エピソード19【地獄の特訓】

俺達はとある道場に来ていた。

「懐かしいなぁ、だけどここも

随分と古くなったな」

「無理もないレイがまだ産まれてない時の

建物だからな」

ここは元々は叔父さんの警備隊の部活の人達が

訓練する場所だったんだけど

俺も叔父さんにここで護身術を教えて貰っていた。

「レイ、わたし達どんな訓練するんだろ?」

「そうだなぁ、叔父さんは確かに格闘も強いけど

武器を持って初めて力を発揮するから

周りから武術の鬼って言われてたから」

「まぁ、警備隊は基本、犯人を生け捕りにする

のが目的だから戦闘はやらないんだけど、

やっぱり自分の身を守る強さは持っておかないと」

叔父さんの言うとうり強くないと何が起こるか

分からないしな。

「よし、じゃあ僕は練習用の道具を持ってくるからレイとネロくんは先に練習着に着替えてくれ」

そう言って叔父さんは外に出て行った。

「こっちだネロ!」

「待ってよ!」


俺とネロは着替え室にやって来た。

「おっ!ちゃんと用意してくれてるな!」

「これが大和国の練習着かぁ」

ネロは目を輝かせながら練習着を見ていた。

「気に入ったか?」

「うん!」

どうやらネロは気に入ったみたいだな。

「とりあえず、着替えるか」

そう言って俺は服を脱いだ。

「あっ!後ろ向いてる...」

「おい、一緒に風呂入ってるのに今更か?」

「いや、だって何かその...」

こいつ本当に恥ずかしがり屋だな

まぁ、確かに風呂入ってる時も俺の体に目線

逸らしてるもんな。

「好きなだけ、観ていいんだぞ?」

「逆に聞くけどレイは、恥ずかしくないの?」

ここは正直に答えるか。

「恥ずかしくないって言ったら嘘になる」

「それならいいよ無理しなくて...」

また、そうやって気を使う。

「あのな、ネロ、俺はな恥じらいよりも

お前と愛し合いたいの」

「純愛じゃダメ?」

俺はネロの頬に手で優しく撫でた。

「純愛も好きだけど、俺はネロと

深い所まで行きたいんだ」

俺はネロを見つめた。

やっぱりかわいいな。

「やめて、ヒロムさん来ちゃうよ...」

「分かったよ...」

ネロはホッとした顔で着替えの続きをしていた

そして俺も無言で着替えた。

「ええと、そうだった初めて着るから

分からないなぁ...」

俺はネロの服を少し持ち上げた。

「手伝ってやるよ」

「助かるよ、レイ」

だけど、俺はネロの不意を突いた。

パシンッ

「わぁ!」

俺はネロの尻を叩いた。

「かわいいケツしてんなぁ!」


十分後...。


「待たせて、すまない...あれ?

なんで二人ともそんなに離れてるの?」

「別になんでもありません...」

やばい、調子にノリすぎたネロがずっと

怒って俺も口聞いてくれない。

「ま、まあね、とりあえず

武器に魔力を宿す練習だけど」

叔父さんは木刀を持って説明を始めた。

「レイは昔から使ってたから基本は分かるね」

「はい、今でも使ってます」

「そう言えば、キミがわたしを魔物から

助けてくれた時、剣に炎を宿してたよね

ほら、バレット・ベアーにどとめを刺した時」

まあ、確かあの時使ったけど...。

「それでも凄い疲れるんだよなぁ」

「僕の予想だと本来、二人が使えない

魔法だから正しい使い方が出来てないんだろう」

叔父さんは木刀を構えた。

「これを見て」

ヒュュュュー

木刀に風の渦が纏った。

「僕の場合は風属性だから

ちゃんとした使い方を知っている

だけど、僕がもし他の属性の魔法が

使えるようになったら、また一から

風属性の魔法じゃなく別の属性の魔法の

基本を学ばないといけない」

レミアさんも似たような事言ってたっけ。

「だけど、二人の場合、魔法の加減が

出来てないから知識よりまずは肉体からだね」

「ヒロムさんちょっと待って。

結局わたし達はどうすれば良いんですか?

それだったら初めっから先生もいた方が...」

「そう思って来たわよ」

「ぎぁぁぁああああああああぁぁぁ」

「あれ?レミアさんなんでここに?!」

いつの間にかレミアさんが後ろに立っていた。

ネロはビックリして叫んで

混乱してる。

「魔力を何とかする為に武術の知識をヒロムさんに教わる事になったんだけど

でもやっぱり私もいた方がいいと思って来ちゃった」

「いや!それだったら先生も一緒に来れば

良かったじゃん!」

「実は観光したかったのよ珍しい物でいっぱい

だからここネロがいたら

急かされてゆっくり観れないもの...」

そんなネロも服を観にい行きたいって

言ってたのは黙っとこ。

「あっ!どうもヒロムですレイの叔父です」

「どうも、私はレミアです

ネロの魔法の先生をやってます」

なんか急に自己紹介しだした。

「いやーレイがお世話になってます

実はちょっとレイには事情がありまして

あまり言えないんですけど

あの子ガサツで迷惑かけてませんか?」

「いえいえ、そんな寧ろ家の弟子が

泣き虫で、レイちゃんのたくましい

所を見習って欲しいわよ」

何この雰囲気。

「いやーでもレイは確かし気は強いですけど

流石におねしょ、した時は泣いてましたよ」

「あら、それならネロだって

雷に驚いておしっこ漏らした事あったわよ」


一分後...


「痛ったいぃぃ、何するのネロ?」

「おい、木刀で頭殴るなよレイ...」

俺とネロは木刀で二人の頭を殴った。

「言いたいのはそれだけか」

「錬金術の素材にするよ...」

「「すいませんでした」」

二人は土下座して謝った。


「おい!叔父さんコレ本当に授業なのか

ただの火に焼かれる処刑じゃんかよ!」

「大丈夫だレイ!やばくなったら火を消すから!!」

「もう、やばいよ!」

俺は炎が燃える真ん中の中央に正座させられてる。

これじゃ俺は丸焦げになるわ!!。

「大丈夫だコレは炎の元素を体に覚えさせるんだ

今ここで抵抗しては駄目だ」

「簡単に言うな!」


「せっ先生、わたしが水が怖くて

しかも泳げないの知ってますよね?」

「ええ、でもネロの魔法の一つ水の属性には

まず、水との調和が大事よ。

それじゃあ、思い切って飛び込んで!」

ドンッ

「うぁぁぁぁああああああああぁぁぁ」

バシャンッ

あっやばい、わたし、死ぬかも。


ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

「なんで!嵐の中訓練しないといけないだよ!!」

「雷なら雷の近くでの修行が一番だ

さあ、来い!」

たく!どうなってんだよ!!。

「オラァアアア!」

ドンッ

「そうだ、いいぞ」

俺の木刀が叔父さんの持っている

木刀に振りかざした

だけど、叔父さんは軽々と受け止めた。

「さぁ、もっとだ!」

「ああ、もうどうにでもなれ!」


「先生また、高い所?」

わたしはまた崖の上に立たされていた。

「ここは一年中、強い暴風がやって来る

場所なの、今は弱い風だけど

もうすぐやって来るわ」

「もしかして、ここにまた飛び込むの?」

「違う、わよ。

風が来ても、しっかり吹き飛ばされない

ように止まるのよ」

もっと最悪だった。

「それじゃあ、来たよ」

「えっ?」

先生は防御魔法で風で吹き飛ばされないように

した。

わたしは地面にしがみついて

吹き飛ばされされないように、

何とか踏ん張る。

「そうじゃなくて、ちゃんと二本の足で立つの!」

「簡単に言うな!」


「さぁ、レイこれを見るんだ」

「もう、見てるよ」

そう言って、叔父さんは

大量の砂の上に杖を刺した。

「これはな、昔の知り合いがくれたんだ」

バンッバンッバンッ

なんの前触れも無く砂が急に動いた。

「コレは砂の人形を作る物なんだが

訓練用に改良されてる。

中央にある杖を取ってくるんだ、

そうすれば人形はただの砂に戻る」

「なんだ、倒せばいいじゃん」

そして、俺は人形に向かって殴った。

「オラァ!」

バアアンッ

スゥゥウウ

「えっ!戻った!!」

「ああ、人形は元々ただの砂だから

すぐに元に戻るぞ、それと攻撃したらダメだ」

「じゃあ!どうすれば良いんだよ?!」

「耐えるんだ、耐えて、耐えて、

少しだけ動きながら杖を取るんだ」

ああ、また無茶な事言ってるよこの人。

バシャンッ

「うわぁ!ぺっぺっ、

砂が...口に!」

「焦らないで少しづつだ!」

「分かってるよ!」


「先生...今度は何するの?」

わたしは右も左も分からない森のど真ん中にいる。

「ここの自然に囲まれながら三日の間、

生活するのよ」

「いや!なんの必要があるの!?

魔法でしょ、今までの本当に意味あるの!」

コレ本当に効果あるのかな?。

もう体ボロボロ。

「魔法の属性はこの世界その物なの

つまり自然の元素、まずはその体に

元素を無理やりだけど、馴染ませるの

その為に直接、肌に触れさせて

調和を共鳴させるの」

なるほど、そういう事か納得。

「納得なんてする訳ないでしょ!

こんな所で三日も過ごしたら死ぬよ!」

「大丈夫よここはあんまり

危険な魔物はいないから...

多分...」

なんか今、多分って聞こえたぞ。

「とりあえず、頑張って!」

「アッ!ちょっとま...」

ビュウンンンンンン

「うわぁ!アレ?先生...」

先生...あの人、風魔法を使って急いで帰ったな。

「ここでどうしろって言うんだよ...」

わたしは森の中一人、置き去りにされた。


「おいーネロ、生きてるか?」

「もう、駄目...」

今は夜...。

俺とネロは道場で寝泊まりしていた。

毎日、俺もネロも過酷な特訓のせいで

体も精神もクタクタになっていた。

「でも、なんだろ

生きてるって実感があるな」

「ああ、俺もだ...」

こうして、ネロと別々で特訓してるけど

俺とネロも少なくとも段々強くなってきたと

思う。

「あっ!そうそう

実はね森で見つけた原石があって

訓練中は錬金術と魔法は禁止だったから

持ち帰って、宝石で首飾りを作ったんだ」

そう言ってリボンの飾りが着いた箱を出てきた。

「はい、レイにあげるよ!」

ネロはニコニコしながら俺に渡して来た。

「気持ちは嬉しいけど...

俺、正直に言うけど光り物、興味無いよ...」

「ええ、いいじゃん

レイにきっと似合うよ!

お願い着けて!!」

ネロは期待の眼差しで俺を見つめた。

やっぱり、まだ子供だな。

そこがいいけど...。

「ああ、分かったよ...」

「やったぁ!」

そんなに嬉しいのかよ。

「でも、流石に本物の宝石じゃないだろ?」

「いや、本物だよ原石が無くても

色んな素材から時間がかかるだけで

作れるよ?」

マジかよ、すげぇなネロ。

「まぁ、とにかく開けてみるか...」

そして、俺はネロに渡された箱を

開けた。

「なんだ、コレ...?」

ピンク色に...ハート...?。

「どうかな?ピンクダイヤモンドだよ

キレイでしょ?」

「...」

えっ?...俺が...コレを着けるの...?。

「やっぱ、いらん...」

「えっ?なんで!さっき着けるって?!」

「いいから、返す...」

「そんなぁ...」

その後ネロはしばらく落ち込んでいた...。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る