エピソード5【涙と本音】

俺とネロはレミアさんに連れて来られて

今馬車にいるだけど。

「あらレイちゃん酔っちゃてる大丈夫?」

「いえ、大丈夫です」

何で一度も面識のない俺とレミアさんが二人きりで

馬車に乗ってんだよ!!

ネロは前の馬車に一人で乗っているネロ自身も

疑問に思っていたがレミアさんが

二人っきりで話したいと言って聞かなくて

結局俺もネロも押し負けて今に至る。

「あのーレミアさん」

「あら何かしら?」

「私に一体何の話を...」

急にレミアさんは真剣な顔になった。

「ねぇ、あなたにお願いがあるの」

「はい、良いですよ」

レミアさんは深呼吸して俺に言った。

「レイちゃんいえ、レイさん」

「はっはい!!」

そして次の瞬間レミアさんは俺の手を両手で

握りしめた。

「ネロ王子をいえ、ネロをお願い!!」

何だそんな事か。

「はい、全身全霊で王子をお守りします」

俺は力強く言っただけどレミアさんはため息を

吐いた。

「違うそうじゃない」

「えっ?どういう事ですか??」

レミアさんは俺にもう一度真剣な顔で

俺に言った。

「あなたとネロはお互い好きなんでしょ?」

「えっ?どっどうして?!」

何故だどこかでバレたかいや、だけど

会ったばかりだしそんな素振りは見せてないはず...。

「何故そう思うのですか?」

「分かるはよ何年あの子の先生やってると思ってるのよ」

レミアさんは窓の外を眺めている。

「あの子の母親に頼まれたのよもしも自分に

何かあったらこの子をお願いって

その時は少しお腹が大きくなり始めた頃だったけど彼女も何となく分かってたのかも知れないわね

そこまで体も強くなかったし」

レミアさんは何だか遠い目をしている。

なるほど...レミアさんがネロの母親変わりか。

「だけどほんっとにあの子の父親ムカつくのよ!!」

急にレミアさんは怒り口調で語り出した。

「奥さんの事は死んでも涙一つ流さないし

ネロにはずっと冷たかったし王様として

優秀なのは認めるはだけど一人の夫としても

一人の父親としても最低な奴よ

何度あのクソ王に氷の結晶をぶつけてやろうと

思ったか!!」

レミアさん何かすごい人だな。

「だけどね、産まれた時に私の知り合いの医者に見てもらった時は泣きそうになったは自閉症だ何て

どうしてあの子もあの子の母親もこんな辛い思いをしないといけないのって...」

レミアさんは何だか悲しい瞳をしていた。

「自閉症の件ご存知でしたか...」

「やっぱり知ってたのね...」

レミアさんは...本当にいい人だ

でも良かったネロを大事に思ってくれてる人が

他にも居て。

「だから、レイさん私はあの子に幸せになって

欲しいだからあの子が...ネロが本気で

好きになったあなたと結ばれて欲しい」

レミアさん...ちゃんと言おう俺の考えと気持ちを。

「あの、レミアさん...」

「何?」

「俺、体は雌だけど心は雄なんだ」

「それが何?あなたは雄になりたいの?」

「いや、俺は心は確かに雄だ、だけど

あいつの気持ちに答えるには雌の体で...

雌の体のままで居たいんだ」

「だったら...」

だけど世間は許さない。

「俺自信が何も無くても身寄が居ないんだ

両親は俺が小さい頃に死んで

婆さんと弟と暮らしてたけどその二人も、もう...」

「そうだったの...大変だったわね...」

だけどレミアさんは俺の目を見てそれでも力強く

答えた。

「だけど私は二人の仲を応援する

孤児だからって何よ身分が何よ

雄みたいにたくましいレディがいたっていいじゃない心がどうであれ」

レミアさん...。

「俺は体が雌で心は雄だけど俺はネロが

雄だから好きになったんじゃない」

自然と俺は涙を流していた。

「ネロだから好きになったんだ」

ダメだ止まらない涙がずっと流れる。

「だけどこんな俺が...あいつと釣り合うわけ

ないだろ...」

俺はレミアさんの腕の中でないた。


五時間後...。


ネロが馬車から降りて来る。

「あっ、レイー先生ぇー!」

ネロは俺達の方に走って来た。

「あれ、レイ目のまぶたが赤いよ?」

しまった泣いていたのすっかり忘れていた。

「ちょっと先生まさかレイの事泣かせた?!」

「えっ?何で私が悪者?!」

「だって理由も無しにレイも泣かないでしょ!!」

だけど、レミアさんは不敵な笑みを浮かべた。

「あら、そんなにレイちゃんが大事なのね

良いわね青春ねー」

「いや、わたしらただ...」

さすがレミアさんやっぱり敵わない。

「違うだネロ、目にゴミが入っただけだ

それにレミアさんも俺とお前が幼なじみで

性同一性障害なのも薄々分かってた見たいだ」

「えっ?そうだったの?!先生あなたは怖いよ...」

レミアさんは両手を腰に当てた。

「私に隠し事何て出来ないわよ」

さすがレミアさんだ。

「それで、あなた達年の差カップルなの?

何処まで言ったの?」

「だから、ただの幼なじみ!!それに年の差って

わたしの方が三歳年下なだけだよ!!」

「あら、そうだったのレイちゃん顔も大人っぽいし背も高いからもうちょっと離れてるかと思ったわ

それにおっぱいもすごい大きいわね」

レミアさんは俺の胸をガン見してきた。

「あの、やめて下さい...」

「あんた、いい加減にしろよ...」

ネロがすごい静かだけど完全に怒ってる声だ。

「おいおい、ネロ落ち着け!!」

「そうよ何怒ってるのよ?」

「あんたが悪いんだろ...」

その後も30分ぐらい口喧嘩していた。


3時間後...。


「レミアさん一体この森は...」

「もうすぐよ...」

俺達は森の

中をずっと歩いていた。

「先生せめて何の目的でわたし達を連れて来たか

話して下さい」

「待ってちょうど今着いたから中で話すわ」

そう言いながら少し開けた場所に何か洞窟が

あった。

「この洞窟にわたしを連れて来たかったですか?」

「そうよ、中に入りましょ」

そう言ってレミアさんは洞窟の中に入って行った。

「俺達も行こう」

「分かった」

俺とネロもレミアさんの後ろをついて行った。


数分後...。


俺達は暗闇の中松明で明かりを照らしながら

進んだ。

「先生この洞窟長いですね」

「ええ、だけどもうそろそろ」

そして俺はそのまま進むと...。

「おい、何だよここすごい広い上に水?」

「ここが目的地よ」

そこはかなりの広さでほとんど湖のような

場所だった、だけどよく見ると水の真ん中に

盛り上がった岩があった何だか鎖が巻かれている。

「先生、何故あの岩に鎖が」

「いえ、よく見なさい岩の上を」

そう言われて良く目を凝らした。

「あれって書物ですが先生?」

「おい、ネロ何か刀もあるぞ」

「えっ?刀って東洋の武器じゃないか西洋の国になぜ封印されてる?」

俺も確かに疑問だ西洋の剣なら納得するけど何故なぜ他国の武器が?

「ハッキリ言って私にも分からない」

レミアさんは真剣な目付きで俺達を見た。

「だけど、これを見て」

レミアさんは水晶を俺達の前に出した。

「この、水晶はね封印された力をセンサーの役割になってくれてるの

だけど封印は完璧で封印事態が弱まってるとかはないわ」

そういった瞬間水晶が光った。

「あの先生、すごい光ってますよ?」

「そうなのよこれまでこの水晶は光らなかっただけど最近急に光だしたの」

「レミアさん最近ってまさか...」

嫌な予感がする。

「竜が国に突然現れた時と同時に光ったの」

やっぱり俺の嫌な予感が当たった逆に外れてくれれば良かったのに。

「先生という事は刀と本の魔力?的な力が急に強くなって竜が暴れたんですか?」

「いえ、それは分からないだけど偶然にしては出来すぎてるきっと何か繋がりがあるわ」

レミアさんは一旦水晶を閉まった。

「それで、ここに直接連れて来てちゃんとした説明をした上であなた達に聞きたかったのよ竜を倒した二人にレイちゃんと謎の少年って事になってるけど、どうせ

ネロ王子何でしょ?強化魔法の痕跡で分かったわよ、誰にも言って無いから安心して」

「先生は何でもお見通しですね‥」

俺もなんかこの人には敵いそうに無いな。

「とにかく何か知らないかしら、竜を直接倒したあなた達二人なら何か心当たりとかは無いかしら?」

そして、ネロは袋から竜の血液の入った瓶を取り出した。

「これは倒した竜の血液ですわたしも気になって個人的に調べたんですけど

どうやら竜を誰かが仕掛けた可能性が高いです、あの竜は炎属性のはずなのに

微弱ですが、闇属性の反応が出たんです封印と関係あるかわからないけど何か裏がありそうです」

「さすが私の弟子仕事が早いね」

闇属性かと言う事は。

「俺と同じ呪いの使い手もしくは黒魔術のどちらか...」

「闇属性は弱体化魔法を主に得意とする

基本はそう、だけど極めれば精神崩壊や

心の弱い人をある程度洗脳して操る事も出来る

特定の生物の精神を破壊して暴れさせる事なんて

簡単に出来る...」

レミアさんの説明を聞く限りもし竜を暴れさせた

奴がいるとしたら闇属性のかなりの使い手。

「今は手がかりが少なすぎる」

レミアさんは封印の方を見た。

「だけど、この封印もほってはおけない」

レミアさんは封印を見たまま話した。

「私はここに残って封印の魔力が強まった原因を

探るは今出来る事はこれしかないわ」

「先生、わたしにも手伝わせてください」

ネロは言った、だけど俺だって同じ気持ちだ。

「俺にも手伝わせてください封印の事はあまり

分かりませんが何か役に立てる事があれば!」

レミアさんは俺達を見て微笑んだ。

「ありがとう、でも大丈夫よ今日だけ準備を手伝って貰うけどその後は城に帰りなさい

あなた達には竜の事で聞きたい事があったから

それも踏まえてここに連れて来たの

これはあくまで私の役割なのだから大丈夫よ」

俺もネロも少し残念そうにうつむいた。

だけどレミアさんは俺とネロの肩に手を置いて。

「大丈夫、あなた達は優秀だから何か分かった時には呼ぶからその時は力をかしてね」

「分かりました先生!」

「はい!レミアさん!!」

俺達は元気よく答えた。

「それで先生わたし達は今日何も手伝えば?」

「ああ、簡単よレイちゃんはそろそろ

洞窟の外で私の部活の魔法使い達がいるから

レイちゃんは外で拠点の寝泊まりする

テントを組み立てて欲しいの」

「はい、分かりました力仕事は任せて

下さい」

「ネロ王子はこの水晶の反応をもっと強化する

魔法陣を作るのを手伝ってちょうだい

封印された魔力の力の流れを読みやすくするために」

「分かりました先生」

「レミアさーん今到着しましたので

もう拠点の設備を開始してまーす!」

レミアさんの部活の魔法使いだろう大声で

報告に来た。

「あら、今ちょうど来たのねそれじゃあ

さっそくレイちゃんは行って来てちょうだい」

「はい、分かりましたネロまた後で」

「うん、また後で!」

そう言って俺は外ばを後にした。



レイはわたしに手を振りながら拠点を整備する

ために走って行った。

「先生それじゃ初めますか?」

「そうね、早く終わらせましょ」

そう言って先生は水晶を取り出し

さっそく準備をした。

「魔法陣を作る前に聞きたいんだけど」

「はい、何でしょう先生?」

先生は真剣な目でわたしを見たとっさに

目を横に逸らしてしまったけど先生はお構い無しに

口を開いた。

「ねえ、別にからかってる訳じゃ無いの」

先生はゆっくり喋った。

「いいのよ私にはレイちゃんとの関係を隠さなくて」

先生にはやはり隠し事は出来そうにないな

この先もずっと。

「やっぱり敵わないよ先生には」

「私に隠し事なんて百年早いわよ」

わたしは重い口を開いた。

「先生はレイの事情を分かってたんですよね」

「何となくだけど、まさか本当にそうだったとは

前に知り合いの病院でそういう事で悩んでた

人がひたからその人と何となく一致する

行動があったのよ」

さすが先生だやはり、わたしはもっと

色んな事を学ばないと。

「だけど、あなた達は元々簡単に言うと

幼なじみでしょ?あなたの感情は...

一目惚れなの?あなたも、もしかして

感じていたんじゃないの彼女実は雌だって」

先生はわたしに本当は知っていたんじゃないかって

問いかけた。

「わたしね確かに母性があったりするなーって

思った事もありました確かに身長は高いですよ

だけど雄なのに鍛えてもそれでも細身だし

今思えばわたしが鈍かっただけなのかも知れない」

わたしは俯きながら話したまだ幼い時のように。

「だけどね、先生わたしねレイの事を雄だと

思った時からね惹かれていたんだ」

わたしはいつの間にか泣いていた。

「初めは本当に憧れだっただけどいつの間にか

惹かれていただけど、相手は雄そんなの

許される訳がないしかも、わたしは王族だ」

ダメだ止まらない...。

「ネロ...」

「だけどね、先生...わたしは酷い奴なんだ...」

「そんな事ない...何故そんな悲しい事を言うの...」

先生は庇ってくれただけど自分ではそうは思えない。

「色々あってお互いに自分の秘密を打ち明けた

だけど、嬉しかったんだ」

レイごめんよ...。

「レイが雌の子だった事が彼女は自分が

雌の体なのが嫌なのに...心が雄なのに...」

涙が止まらない...。

「わたしは...レイを...」

その時先生はわたしを抱きしめた。

「そんな事ない初めはどうであれ

私はねネロが幸せならそれでいいのだけどね、

レイちゃんもやっぱり幸せなって欲しい

あの子あなたいる時すごく幸せそうだもの」

先生は抱きしめながら言ってくれた。

「あなたは立派よそんなレイちゃんを受け入れたんだら、そんな立派なあなたを誰かが悪く言ったら

風魔法で切り刻んでやる」

先生はそう言ってくれた。

「先生...ありがとう...」

「いいのよ私はずっとあなたの幸せを望んでる」


一時間後...。


わたし達は先生の手伝いを終えて今やっと城に戻った

その時はもう夕方でもうすぐ暗くなりそうだから

レイとわたしは自分の寝室に行った、だけど

今日は約束があった。

コンコン

おっやっと来たそこには窓の向こう側にしがみついたレイがいたあの壁登るの本当にいつもすごいな

わたし窓のを開けた。

「入って」

「おじゃまします」

そう言いながらレイは入って来た。

「ネロ今日は疲れてるなら大丈夫だぞ」

「大丈夫だよそれにせっかく来てくれたのに

このまま帰すのさすがに悪いよ」

今日は添い寝の約束をしていたレイは

寂しがり屋だまあギャップがあってめちゃくちゃ可愛いんだけどね。

レイはベット上に座った。

「おいでネロ...」

「はぁ、今行きます...」

そう言ってわたしはレイに抱きしめられた。

「ずっとこうしてたい...」

「わたしはちょっと恥ずかしい...」

それに胸大きすぎ何か枕見たいになってる。

「このまま寝ようかな」

「わたしはいいけど誰かに見つかったら

レイが説明してよ」

「冷たい事言うなよ」

レイはわたしの頭を撫でた。

「わたしも結局子供だな一個でもいいから

自分が歳上だったら良かったのに」

「別にいいじゃないか俺の前では

強がるなよ」

何か幸せだな。


だけど、この時はまだ知らなかった

わたしとレイの過酷な運命が待ってるなんて

まだ知らなかった。

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