スローライフ・ザ・デコイ「無人島から帰ってきたらアバターが乗っ取られていた話」
もるっさん
第1話 目指せ南の島
テーブルの上には簡単な身分がわかるプレートがある。
例えばオレだったら名前がデグ、年齢は17歳と書かれている。
となりに座っているヤツは18歳、名前はパスポだ。
「おいパスポ、歴史のレポート、どうする?」
「そりゃ、共同制作の方がボーナス加点が入るだろ。一緒にやろうぜ」
「ああ、パスポならそう言ってくれると思ってたよ」
「それなんだが、もう一人参加したい人がいるんだ」
「それで・・・?」
「・・・・女だ」
「ホントか?!」
見渡せば、ファンタジーに出てくる木で作られた教室に大理石でできた黒板。
今日のみんなの服装は森の民のファッションだ。
なんでヘンテコリンな恰好をしているかと言うとここはバーチャル世界で、今いる場所が森のフィールドだからだ。
次のフィールドに移ってしまえば、また違う条件と服装になってしまうのでそれでは歴史のレポートをやろうという気持ちもそがれてしまう。
パスポを呼び止めると嬉しそうにはにかんで彼女を連れに行ってしまった。
彼女と言うのはこないだの狩バトルで一緒の組になったソフィアという女の子だ。
少しおっとりした感じの可愛い子。
だけど 歯並びを見ることでお金持ちの子じゃないかと予想が出来る。
このバーチャル空間で使用しているアバターは現実世界と同じ顔をしているので、こっちの世界で誤魔化しきれないポイントと言うのがいくつかあるのだ。
「ソフィーじゃないか? こないだのイベントで一緒だったラグだ!」
「まあ ラグなの?はじめまして、ボルボビールを倒したんですってね。聞いてるわよ」
「おいおい。二人とも俺に紹介をさせてくれないか?それとも俺が自己紹介する??」
がははは
あははは
ふふふふ
パスポは友達の話を何でも聞いてくれるいいヤツだ。
でもオレが見つけてやらなかったら、ずっと独りぼっちでアイテムのフルーツジュースを作り続けていただろう。
まあ フルーツ職人の称号は持っているらしいけど、もっと自分の可能性を求めてみるべきだろう。
「なあ デグ。歴史って言ってもどのぐらいの時代まで書くつもりなんだ?」
「結論は、仮想空間装置と完全栄養食によって我々は120歳の寿命を手に入れたってことかな。
レポートの出発点は2030年ぐらいからでいいんじゃないか?」
ソフィーがテーブルの上にちょこんと座った。
「ねえ そのレポートってあり来たりよね。どうしたら面白くなるかしら?
ねえ、図書館へ行ってみない?
電子媒体になっていない書籍なら面白い資料があるかもしれないわ」
名案に聞こえるかもしれないが、それより名案はすでにあった。
「ソフィーちゃん デグの発案なんだけどもっといい案があるんだ」
「あら?どんな案かしら?」
オレに注目が集まる。
「南の島へいくのさ。無人島。
俺たちのアバターが現実の物と同じなのは仮想現実で取得した技術や知識を現実の世界でも使えるようにするためでもあるだろ?
でも 仮想現実で身に着けた能力を現実で使う事なんてそうあるものじゃない。
だから ソフィーだって完全栄養食じゃなくて料理を作ってみたいと思う事はないか?
レポートを書く前に海のある南の島でキャンプしようぜ!!」
ソフィーも賛同してくれた。
大喜びだ。そしてパスポに抱き着いた。
オレ達の冒険が始まる。
スローライフ・ザ・デコイ「無人島から帰ってきたらアバターが乗っ取られていた話」 もるっさん @morusan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。スローライフ・ザ・デコイ「無人島から帰ってきたらアバターが乗っ取られていた話」の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます