エピソード3【心と体】

あれから3日がたった幸い怪我人だけで、犠牲者は一人も出ていない

わたしもあの後城の部屋にいなかったからロビー達が慌てていたけど

地下の書物室で欲しい本があって取りに行ったらドアが閉まって出られなくなったと

言った実際わたしは地下室に行って、カギを壊して開かなくさせて

警備兵に大声で呼んで何とか、自作自演をしてごまかした。

「ううっ...」

「レイ!!」

「おお...ネロ...お前が俺を...」

「うん、もう大丈夫だよ竜もちゃんと倒した」

あの竜はレイもここでは有名だからレイと謎の少年が倒したって事になってる

わたしとしてはその方が都合がいい、ロビーに後で何て言われるか。

「そうか...」

そしてレイは起き上がろうとしたその時...。

「おっおい...これは...」

レイは今のこの立場をやっと理解した上に思い出したらしい。

わたしは顔を赤くした。

「ごめん見ちゃった、胸元の傷にも石の破片が入り混んでそれで」

「いいんだ、俺もすっかり忘れてたよ」

気まずい空気が流れた、レイは雌だった今まで気づかなかったいや

もしかしたらわたしは目を反らしていたのかも知れない

レイの事はこんなカッコいい雄になりたいと憧れがあった、

だけど何処か雌の様に母性があり面倒見が良かったたまにわたしを見つめる瞳が母親のようだった。

「理由聞いていい?何故隠してたの?」

レイは重たい口を開いた。

「隠してた訳じゃ...いや、言い訳にしかならないか」

自分の胸を見ながら言った。

「性同一性障害って知ってるか」

「ああ、書物で読んだことがある。キミはもしかして」

「そうだ心と体の性別が違うんだ」

うつむいたままレイは話す。

「俺は産まれた時から自分が雄だと思っていた初めは自分でそう思うだけとか

おてんばなだけだと思っていた、だけどやっぱり雌の体が嫌で雄の心の自分の方が好きだった」

レイは暗い窓の外を見た。

「俺の母さんは病気で死んで父さんは馬車の事故で亡くなった

俺と弟だけが残されて引き取ってくれる身寄りもいなくて故郷の孤児院で弟と一緒に暮らした

だけど婆さんがこの国で一緒に暮らさないかって

誘ってくれてこの国に引っ越したんだ婆さんも

俺と弟を可愛がってくれたもう天国に行っちまったけど」

そしてわたしの方を見てレイ言った。

「弟はお前と同じ青い瞳をしてたよ」

わたしの事を見て優しく笑った。

「弟は母さんに似て体が弱かったそれで俺は町に出て荷物運びから家の掃除洗濯

一瞬盗みをしようとしたけどそんな事したら弟と孤児院の婆さんに顔向けできなくなるから、元々俺はある人に鍛えられたから体力と力はあったから地道に稼いで薬を買ってたんだ」

だんだんレイの口が重くなる。

「だけど、結局弟は助からなかった俺が配達の仕事から帰った時には弟は亡くなった」

レイは涙を流した。

「どうして、そばにいて上げなかったんだろって

確かに助からなかったかも知れないし俺に出来る事なんてなかっただけど

側にいてあげる事ができたのに俺は出来なかった」

レイは顔を手で隠した。

「それからの俺はすぐに婆さんも死んで毎日ただ脱けがらのようにただ過ごしていたある時に

森をぶらぶら歩いてたら」

レイは顔を上げてわたしの方を見た。

「お前が倒れてたんだネロ」

レイは優しく微笑んだ。

「弟と同じ綺麗な青い瞳が何だかあの時の事を思い出して、そしてお前といる時も

俺個人も一緒にいたいと思うようになっただけど逆に嬉しかったんだ

雄だと思って兄貴のようにしたってくれたのが」

だけどレイはまたうつむいてしまった。

「だけど、俺は元から心は雄だった、だけど俺が雌だとばれたらこの関係が壊れるんじゃないかって怖くなった前より自分の雌の体を呪った」

わたしはふと思った。

「もしかして今まで会えなかったのは...」

「胸が誤魔化せ無いぐらい大きくなったんだ」

やっぱりわたしの予想は当たった。

「前は布を巻けば何とかなったけど段々大きくなって隠し切れなくなったそれで

ある仕事の依頼で別の国に行った時に先輩が俺みたいに胸が大きくて鎧が着るのが

難しい時はこれをってくれたんだある魔術が込められた布をもらったんだ

それをつければ胸が全く目立たなくなるんだ」

だからあの時魔術の気配がしたのか。

「黙っててゴメンだけど俺今までの関係が壊れるじゃないかって怖かったんだ

だけどいつか話そうとはずっと思ってた、だけどこんな俺の事嫌いだよなずっと騙してたんだから」

レイは泣いていた、だけどわたしは騙されたなんて思ってないレイも苦しかったはずだ。

それにわたしだって...。

「レイそれを言うならわたしをキミに黙っていた事がある」

「えっ?」

レイ、わたしの方を向いた。

「レイ、わたしは自閉症なんだ誰かと関わるのが苦手で目を合わせて話せないんだ」

「だけど、俺とは普通に」

「それはレイだからだよ普段はあんな風に喋れない」

レイは無言になった。

「わたしも黙っていてゴメンだけどキミと一緒にいると安心するんだ」

わたしはレイの赤い瞳を見つめた。

「これからも一緒に何か話してよキミが見てきたもの全部」

レイは泣いていただけどさっき見たいな悲しみじゃない。

「ありがとう...ありがとう...ネロ...」

「うん...」


それから30分後...。


わたしとレイはたわいもない会話をしていた

その時わたしはふと思った。

「何となく思ったんだけどレイは雌が好きなの?」

「いや、実は分からないんだ」

レイは少し考えながら喋った。

「俺自身は体は雌で心は雄何だけど正直分からないだ、恋愛とかこの体を見られるのが怖くて避けてたから」

わたしはレイがそう言った時に微笑みながら言った。

「わたしも自閉症だから一緒になってくれる相手に迷惑もかかるし友達すら出来た事もなくてね

わたしもいつかは誰かと結ばれて子供を作らないといけないけど、不安なんだわたしの自閉症が遺伝したらって」

一番の理由はやはり遺伝それがずっと心に刺さる。

「子供にわたしと同じ苦しみを感じて欲しくないけどだけどもし出来たら、良い父親になれるように努力する」

わたしは上を見あげながら言った...。

何故わたしはレイにこんな事言ったんだろう?

「そっか...お前の恋人も幸せだな...」

「えっ?居ないけど?」

「えっ?...」

一瞬ちんもくが続いた。

「いやいや、お前この国の第一王子だろ恋人は

いなくても許嫁ぐらいは」

「ああ、本来はいてもおかしくないんだけど

わたしの場合産まれた時に決めようしたみたいなんだけどわたしを産んで母上が亡くなってそれどころじゃ無くなって、わたしも自閉症だから色々

大変だったらしくて許嫁を決める暇がなかったんだ」

「へえーっそっか...」

レイは少し安心したように見えた。

「レイは今は好きな人がいなくてもモテるじゃない?」

何だろう自分で言っときながら心が何か重い。

「いや、雄にも雌にもモテないよ」

「どうして?異性同性どっちにとってもかっこいいよ」

「そう言ってくれるのは嬉しいけどまあ俺自信

この人がいいなって感じの人が居ないんだ」

「そうなんだ」

「それに仕事の後輩が愚痴ってて年下の彼氏が

いるんだけど後輩がかっこいい顔してたから

付き合ったけど年下はちょっとしんどいって言ってたよ何故から言わなかったけど」

「じゃあ...わたしもしんどいの?...」

「えっ?何か言ったか?」

「別に...」

何だろう胸が少しチクチクする。

「なあ、どうして?アッ!いや、お前がしんどいって意味じゃ無くて...」

「良いよ別に」

「ごめんって...」

せっかく分かり合えたのに何だから重い空気になった。

「はぁ、わたしもごめんもう遅いからそろそろ

わたしは帰るね」

「ああ、お前のおかげで怪我も治ったよ」

「良いよ、また明日も来るよ」

「あっああ、助かるよ」

そしてわたしはその場を後にした。


翌朝...。


昨日の事ちゃんと謝ろうあんな態度をしてしまった事をちゃんと謝ろうよし。

わたしは、赤いバラの花束を見た。

「何で、花束なんて持ってきてるんだよ!!」

自分で用意した癖に自分で自分にツッコミを入れた。

「とっとにかく謝ろう」

そしてわたしは扉を開けた。

「レイ昨日はっあれ?」

そこにはレイの姿がなかった。

そして机に置き手紙があった。

『ネロへ

怪我が治ってちゃんと動けるようになったから

このまま仕事に行きます実は持っと一緒にいられる予定だったんだけどあんな大惨事になるとは、

予想外だった貴重な時間を無駄にしてゴメン

また会えた時にちゃんと埋め合わせするから

本当にゴメン

レイより』

わたしは花束を落とした。

「何だよ...」

なんとも言えない感情が心に重くのしかかって来る。


数分後...。


わたしはすぐに城に帰り勉強をしていた

何かに集中していないとずっとモヤモヤする。

「王子失礼します」

「何だ今忙しいんだ」

わたしは素っ気ない返事を隊長のジャックに言った。

「実は会っていただきたい方がいるのです」

「はぁー分かった」

わたしは重い足でジャックの後をついて行った。

何だろう他国の従者かな?

わたしが錬金術で作る回復薬や治療魔法を

たよに来る者がたまに来る

やはりどの場所も医者不足だから護衛をつけて

他国に行くこともある、危険だからそういう事は

めったにないが。

「ネロ王子この方です」

考え事をしているうちにもう着いてしまった

だけどその目の前にいた人は...。

「彼女はレイ、レッド・フレイム・ドラゴンを倒した一人です」

そこにはレイがいた。

「もう一人の少年は?」

「はい、彼はたまたま知り合った旅の錬金術師で

急ぎの用事があるようですぐに国を出て旅に出ました、自分も居場所は分かりません」

「そうか、ネロ王子と同じ錬金術師だから

お礼と一緒にいい話相手にあると思ったのだが

仕方ない」

その錬金術師はわたしだけどな

ジャックはレイの事は雄と完全に思ってるが

目の前の獣人が同一人物だとは、思ってないんだな。

「ではとりあえず本題に入りましょうぞ

ネロ王子、彼女は竜を倒してくれた一人なのです」

「ああ、ジャックの話を聞いてみてかなりの

強者、尊敬に値する」

何かレイにはくだけた喋り方だったから調子

狂うな。

「はっ!!ありがたきお言葉!」

レイがうつむいて誰も見えないように

吹き出して笑いそうになる。

やめてわたしも笑いそうになる。

「何か褒美を渡したい何かあるか?」

「でしたら」

レイは顔を上げた。

「王子を護衛する懐刀に」

わたしは一瞬時間が止まったように思えた。

「国を背負う方を護るこれこそが強者の役目

どうかですが自分は所詮は雌ですが王子さえ

良ければ懐刀に!!」

レイは力強く言った。

「王子!レイは強者の戦士いい懐刀になれますぞ私が保証します!」

ジャックもレイの事を評価してるようだ。

だけどいいのだろうか

またレイが怪我をおうような事があったら

わたしは...。

その時わたしはレイがわたしの瞳を見て。

『その時はまたお前が治してくれるだろう』

って言ってるように思えた。

「よし!レイ今日からお前はわたしの

懐刀だわたしの手となり足となりお前を使わせて貰う」

「御意!」

こうしてレイはわたしの懐刀になった。


一時今後...。


「ねぇ、レイ」

「んっ?」

「昨日はゴメン」

「いいんだ俺もゴメン」

昨日の事をお互い謝りあってた。

「でも何で急にわたしの護衛に、しかも懐刀に?」

「お前ともっと一緒にいたかったしそれに

こんな俺を受け入れてくれた事が嬉しかったんだ

それで俺はお前に尽くしたいと思ったんだ」

そういう事だったのか。

だけど...。

「ねぇ、レイ」

「何だ?」

「どうせ尽くすなら奥さんになってよ」

「えっ?」

レイは完全に固まってる、まあそうだよな。

「気が付いたんだキミの事が好きだって

年下で背も低いし自閉症だけど体と心が雄だろうと雌だろうと関係ないレイの事が好きなんだ」

わたしは自分の気持ちを伝えた。

「ネロ、俺もお前の事が実はずっと好きだった」

ああ、両思いだったんだ。

「だけどな、ネロ身分が違い過ぎる」

やはりレイもその事を気にしていたのか。

「分かってるだけどわたしは」

「だから提案だ」

「んっ?」

何だろう?

「両思いなら俺もお前と恋仲になりたいだけど

誰にもバレないようにだけど、お前もしくは俺に縁談の話が来てそれを受ける時が来たら別れよう

俺も上の立場の位になった、そういうのも来るだろう」

レイは少し落ち込んだようだった。

そんなのわたしだって。

「悲しいすぎるよ」

「分かってるだけどしょうがないだろ

産まれた世界が違いすぎる」

「ずるいね世界って」

「ああ、本当に」

泣くな、わたし絶対に泣くな。

「だけど初めての相手はせめて本気で好きな相手がいいんだ」

「そうだねわたしもそう思う」

この先の事はまだ分からないだけど

今だけは...。

「お前の部屋のベッド、大きいな」

「まあね、凄いふかふかだよ寝てみる?」

「ああ、一緒にいいかな?」

「えっ?ちょっとレイ?」

レイはわたしの手を握りしめて詰め寄ってきた

そして顔を近ずけて。

「ちょっとやめてよ?!」

わたしはレイの手を払いのけて後ろに下がった。

「何だよ良い雰囲気だったのに」

「えっ?ちょっと何え?」

上手く頭が回らない。

「えっだって初めての相手は本気で好きな人って

お前もうんって言ってたから」

そう言われてわたしは顔が赤くなって頭から

湯気が出た。

「初めてってそういう意味わたしは恋愛経験の事を言ってると思ってたよ!!」

「良いじゃないか両思い何だからそれに幼なじみだから今更気を使う事なんてないだろう」

「だけど恋人何だから段取りを決めて」

レイはまたわたしに顔を近ずけた。

「大丈夫だよ今更何も怖くない」

わたしはまた顔を赤くした。

「いい加減にしろよ変態雌オオカミ!!」

「なっ?!雌言うな!!」

「うるさい雌だろうが!!」

「だから雌っ言うな!!」

それからわたし達は何時間も口喧嘩した。

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