エピソード14【こごえる大地】

「ここがそうですよ」

俺とネロは道案内の為の人を雇って何とか

氷永の雪原まで案内してもらった。

「ありがとう...コレ代金の代わり...」

ネロはそう言って代金の代わりに怪我や病気を治す薬品を

カバンごと渡した。

「こんなに良いんですか?!」

「材料があればいくらでも作れる遠慮しないで...」

後はここに入れば...。

「なあ、やっぱりここまで連れてきてなんだけど

危険な魔物が沢山うろうろしてる引き返そう」

この人も俺達の事を心配してるんだろう。

「大丈夫です俺にはやる事があるので」

「わたしもずっと一緒...」

人がいるから、ぎこちないけど嬉しいよ。

「さあ、行こう!」

「うん!」

遠くからどうなっても知らないぞ!って声が聴こえたけど

それでも俺達は止まらない。


「ハクションッ!」

「大丈夫か?」

さっきから、くしゃみが止まらないわたしは寒いのが苦手だ

てか、これだけコートやマフラーと手袋と帽子を着ててもこの寒さ。

「ここで遭難はやだよ...」

「俺だってやだよ」

ここに本当にケントさんはいるのだろうか?。

バサァッ

グァアアアアア

「うぁ!スノータイガー!!」

しかも三体!これはまずいよ!!。

バァンッ

グァアアアアア

一体がわたしに向かって襲いかかった。

「ネロ危ない!」

だけどわたしはあの時の感覚を思い出して。

「はぁああああああ!」

わたしは氷の槍を作りそのままスノータイガーに飛ばした。

ピュンッピュンッピュン

グサッグサッグサッ

三つとも命中。

ボンッ

ガァアアアア

しまった横から不意討ち!!。

ジュボンッ

ドオオオオオオオオオオオオオオン

レイが炎を纏った飛び蹴りでスノータイガーの横腹を貫通して倒した。

「大丈夫か!?」 

「ありがとう!」

残るは一体わたしとレイは一緒に睨み付けた。

グルルルルルルル

バァンッ

良かった逃げてくれた。

「さすがレイだっ...」

「おい、ネロ...あれ何か俺も...」

何だか疲れが急に来たな。

「新しい魔法は消耗が激しいみたいだね...」

「ああ、いざって時に使おう」

そしてわたし達はどこか休める場所を探した。


数時間後...。


ブォオオオオオオオオオオオオオオオ

わたし達は猛吹雪の中を歩いていた。

「どうなってんだよ!急に吹雪がやって来たぞ!!」

さっきまで晴れていたのにここはやはり

危険な場所なんだな...。

「ネロ、ちゃんと後ろにいるか?!」

「大丈夫だよ!」

右も左も分からない視界が...。

「おい、ネロしっかりしろ!」

「ゴメン...レイ...」


ブォオオオオオオオオオオオオ

「しっかりしろよネロ!!」

ネロの意識が無い。

背中にかついでるけど俺はいったい何処に行けば

いいんだ...。

「クソっ...俺も視界が...」

何だかボヤけて来た...こんな所で倒れたら...

ネロまでダメだ...しっかりしろ...。

だけど俺は頑張りも虚しく倒れてしまった...。

もう、目の前の視界もよく見えない...。

「なんだ...幻覚か...」

目の前に黒い影が...。


シャンッシャンッシャンッ

何だ...この音は...これは確か...

鍛冶屋で剣を研ぐ音に似てる...。

「うっ...ぐぅ...」

「何だ目が覚めたか?」

目の前には左目に眼帯をつけた黒いコウモリが

いた。

「あんた...誰だ...ここは...」

「それより今自分の状況を確かめた方が良いと思うぞ」

そして俺は今になってやっと気づいた

俺は両手を縄で縛られてて天井に

吊るされていた!。

「何だよこれは!」

「おいおい、暴れるなよ」

何だよこいつはどうなってるんだ!!。

「ここにはある目的で来たんだけどな

だけどまさかあんたらがいたとはな

まあ、ついでだ」

そう言って奴は檻の方に歩いって行った。

「とりあえずまずはこいつから」

そこにはネロが入っていた。

コウモリ野郎は水の入ったバケツをネロの

顔にかけた。

バシャンッ

「ゲボッゲボッ」

「ネロ!!大丈夫だから!てめぇネロに何かしやがったら!!」

「うるさいなぁ、すぐ終わるからお前はそこで

待ってろ」

何とかしないと!

両手に呪いを宿してこの縄を...

おい!なんで出来ない?!。

「あっそうそう言い忘れてた

お前と白い坊主のその首輪、

魔法が使えなくなる効果があるから

逃げられないぞ」

くそっなんなんだよ!。

ギイイイイッギイイイイッギイイイイッ

ネロは檻ごと引きずられてどこかに連れて

行こうとされる。

「やめろ!ネロすぐ行くから!!」

「レイ!大丈夫だよ心配しないで!!」

そう言ってネロは扉の向こうに連れていかれた。


ここは洞窟なのか?

わたしはこれからどうなるんだ?

ガシャンッ

バンッ

扉が開いたと思ったらうるさい音を出しながらしまった。

「ねぇ...何でこんな事...するの?」

コウモリの雄は口を開いた。

「あま、喋るのは好きな方だからいいぞ

喋ってやる」

何だよこいつは。

「まぁ、ホントにたまたま何だよなお前らが

いたのは本来は私のペットを探しに来たんだ」

「そのペットって何?」

奴は刃物を色々見ながら口を開いた。

「いやねぇ、確かほら君と一緒にいる

オオカミの雌いるでしょ?

あの子みたいに昔黒いオオカミの姉弟がいたん

だけどねやっぱり洗脳するなら

子供のからやった方がいいのよ、

本当は両方欲しかったんだけど欲張ると

失敗するからっ弟の方だけにしたの」

えっ?ちょっと待てまさかこいつ...。

わたしは魔法を使おうとしただがその瞬間

奴は口を開いた。

「あの、オオカミにも言ったけど

その首輪は魔法が使えなくなるのだから無駄」

なんて事だそれだとあの新しい魔法も...。

その時わたしは悔しくて檻の手すりを掴んだ

だけどその時...。

ヒュュュ

少しだけ手すりが凍った。

何故だ魔法は使えないはずなのに?

いや、今は考えてもしょうがない

これはチャンスだ。

カランッ

「しまった、うっかりノコギリ落としてしまった」

グヮンッグヮンッ

バァンバァンバァン

奴がノコギリを落とした瞬間

わたしの檻の少し離れた所に多分檻に

大きな古い布を被せているのだろう

中から獣のが暴れている。

「ああ、静かにして!まったく

刃物だから気をつけないと

それでどこまで話したっけ?」

コウモリの雄は話を続けた。

「その弟の方は体が弱かったらしいから

私が作った薬を売りつけてその姉に渡したの

まあ、段々体は弱体化していって

死んだように見せかけて実は仮死状態にしたの

その後は時間切れになる前に

私はダミーの肉の人形を棺に入れて

こっそりその子を持ち帰ったの」

だけどコウモリの雄は顔が険しくなった。

「初めは順調だった実験体にしようと思った

けどシンプルに洗脳して暗殺者にする方が

効率が良いと思って育ててたんだけど

あの子まだ昔の記憶が残ってたみたい

自分と同じ黒いオオカミがこの大陸に

いるって風の噂を聞いて私の目をナイフで

刺した後に脱走したの」

だから眼帯つけてるのか。

「まぁ、結局見つけられなかったみたい

それであの子はずっと逃げ回ってるの」

もしかしてレイの弟のケントさん!

断言は出来ないけど可能性はある

だけどもう一つ気になる事が...。

「何でわたしとレイを狙う?」

「ああ、ごめんなさいそれについて

言える事は命令されて動いてるだけだから

特に理由はない」

命令?何でわたしとレイが狙われる?!。

「誰からの命令だ!」

「まあ、私の研究の為にお金払ってくれてる

人それ以上の事は知らない

だって私喋るの好きだからその人の事も

聞かれたら話してしまうよ」

何だよこいつ?

普通は喋らないのにベラベラ自分から話して

こいつ狂気じみてる。

「まあ、とりあえず...」

そのコウモリの雄は鉈を持ち上げた。


「くそっ!何かここから抜け出す方法を!!」

早くしないとネロが...。

「魔法が使えないんじゃ...」

その時俺は怒りに燃え上がった。

「クソっがぁああ!」

その時両手に炎が宿った。

ジュボンッ

パシッ

「うぉぉ?!」

バァンッ

「痛てぇぇ、何でだ魔法は使えないんじゃ?」

いや、今はそんな事どうでもいい。

俺はもう一度試しに電流を手のひらに流した。

ビリリリリリ

「よし!使える!!」

そして俺は首輪を両手で左右に引っ張って

壊した。

パキンッ

これで探しに行ける。

ギィィィ

俺は少しだけ扉を開いたすると

人影が見えた多分見張りだな。

「ここで捕まってたまるか...」

俺は静かに後ろに忍び寄った、そして...。

バッ

その見張りの首を後ろから掴んだ。

「顔を見せな!それと白いライオンの子供か

コウモリ野郎の居場所を言え!

じゃないと顔面をドロドロに燃やすぞ!!」

俺はフードをめくった。

「待ってくれ!何も乱暴するつもりは無い!」

だけどそいつは...。

「えっ?...まさか...」

あれから何年も月日が流れたけど

それでも分かる...。

「ケント...」

「あれ?姉さん、何でここに?!」

俺は思わず涙を流した。

「こっちのセリフだお前こそなんで?!」

「話は後だ!ここから逃げよう!!」

ケントは俺の手を引っ張って連れていこうとする。

「待ってくれネロがまだここに居るんだ!」

「ネロ?クソっあいつまだそんな事を!!

急ごう手遅れになる前に!」

そして俺とケントはネロを探しに

走った。

待っててくれネロ。


コウモリの雄は鉈を丁寧に研いでいた。

「あなた達ホントは殺したく無いんだけど

新しい研究室をプレゼントしてくれる

から仕方ないだよね」

何が仕方ないんだよ結局自分の私利私欲じゃないか!。

「まあ、でも苦しめ無いから安心して」

そう言って扉を開けた。

ギイイイイ

今しか無い!。

ヒュュュ

ピュン

わたしは小さな氷柱を飛ばして奴の頭を

狙っただけど...。

カキンッ

「うわぁ!」

狙いが外れて鉈に当たって何処かに飛んでいって

しまった。

すると...。

パキンッ

さっきの唸り声が聴こえた檻のカギが壊れた。

バァンッ

グルルルルルル

ガァアアアアア

出て来たのは...

嘘...。

「アイス・サーベルタイガー!」

グルルルルルル

ガァアアアアア

アイス・サーベルタイガーは真っ先に

コウモリの奴に襲いかかった。

バンッ

ぐじゃぐじゃく

コウモリの雄はあっさり噛みつかれた。

ピシャッ

わたしの顔に血が飛びちった。

グルルルルルル

今度はわたしの番か...。

「ごめんよここで死ぬ訳にはいかない!!」

わたしは首輪を風魔法で壊した。

ピュン

パキンッ

「さぁ、来いよ!!」

だけど、サーベルタイガーは来ない

それどころか...。

「えっ?泣いてる??」

バァアア

突然襲いかかって来た!!。

「うあああ!」


「ケント!何かすごい音がしたぞ!!」

「こっちだよ姉さん!」

俺とケントは音がした方向に向かって走った。

ドオオオオン

「うわぁぁあ!!」

「姉さん!」

いきなり何だよ!

だけどそこには馬鹿でかい猛獣が

ネロのフードをくわえて

そこに立っていた。

「ネロ!てめぇ何しやがる!!」

俺はネロを取り返そうとした、だか...。

ドオオオオン

壁をぶち破りそのまま逃げてしまった。

「ネロぉぉおおおおおお!」

俺は叫んだけどそのまま連れ去られた...。

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