エピソード6【動き出す運命】

「んっうん...」

光が眩しい

ああ、そうかもう朝か

昨日はレミアさんに拠点の整備を頼まてれ

ずっと動いてたもんなネロも

魔力を結構消耗してたからそりゃ疲れるよな。

だけど、いつぶりだろうなこんな熟睡したの

傭兵やってた頃は野宿してる時も

いつ寝込みを襲われるか分からないから

おちおち眠ってられなかったからな。

「ああ、よく寝た」

「レイ...寒いよ...」

「ああ、ゴメンよ」

今日の朝は冷えるな風邪をひかな...。

「あれ?ネロ何故だ...」

俺はもう一度ネロの頭を撫でて確認した。

「やっぱりネロだという事は...」

俺そのままネロの寝室で一緒に寝落ちしたのか!!

「おいネロ起きろ!!」

「うん...何レイそんなに慌てて...」

ネロはまだ寝ぼけてる。

「ネロ俺を見て何も思わないのか?」

「えっ?...アッ!」

ネロは慌てて起き上がった。

「レイ何でここに自分の寝室に戻らなかったの?!」

「いつの間にか寝てたんだ俺もさっき目が覚めたんだ!!」

この状況はやばいこんな所を見られたら

俺達の関係がバレる。

「とっとにかく落ちつ...」

「王子ー起きてますかな朝食を持って来ましたぞ!」

扉の向こうからロビーさんの声が聴こえる。

「ロビーが来ちゃった!急いでレイ、ベットの下に隠れて!」

「分かった!」

俺は急いでベットの下に潜り込んで隠れた。

「入ってもいいですかな?」

「どうぞロビー...」

俺は心臓がバクバクしながら俺は静かに

早くロビーが部屋から出るのを願った。

ギィィっバタン

「おはようございます王子それでは早速朝食を」

「あっありがとうロビー...」

そう言ってロビーはベット上に座ってる

ネロに朝食の準備をした

食器を並べる音が聴こえる。

「しかし、ネロ様久しぶりに二人っきりなので

いきなりですが」

「なっ何ロビー?」

何でこんな時に話してんだよロビーさん!

「まさかレイ様が雌性(じょせい)だったとは

だったとは驚きました」

「はっはっそうだね...」

ああ、そういえばロビーさんとジャック隊長

には俺がただ単純に俺が雌って事を聞かれなかったから言わなかったって事にした。

俺が性同一性障害なのを知ってるのは

親しい人ならネロとレミアさん後もう一人は...。

「実は思っていましたが...」

「なっなんだい?」

ロビーさん俺の事かな何か失礼な事してしまったのかな?

「私も失礼ですな気付かなかったとはいえ

あんな美人な方を雄だなんてだけど...」

ロビーさん褒めてくれるの嬉しいけど俺

かっこいいの方がどっちかって言うと嬉しい。

「王子の隣に立っても釣り合うお方ですな」

えっ?ロビーさん俺の事...。

「ロビー...レイはただの幼なじみだ...」

「ああ、いえ失礼そうでしたか」

「それに確かにレイ美人だよだけど、

懐刀が妃なんて...」

妃か俺にそんな品のある言葉は似合わないな。

「いえ、昔の事例ですが名のある軍の隊長と使えてた国の姫君と結婚した記録もありますぞ」

「だけど、それは戦争していた時代でその隊長も

かなりの手柄を立てたからだろおとぎ話でも

勇者だって連れ去られたお姫様と結ばれたの

だって命懸けだったじゃないか

戦争もない世界の危機もない今この状況で

どうや...どうやって手柄を立てる?」

ネロの言うとうりだ、元から叶わない恋なんだ

だけど、俺が無理言ってネロに

別れるのが決まってる恋人になってもらった。

気のせいだといいなさっきネロ声震えてた...。

「王子あの私はただ...」

「いや、別に気を悪くした訳じゃないんだ」

「いえいえ私も幼なじみなのに二人の関係に

割り込んで申し訳ないです」

ロビーさんいい人だなネロもこの人達がいたから

今までやって来れたんだろうな。

「いえ、しかし期待してしまいます...」

「えっ?なにを??」

ロビーさんが期待するって俺もしくはネロかな?

「いえ、王子とレイ様がお互いの気持ちを抑えきれずに叶わぬ恋と知りながらお互い全裸で

ベッドに二人で抱き合いながら寝ている所を

期待してしまいます」

...前言撤回この熊後で蹴り飛ばす。

「ロビー...」

「はい?」

「ちょっとこっち来て」

「分かりました」

その後バシンと音がしたけど俺は気にしない。


一分後...。


「あのくそ熊絶対殺す」

「まあまあ、大丈夫だよわたしが殴っといたから」

まあ、とにかくバレなくて良かった。

「じゃあ俺そろそろ行くな」

念の為窓から出るか。

「待って」

「なんだ?」

ネロはベットから出てクローゼットから

魔法陣が描かれている布に包まれた物を持って来た。

「開けてみて」

俺は無言で開けてみたすると。

「おっ美味そう」

サンドイッチだ朝食にピッタリな大きさと具材が入ってる。

「その魔法陣は食材を一日だけ保存する

魔法なんだ昨日帰った後にすぐに自分で作ったんだ自分の夜食にしようと思ったん

だけど、良かったらあげるよ」

「ありがとよ」


五時間後...。


あれから無事に誰にも見られずにネロの部屋から抜け出せた

ネロは今は昼飯を食べている所だ、俺は本来食事をする時も

護衛の為にそばにいる。

今回はジャック隊長が変わってくれている

前に隊長の妹さんの子供が重い病気になってしまって、その時に

ネロが作った薬を隊長に渡してそれで昨日やっと元気になったらしくて

そのお礼を直接言いたくて護衛を変わってくれって頼まれた、別に

ただ目の前でお礼言えば良いのにあの人真面目だから何をするにも

徹底的にしないと気がすまないんだよな、食事が終わったらネロの前で

すごいお辞儀しながらお礼言ってんだろうな。

「はぁー」

俺は思わずため息を吐いた。

勇者かネロの言うとうりそんなおとぎ話みたいに上手く事が進む訳ないよな

戦争で手柄を立てるならまだしも、それだってかなり活躍しないといけないし

それに今はどこも戦争なんてしてないし。

「俺はどうしたいんだろうな...」

ネロの事は心の底から愛してる

だけど、あいつは俺の手の届く人じゃない。

「両思いで付き合ったとしても幸せになるとは限らないか」

だけど今だけはせめて。

「おい、伝書鳩だ」

「これって国の正面の門の奴らからだ」

伝書鳩何かあったのか?。

「何かあったんですか?」

「ちょっと待ってろ今中を確認する」

そういって衛兵の先輩は内容を確認した。

「何?」

「どうしたんですか?」

急に先輩の顔が険しくなっていく。

「こちらの国に軍隊が近づいていると」

「軍隊が近づいてる?!」

俺は冷や汗をかくまさか戦争を吹っ掛けに来たのか?

でもどこの国だよこの国はネロが治療魔法と錬金術で

怪我や病気の治療をネロが直接治したり錬金術で作った薬も

沢山の国で国民達が救われてる

この国はもちろん他の国もネロの前じゃ頭は上がらないなのに何故。

「まずいぞこれはすぐにジャック隊長に知らせないとそれともしもの

為に王子の身の安全をあの方は国に取っても大事な方だし

俺の妻と息子を事故で大怪我をした時に助けて下さった恩人でもある」

ああ、この人もネロに救われたんだな。

「王子と隊長の居場所はわかってます自分が行ってきます!」

「ああ、頼む!!」

俺はネロとジャック隊長の元に走った。


五分後...。


俺は急いで走ったそしてネロがいつも食事を取ってる場所にやっと着いた。

「王子そして隊長大変です!」

「おっおいレイ殿どうしたそんなに慌てて?」

「どうしたんだレイ今食事を食べ終わった所だ?」

「大変ですこの国に大勢の軍隊らしき集団が

来ています!!」

ネロはすぐにイスから立ち上がり

ジャック隊長は険しい顔になった。

「レイ、ジャック隊長すぐに防御体制を

そして住民の避難だ!わたしも出て指揮官を

務める」

ジャック隊長は慌ててネロを引き止めた。

「ダメですネロ王子!」

「何故だここはわたしの国で国民達が暮らす

場所だわたしも命令ぐらいは出来る!」

だけど、ジャック隊長も引き下がらない。

「いえ、ダメですあなたはこの国の未来

そして優秀な治療魔法の使い手あなたが

にもしもの事があればこの国は破滅します!!」

ネロはもどかしそうだった俺に出来る事は...。

「ネロ王子今は様子を見ましょうあなたに出来る事が必ずあります今は冷静に」

「レイ...分かった、ジャック隊長頼むぞ

だけど、誰か負傷してそちらの部隊の

回復術士じゃ手が足りなくなったらすぐに行くからな!!」

「...分かりました頼もしい限りです」

それでも隊長は心配だろうけどネロ今は

下がってくれた。

「レイ殿はここに残って王子の護衛を

もしもここまで敵が迫って来た時には王子を連れ出して逃げてくれ」

「御意!」

隊長はそう言って戦場になるかも知れない

場所に向かった。

「レイだけど、何でここにそんな大群が?」

「分からないどんな見た目の奴らなのかも

分からないんだ」

「ここから双眼鏡で見えないかな?」

ネロは双眼鏡を取り出した。

「これはまだ試作品なんだけど衛兵達が使ってるよりさらに遠くを見る事が出来るんだ」

ネロは双眼鏡を使った。

「ここから見えるかな?」

ネロは窓から双眼鏡を使い試しに

軍隊の方角を探す。

「レイ何処の方角か分かる?」

「確か門の衛兵の鳩だから入口の門の方角だ」

「分かった」

ネロは入口の門の方に方角を合わせた。

「なんだよあれ茶色い鎧を

纏ってるだけど、変だな鎧がボロボロだ」

「どういう事だよいくら大群でもそんな

ボロボロ装備じゃダメだろ、俺にも貸してくれ」

ネロは俺にも双眼鏡を貸してくれたそして

見ていた方角に合わせると。

「本当だボロボロのまるで土みた...」

土...まさか!!。

「ネロ何か魔力を探知する道具持ってないか

レミアさんの水晶みたいなやつ」

「こっちに来て城の研究所にあるよ」

そして俺達は研究所に向かった。


「えっと何処だ...」

ネロは引き出しを開けて必死で探す。

「確かここにあった!!」

「見つかったか!」

ネロは方位磁石の様な物を取り出した。

「本来の方位磁石は方角を調べる為の物だけど

これは魔力を探知するものなんだよ」

「闇属性に合わせられるか?」

「ちょっと待って...」

そう言ってネロは方位磁石に細工をし始めた。

「これで良し...」

そう言った瞬間針が急に回り出した。

「えっ?何これ?!闇属性の魔力が

強すぎてちゃんとした方角に止まらない?!」

俺の予想は当たった。

「ネロこれで分かったあれは軍隊じゃない」

「レイ何か分かったの軍隊じゃ無ければあれは...」

「ネロあれは傀儡だ」

「くぐつ?確か人形を呪いの力で操る力...

まさか!!」

ネロも気付いたか、呪いの力で人形にまるで命を

宿らせたかの様に動かす力俺の産まれた国

特有の闇属性の使い方だ傀儡はまるで死を恐れずに進む兵士だ

このままだとまずい。

「レイ止める方法は無いの?」

「止める方法は一つだけだ」

俺はネロに説明した。

「傀儡は結局の所ただの人形にすぎない

だから呪いの力でコントロールする奴が必ずいるんだ」

「なるほど傀儡を操ってる奴を見つければいいんだね」

だけど、問題はそいつをどう見つけるかだ。

「わたしの作った方位磁石は回りっぱなしで

使い物にならない」

回るか...。

「いや、ネロそれ使えるよ!」

「だけどこれちゃんとした方角に止まらないよ?」

「いや、止まらなくていいんだ

こいつは強い魔力に反応して回り出した

逆に言えばあれだけの傀儡を操れるんだ

相当な強い反応が出るはずだ」

「なるほどこの針が早く回れば回るほど...」

「そいつに近ずいている」

問題は...。

「レイわたしの予想では傀儡の大群が

やって来た方角の何処かにいるはずだ」

「ああ、俺も正確な場所は方位磁石で探すしかないけどそもそもあの傀儡を止めるには

呪いを呪いで解呪するか弱点の光属性の魔力

つまりだお前の魔力で直接叩くしかないんだ

だけど...」

正面の入口は使えない

他にも国から出る出入りするための門は

あるけど周りに道していたら、間に合わないかも

知れないそれまでジャック隊長や

兵士達がやられたら...。

「どうすれば...!!」

俺は壁に拳を叩き付けた。

「わたしに考えがある...」

ネロが口を開いた。

「考えって...」

ネロは自分の握り拳を作り俺に向かって

言った。

「レイ、わたしも一緒に戦うだけど

キミにかなり危ない事をしてもらう事になる」

「俺は別にいいだけど...」

「レイ心配してくれるのは嬉しいだけど

わたしだってキミを戦場に出したくない」

ネロは俺の肩に手を置いた。

「わたしは母上の記憶はないだけど

先生は話してくれたんだわたしが産まれるのを

楽しみにしていたってだけど結局体が弱くて

母上は...」

ネロ...。

「顔は額縁の絵でしかわたしは知らない

だけど、わたしは治療と防御と強化魔法しか

出来ないだけどこの力で母上のみたいに

体が弱い人を沢山助けて上げたいんだ

だからわたしも戦う!」

ネロは覚悟を決めた目で俺を見つめた。

ああ、俺だって思い出した

元々傭兵をやっていたけど何で自分から

危ない道を選んだか思い出したよ。


もうこれ以上親なしの子供を増やしたくない...。


「ああ、行こうぜネロ!!」

そして俺達は覚悟を決めた。

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