エピソード17【今できる事】

昨日ネロに言われたから

レミアさんの所に一緒に魔法の勉強を

しているが...。

「全然分からん...」

俺は確かに魔法は使えるけど

メインは物理特化だから魔法は得意な方じゃない。

「先生!レイが理解してませーん!!」

ネロが手を上げて言った。

「レイちゃん廊下に立ってなさい!」

レミアさんが俺を指差して言ってきた。

「あんた達!人をバカにも程があるだろ!!」

「ごめん、ごめんって

レイちゃん魔法は得意じゃないもんね!」

「簡単に言うと、わたしとレイの新しい魔法は

消費が激しいから依代を使うんだよ」

聞きなれない単語が出てきた。

「よりしろ?」

「依代って言ってもわたしが使ってる拳銃とか

レイの近接武器に魔法を宿すんだよ

ほら、よくキミ自身も呪いを剣に宿して

戦ってるでしょ?アレの応用だよ」

なるほどだけど...。

「だけど、俺とネロも新しい属性の魔法だから

使いなれて無いんだよなー」

「そこなんだよしかも、もう一つ問題があるんだ」

もう一つの問題?。

「ほら、さっき武器に宿して魔法を使うって

言ったでしょ?そうなると武術の基本も

学んだ方がいいと思うんだ」

なるほど確かに魔法によって特徴も異なるから

宿し方も変わってくるな。

「私は魔法専門だから武術はあまり得意な方じゃ

無いからジャックに頼もうと思ったんだけど...」

レミアさんは少し考え込んだ。

「ああ、先生言わなくても分かってます

隊長は教えるのが下手ですもんね」

ネロとレミアさんに寄ると手合わせの訓練は

まあまあ上手いらしいけど

初心者、相手でも手加減なしだし

実践に勝る訓練はない!って言いながら、

本気で稽古したりで周りから見たら

ただこスパルタな教官にしか見えないらしい。

「言っとくけど厳しくても、

ちゃんとした簡単なやり方から教えて欲しい」

「俺もネロと同意見だ」

俺はその時昔を思い出した。

「そうだ!なの人がいる!!」

俺は立ち上がりレミアさんに、

お礼を言った後ネロの手を引っ張って

走った。


俺はネロを連れてケント、とジャック隊長の所に

行こうとしていた。

「ちょっと?レイどうしたの急に?!」

「実は俺とネロを鍛えてくれる人に心当たりが

有るんだ」

ネロはキョトンとした顔でこちらを見た。

「誰なんだい?」

「俺の叔父さんだよ」

もう何年も会ってないけど手紙でちゃんと

連絡はしていた。

「俺とケントが昔両親を亡くなった時に

何かしら面倒みてくれてさ

ケントもその時は体が弱かったんだけど

俺には強くなる素質があるって言われたから

護身術を学んでたんだ」

叔父さんなら色んな武術の心得もあるから

あの人に頼んでみよう。

「なるほど、レイの叔父さんかぁー

会ってみたいなー」

「だろ?ケントも誘って行こうぜ!」

「うん!」

そして俺達はケントの所に走った。


「もう一本お願いします!」

「その意気だ!行くぞ!!」

カンッカンッカンッ

「相変わらず厳しいねジャック隊長」

「はっ!ネロ王子!!」

そう言ってジャック隊長はネロにお辞儀をした。

「やめてくれ、もう王子じゃないし

クラリスが未来の王様になるんだから

わたしにそんな風に堅苦しいあいさつは

しないで大丈夫だよ」

何かネロも段々くだけた喋り方になってきたなー

まぁ、いい事だそれより...。

「なぁ、ケント急な話なんだけど...」

「なんだい?姉さん??」

俺はケントに新しい魔法を使うには

武器の基本を身につけないといけないから

叔父さんの元で鍛えて貰いに

会いに行くからケントも一緒に行こうって誘った。

「なるほど、けどやめておくよ」

「えっ?何でだよ?!」

まさか俺は誘いを断るなんて思って無かった。

「本当は会いたいけどでも僕はずっと姉さんに

守られてきたから

それにあの時と比べたら僕も病弱じゃあ

無くなったけど、今よりもっと強くなって

叔父さんをビックリさせたいんだ!」

ケントはまっすぐな目で俺を見ながら言った。

なるほどこいつも色々考えたんだな...。

「分かったしっかり強くなって叔父さんに

褒めてもらえるように頑張れよ!」

「ああ、頑張るよ!」

俺はケントの肩に手をおいてしっかりと言った。

「でも、ケントさんジャック隊長の

教え方下手でしょ?」

「正直キツいけど、この人について行くって

決めたから」

「嬉しいぞケント!」

ジャック隊長泣いてる...。

「ですが武術でしたら私が教えても...」

「嫌だ!」

「俺もヤダ!」

そしてジャック隊長は落ち込んでしまった。

「ネロくん」

「はい?なんですか??」

急にケントがネロに話しかけた何だ?。

「僕はあの時正直ショックを受けたよ

姉さんに彼氏が出来たなんて...」

ケントはネロの肩に手を置いた。

「だけど...正直今でも気持ちにモヤモヤは

あるけど姉さんが選んだ相手だ、

だから姉さんを幸せにしてやってくれ!」

すげー泣いてるケント。

そして俺達はその場を後にした。

「シスコン...」

「どうしたネロ?」

「別に...」

何かネロが言ったようなしたけど...

気のせいかな??。


その日の夜...。


わたしはレイと寝る準備をしていた。

レイは両手を広げてわたしを誘った。

「来なよ...」

「やめて...」

だけどわたしはその気になれなかった。

「ああ、もう!つれないなっ!!」

「あんまり誘惑してると一緒に寝ないよ!」

レイはしょぼんと落ち込んだ。

「わかったよせめて添い寝してくれ」

わたしは無言でレイの横に寝た。

「でも、何か変だな俺の傭兵時代の仕事仲間達

にも一応、彼氏がいる奴がいたけど

雄はみんな野獣とか言ってたけどお前はそんな事

ないな」

「わたしは純愛が好きなの

それに辛い思いさせたくない...」

たまーに怖くなるんだよなホント

わたしは小心者だよ...。

「そうか、俺は結構激しいのが好みだけどな...」

そう言ってレイは太ももを触った。

「だからやめて...」

「何で?」

「なんでも...」

そう言って不満そうにレイは手をどけだ。

「ねぇ、レイ...」

「何だ?」

「レイの叔父さんどんな人だったの?」

わたしは少し気になったからレイに聞いてみた。

「叔父さんは...周りからは怖く見えるけど

本当は面倒見がいい人何だ」

レイはわたしを抱きしめながら喋った。

「両親が亡くなった後俺と弟が途方にくれてる時も

面倒見てくれてたし、俺に護身術を教えて

くれたし、それに俺が引き取られたお婆さん

が亡くなった時も実は手紙で自分の所で

また暮らそうって言ってくれてたんだ...」

わたしはふと、思った。

「何で故郷に帰らなかったの?」

「多分あの時の俺は色々、自虐的なってたんだろうな...俺と一緒にいる人達はみんな

死んでしまうって。

だから叔父さんの所に帰らなかったんだと

思う...あの頃の俺は自分でもよく分かんないんだ」

わたしはレイのお腹あたりに顔をうずくめて

抱きしめた。

「大丈夫だよ...もう幸せだから...」

レイはわたしの事をもう一度抱きしめた。

「何かわたしに出来る事あるかな?」

「それなら服脱げ」

「調子にのらない...」

そしてまたレイは不満げな顔でわたしを見つめた。

「野獣になってもいいだぞネロ...」

「そんなのなりたくないよ...」

それでもレイはわたしを離さない。

「お前にだったらなにをされても構わない...」

「そんなレイ...」

わたしは目を逸らした。

「ピュアだなお前の目は可愛いよ...」

「どっちが野獣だよ...やめてくれ...」

だけど、力だとわたしは絶対負ける。

何とか説得しよう。

「わたしは怖いんだ...分かるだろ自閉症だから

ほら...その前にも言ったと思うけど...小さな命が」

それが一番の理由かな。

「俺はそれでも愛せる」

レイは覚悟を決めた表像でわたしに言った。

だけど...。

「レイこれを見て...」

わたしは手首を見せた。

「わたしの治療魔法でほとんど消えてるけど

線があるでしょ?」

「おい、まさか?!」

レイはすぐに分かったようだ。

「自閉症は大きな物音にも敏感だし

一度やり始めた事を途中で止められない

それに急にかんしゃくを起こす

それだけじゃない...」

わたしはレイから離れてベッドの端に座り込んだ。

「顔や体を掻きむしったり

壁をずっと殴っりそれに酷い時は刃物で手首を...

分かるだろレイ...」

わたしはレイの、顔が見れなかった。

「前と比べたら今はマシになっただけど

それでも自傷をやってしまう事があるんだ」

痛いのは分かってるだけど止められない。

「俺がそばにいない時か?」

「たまに...」

顔が見れない...寒く無いのに震えてるわたしの体。

「手首...見せてくれ...」

わたしはレイの方に振り返り無言で手首を見せた。

「本当だ確かに全然分からないけど

少し傷がある...」

レイはわたしの手首を撫でた。

「俺はなネロ、別に乗り越えろとか

克服しろなんて言えない

だって、俺が一番知ってるんだ

自分の事なんだけど自分じゃどうする

事も出来ないって」

レイはわたしの手を取った。

「克服しなくてもいい...

かんしゃく起こしてくれてもいい...

だけど自分を傷つけのはやめてくれ...」

バッ

レイはわたしを力強く抱きしめた。

「やっぱりレイには歳上がいいね...」

「やめろよ俺はお前がいいの歳下最高」

わたしはレイの口にキスをした。

チュッ

「コレはしてあげる...」

「もっと大胆なのがいいんだけど...」

「だから、無理って言ってるでしょ?」

「たくっ!いつか襲ってやる!!」

自分の彼女に襲われたら今度こそわたし

情けない雄になるよ。

「克服、出来なくてもわたしが彼氏でいい?」

「もちろん!克服、出来る奴ばっかりじゃない

俺だって幸せなってるのに未だに

変わってないだろ?

お互い様だ!」

レイはわたしに向かって笑った。

「俺から離れるなよ...」

「分かった...」

そう言ってわたしとレイは二人で寝た。

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