エピソード15【母性】

何だろう...暖かいな...ここは何処だろう...

そうだレイ...何処にいるんだろう...

大丈夫かな?...

わたしは目を開けた...

するとここはどうやら洞窟みたいだ

わたしはいつの間に気を失っていたんだろう...?

「レイに...早く...」

無事なのだろうか?

早く会いたい...。

その時わたしの頭に何か生暖かい風の

感覚が...。

グルルルルルル

わたしは恐る恐る振り向いた...

そこにはアイス・サーベルタイガーがいた。

そうだわたしはこいつに連れ去られたんだ...。

バッ

わたしは後ろに下がった。

「来るな!風の刃で切り裂くぞ!!」

だけど、勝てるか?正直自信が無い。

「待って...」

えっ?...今喋った??...。

「何も心配いらない...」

えっ嘘喋った何で?!

アイス・サーベルタイガーは

意思疎通、出来ないはずなのに何で?。

「何で喋れる?!」

わたしがそう言った瞬間口を開いた。

「あの、黒い奴に何かされてこうなった...」

黒い奴...まさかあのコウモリの雄か...

そういえば実験とか言ってたから

実験体にされたのか...。

だけどそれなら...。

「何でわたしを連れて来た!」

わたしは聞いてみた、いくら敵意は無いみたい

だけどそう簡単に信用出来ない。

「面影があった...死んだ息子に...」

えっ?死んだ息子??...。

「あいつに捕まる前、夫と四匹の子供達と

幸せに暮らしてた、だけど

ある時に地震がやって来て

かなり大きくて周りの地面が揺れて

どんどん崩れていった

何とか私は夫のおかげで助かったけど

私を庇って夫は死んだ子供達も木の下敷きなって...」

彼女は泣いていた...それでも話を続けた...。

「私はその時死のうとした

だけどあの黒い奴に捕まって今の今まで

ずっと苦しい毎日を送って来た...

だけどあなたを見た時一番末の私の子供に

面影があってとっさに連れて来てしまった...」

なるほどそうだったのか。


「姉さん...姉さん...」

あれ?...俺は...ここは何処だ真っ暗だ...。

「姉さん!!」

「うわぁ?!」

俺はケントの声で起き上がった。

「良かった、姉さん気がついたんだね」

ケントが安心した顔で俺をずっと見つめていた。

「なぁ、ここはどこなんだ?」

「僕の隠れ家だよ、姉さんあの後

倒れて気絶してたんだよ

それでここまで連れて来た」

そうだ、あの時ネロはあいつに...。

「ありがとな、ケント...」

俺はそのまま立ち上がろうとした。

「待って、まさか行くの?」

「当たり前だこのままだとネロが危ない!」

手遅れになる前に救い出さないと!。

「待って今は夜だし吹雪がまだ続いてる

今は朝になるのを待つんだよ」

「だけど、こうしてる間にネロは!!...」

ケントは俺の肩に手を置いた。

「今はダメだせっかく再開出来たのに

また姉さんと会えなくなるのは嫌だ」

ケント...。

「お前の言うとうりだな

すまないせっかく再開出来なのに...」

「いや、いいんだ心配な気持ちは分かるよ」

せっかく再開出来たのにまさかこんな事になるなんて、しかも俺とネロが狙われてる何故だ?。

「だけど、ケントお前よく生きてたな?」

「実は僕が小さいころ飲んでた薬が仮死状態する

薬だったみたいで

あのコウモリの雄に棺に入る前に

ダミーの人形を残して僕を連れ去ったんだ

それで僕の事を長年洗脳しようとしたんだけど

最近になってやっと抜け出せたんだ

それで今は身を隠してるんだ」

あのコウモリ野郎俺が殺してやる!。

「あいつ、次見つけたら首もぎ取ってやる!」

「いや、そいつなら多分ネロくんだっけ?

そこ子の事を攫った化け物が噛み殺したよ」

何?!ネロを攫った奴が!!いや、待てよ...。

「おかしくないかそいつは殺したのに

何でネロだけ...」

「姉さんの言うとうり確かに

非常食にするつもり...」

俺はその時ケントの話をさえぎった。

「いや、それでも不自然だ

仮に非常食ならそれは住処がある魔物のやり方だ

あいつは多分あのコウモリ野郎が連れて来た

奴なんじゃないか?」

ケントはハッとした顔をした。

「そういえば、奴が殺されてた所に

あの化け物を入れられそうな檻があった!」

「もし、コウモリ野郎が連れて来たなら

あの魔物はここら辺に住処がある訳ない

野生の魔物は住処を作ってから非常食を

調達する」

おかしい順番が違う何でネロを...。

「だとしたら何で攫ったんだろ?」

「分からないけど...もしかしたらネロは

無事かもしれない...」

待っててくれネロ...ちゃんと迎えに行くから。


翌朝...。


「へっクション!」

ダメだ!朝になったらまだマシだと思ったけど

全然寒い!!。

「あの、サーベルタイガーはいつの間にか

消えてるし...」

だけど、これはチャンスかもしれない。

「ゴメンよ、可哀想だけど

ここには居られないんだ...」

心が少し痛むけどここにずっとは居られない。

「えっとまずはここが何処なのか外を観てみよう」

わたしは洞窟から出ようとしたすると...。

バァアアン

何だこれ結界?!

彼女こんな難しい魔法が使えるのか!!

確かにアイス・サーベルタイガーは

上位の魔物だけどこんな難しい技術が使えるなんて

しかもわたしが逃げようとしてるのバレバレだし。

「こんなったら魔法をぶつけて!」

そう思った瞬間...。

ドンドンドンドンドン

何か凄い地面が揺れてる。

「何をやってるのですか?」

しまった帰ってきた。

「あなたに関係ないでしょ...」

わたしはそっぽを向いて冷たく言った。

「まあ、とりあえずご飯にしましょう」

そう言って巨大な鳥の魔物を下ろした。

ドオオオオン

おいおい、この魔物

冒険者が三十人いてやっと追い払う事が

出来るぐらいやっかいな魔物だぞ

それを無傷で、そこにあったから取ってきた!

みたいなノリで置いたよこの人。

「さぁ、お食べ」

「さぁ、お食べじゃないよ!

このまま食べれないのわたしはお腹壊すよ!!」

せめて調理出来ればいいんだけど。

「ですが、私はどうすれば...」

ああ、もうこうなったら説得するしか無いか。

「お願いいったん洞窟から出して」

「でもあなた...」

やっぱりここから出したく無いのか。

「お願い逃げたりしないからじゃないと

わたし飢え死にする」

「分かりました...」

そう言って洞窟の結界を解いた。


一時間後...。


わたしは何とか火を炊いて

彼女が取って来てくれた鳥の魔物を解体して

焼いて食べていた。

「あなたも食べる?」

「いえ、私は生肉の方が好きなので」

さすが野生...。

「ねぇ、名前あるの?」

わたしは好奇心で聴いてみた。

「ユキです私の名前は」

「あらためてわたしはネロ」

ユキか...綺麗な名前持ってるじゃん。

「そんなに似てるのその...キミの子供に...」

「昨日も言いましたけど面影があったんです

それに多分生きてたらあなたぐらい...」

可哀想だとは思うでもやっぱり...。

「ねぇ、わたしにはここは...」

「やめて!」

彼女は急に大声を出した。

「ごめんなさい大声を出してだけど

もう独りは嫌なのお願い私が必ず守るから

そばに居て...あなたと一緒にいると

息子と一緒にすごした日々が思い出すの

お願い行かないで...」

彼女は泣いてしまった...

わたしはどうすればいい...。


ザッザッザッザッザッ

「なぁ、姉さんその方位磁針

ちゃんとネロくんの居場所を案内してくれてるの?」

「ああ、前に敵を探す時と同じやり方で

見つけられると思う

あれは傭兵の頃の俺の勘が言ってるんだ

ネロを攫った奴はかなり強い

と言う事は一か八か魔力の反応をたどるんだ」

もしも、魔力をまったく持ってない魔物

だったら...

いや、後ろ向きでどうする?!

今はやれる事をやるんだ!

じゃないと誰がネロを助ける!!。

「姉さんここら辺はもっと入り組んだ森だよ」

「分かったしかしあいつ何処に行きやがった...」

そう思った瞬間、針が急にすごいスピードで回り

出した。

「おい、近いぞ!」

「本当に?!」

これだけの反応そうそう出ない

だとしたら...。

「こっちだケント!」

「分かった!」

ザッザッザッザッザッ

俺達は走ったそして針はどんどん早く

回り出す、そして...。

「待つんだケントアレ見ろ...」

まだ、遠くて見えずらいけど...。

「姉さんあの子もしかしてネロくん?!」

「そうだ良かった無事だった...」

ネロは無事だった。

だけどあのネロを攫った奴が横から出て来た。

「あいつ近くにいたのか...」

「姉さん、ネロくんが!!」

出て来たと思ったらあいつはネロに

飛びかかった。

「そんな...ネロが襲われてる!!」

「姉さん行こうもう考えてる時間は無い!」

「ああ、分かってるさ!」

そう言って俺とケントは二人で急いで

ネロを救う為に走った。


「ほらほらお母さんが遊んであげる」

「わたしは遊びたくないしあなたは

お母さんじゃ無い!!」

わたしがそう言ったら

静かになって、しゅんとしてしまった。

えっ?わたしが悪いの?!。

ビリリリリリリリ

バァアアン

ピュンッシュウウウウウウウウウ

レイがいきなり現れて電流を流した

飛び蹴りで襲いかかった

だけど、彼女は氷の柱で防御した。

「レイ!!」

「待ってろネロ今こいつを倒すから!」

グルルルルルル

ガァアアアアア

シュウウウウウウウウウ

ピュンッピュンッピュンッ

「危ないレイ!」

氷柱がレイに当たる!!。

「姉さん任せて!」

ドオオオオン

バァンッバァンッバァンッ

土の壁を作って氷柱を全て受け止めた。

あの人はまさかケントさん

うわぁ...一発でわかるだってそっくりだもん。

「こんにちはネロです」

「あっどうもケントです姉がお世話になってます」

「いえいえ、こちらこそ」

礼儀正しくあいさつしないとね。

「こんな時に何あいさつ知るんだよ!!」

「本当にですよ!」

「うわぁ!喋った!!」

レイとケントさんは彼女が喋った所を観て

驚いてるまぁ、わたしも初めは驚いたもんな。

「てめぇ、ネロをよくも...」

「なんですか私に勝てると思ってるのですか...」

「姉さん僕も戦うよ...」

三人とも完全に戦う気だ。

「落ち着いていったい話し合おう!」

わたしな三人をまず、なだめようとした。

「ネロ大丈夫だこいつは必ず倒す!」

「姉さんの恩人は僕の恩人その人を

攫うなんて許さないぞ!」

「黙りなさいあなた達に私の何が分かるの!!」

「ちょっと落ち着いて!みんな話を聞いて!」

それでもわたしは何とか落ち着かせようとした

だが...。

「覚悟しろよ!」

「僕も本気でいくよ...」

「来なさい!」

わたしは握り拳を作った。

そして地面に拳を叩きつけた。

ドンッドンッドンッ

ヒュルルルルルルルルルルル

「うわぁ!」

「えっ?植物なにこれ?!」

「なんですかこれは?!」

わたしは怒りのあまり叫んだ。

「いい加減わたしの話を聞けぇえええええええ!」

そして三人はやっとわたしの方に集中してくれた。

「まったく!人の話をちゃんと...」

ドンドンドンドンドン

あれ何か奥から音が...。

ガァアアアアアアアア

「えっ?バレット・ベアー!!」

しまった!さっきの音で眠ってたのに

起こしてしまった!。


グゥルルルルル

ガァアアアアア

「うわぁ!」

「ネロ!」

ネロは巨大なクマの爪でやりそうになったが

防御魔法で止めただが...。

パリンッ

「くっ魔力が...」

しまった植物系の魔法を大掛かりに使ったから

魔力が少なくなったんだ。

こうなったら...。

ブォオオオオオオオオン

自分の体を炎で燃やした。

「間に合えっ!」

ガァアアアアア

「ネロォォオオオオオオ!」

ヒュンッ

ドスンッ

「この子に手出しはさせない!」

グァアアアアアアア

あのサーベルタイガーの出した氷柱に

バレット・ベアーの肩に刺さった。

今のうちに!!。

ブォオオオオオオオオン

ドオオオオン

ツタを焼き切れた!

これで...。

「姉さん使って!」

そう言ってケントは自分が持ってた剣を

俺に向かって投げた。

パシッ

シャンッ

「ウォオオオオオオ!」

ブォオオオオオオオオン

俺は剣に炎を宿した。

「さっきのお返しだ!」

シュンッ

ジャバァアン

グァアアアアアアアン

ネロは風の魔法で両足を切った。

バレット・ベアーはそのまま腹を見せて

倒れた。

ビュユユユユユン

ドオオオオン

そしてそのまま腹に突き刺た。

ジュッバァアアアアアン

バレット・ベアーは腹の急所に

炎を宿した剣に刺されてそのまま動かなくなった。


「はぁはぁ助かった...」

あっヤバいまだ魔力使い方すぎた...。

「ネロ!」

バサンッ

ああ、レイが上手くキャッチしてくれた...。

シュルルルルルル

「うわぁ!」

「これは魔力が無くなり枯れている?!」

植物は枯れてケントさん達を縛っていた

ツタもゆっくりと下に落ちていき

二人はそっと地面に足を置いた。

「ああ、ネロ無事で良かった...」

「泣かなくてもわたしは大丈夫だよ...

よくよく考えたらわたしが魔法使ったから

来ちゃっね」

「いや、俺も頭に血が登ってたからゴメンよ...」

レイは真っ先に謝った。

「ネロくんゴメンよ...」

「私とした事がつい状況が...ごめんなさい...」

二人も続いて謝った。

「ああ、でもお前が無事で良かった...」

レイは涙を流してわたしを抱きしめた...。

「...レイと言いましたか?」

彼女は突然レイに話かけた...。

「何だ?」

「あなたの大事な人を奪ってごめんなさい...

二人の事を観ていると死んだ夫を思い出した...」

彼女はわたしとレイを見つめた...。

「私は愚かでした...どうしても寂しくて

子供達が恋しくて...夫が亡くなった事が辛くて...

その子を巻き込んでしまった...」

彼女はわたしの方に顔を近ずけた。

「ありがとう、あなたと一緒に居て

楽しかったわだけどお別れね...」

そう言って彼女は背を向けて去って行った。

「おい、彼女そんな理由があったのか...

俺知らなくて...」

レイもうつむいてしまった。

わたしは考えた...。

「待って!」

わたしはレイからいったん離れて彼女を

追いかけた。

「どうしたのですか?

あなたはこっちに来ては駄目ですよ??」

わたしは深呼吸して目を合わせるのは

苦手だけど、しっかりと目を観て喋った。

「ユキさん、さえ良かった

ライオネル国に一緒に帰らない?」

ユキさんキョトンとした顔なって固まった

そして我に帰ってハッとした。

「いえ、待って下さい私何かが...」

やっぱり遠慮するかー。

「大丈夫だよ後の事はその時考えればいい

わたしに任せて...それとも独りの方がいいの...」

そう言った瞬間わたしに抱きついた。

バッ

「ありがとう...ありがとう...」

「苦しいよ...」

何だろ...今ならお母さんって思ってもいいかも...。

「良かったですねええと...」

「ユキでいいですよ」

「あっすいません僕はケント」

その後みんなであらためて自己紹介をした。

「なぁ、ケントお前も一緒に

ライオネル国に帰ろうぜ」

「えっ、いいの?!」

「もちろんだよケントさん仕事と

お家もわたしが手配してあげるよ色々苦労した

もんね」

ケントさんはわたしの手を握ってブンブン振った。

「ありがとう!本当にありがとう!」

「あわわわわ」

何だか賑やかになったな。

「所で姉さんとネロくんはどんな関係なの?」

「んっ?ああ、俺の彼氏」

そしてケントさんは静かな声で

姉さんに彼氏が出来たっと言いながら倒れ込んで

一時間ぐらい落ち込んでいた。

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