ないんだ。

だけど、あそこはさっきも言ったけど

怖い所だからやめるなら今のうちだよ?」

いや、わたしもこんなチャンスは無い。

「大丈夫です…」

「そうかい!とりあえず、先に風呂だね

顔も体もすす汚れてるから

着替えはこっちが用意するから!」

そう言ってわたしはスズメのおばさんに

案内された。

「自己紹介が遅れたね、あたしは

トメって言うんだ。あんたは?」

どうする?念の為、偽名の方がいいかな?。

「ハナ...」

「ハナだね、よろしく!」

適当だけど、何とかなった待っててねレイ。

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