阿鼻叫喚の地獄絵図
「ここが王立学園か、うわ。馬鹿でかいな。俺が前作った魔族の屍の山よりもでかいぞ。スゲー、いやマジでスゲーな」
眼下に広がるわ。
王立学園、世界最大の学園であり、学園というよりも城という表現がしっくりと来るような場所であった。
というか実際に城であった。
そんな、王立学園を目にした殺戮魔帝はお城という概念からそもそも知らない為に、魔族の屍の山を想像しながら、田舎者丸出しって感じの感想を抱く。
「おいおい、田舎者の平民がいるぞ。いるんだよな。毎年こういう部をわきまえない平民が。ああ、嫌だ嫌だ。消えてくれないかな」
殺戮魔帝につっかかるのは、何処にでもいる馬鹿貴族の一人息子。
制服に無駄に金の刺繍を入れて、いかにも金持ちですってのをアピールしつつ、何故か伸ばしてある金髪をなびかせる。
貴族至上主義の考えにどっぷりと頭までつかり過ぎて前が見えなくなっている愚者であった。
ただ、いつもの様に平民を馬鹿にしようとしてちょっかいをかけただけ、本人には特に罪の意識というのもなければ、自分がまさか仕返しされるとも思ってなかった。
本当にただいつもの様に行動しただけだった。
だけど今回、相手が悪かった。
「ん?あ、俺に今話しかけた?ああ、ごめんごめん、学園に驚いていて話聞いてなかったよ?で、何?」
「へ、平民風情がこの私の話を聞いていなかっただと、ふざけるな、お前ごとき平民、私の手にかかればすぐに死刑にだって出来るんだぞ。死にたくなければ、今すぐにこの学園から消えろ」
怒りを露にして唾をまき散らして怒鳴る。
ただ、彼は殺戮魔帝にとっての触れてはいけない逆鱗に触れてしまっていた。
それは「死」というワード、死の価値が非常に軽くなってしまってる戦場に身を置き続けた殺戮魔帝にとって、自分を殺そうとしてくる存在はすぐさまに殺さなければいけない存在であった。
そして、倫理に欠けた、殺戮魔帝は一切の慈悲なく行動をする。
「あっそ、じゃあ、殺される前に俺がお前を殺した方が安全かな?死ね、死魔法・死神の鎌」
現れるわ、ひたすらに禍々しく巨大な鎌であった。
その大きさは驚異の3メートル、人の首を落とすには十分すぎる程の大きさを持った鎌は、吸い込まれるように、馬鹿な発言をしてしまった貴族の首に添えられて、そのまま首を跳ね飛ばした。
ゴロゴロ
首が転がる音が聞こえる。
血しぶきは一切上がらなかった。
バタン
胴体が地面に倒れる。
鎌は役目を終えたと言わんばかりにその姿を消した。
「キャ~~~~~~~~~~~~」
大きな悲鳴が上がった。
それもそのはず、何気ない普段の登校中にいきなり巨大な鎌が現れてあっという間に貴族の首を刎ねて殺したのだ。
殺し合いすら体験したことのない学生たちには刺激が強すぎるというものである。
「誰か、誰か、先生を先生を呼べ」
「それよりも、あの平民を捕まえなくていいのか」
「馬鹿、あんな得体の知れない化け物にちょっかいをかけれるかよ、殺されるぞ」
「た、確かにそうだな」
「それよりも、死体、死体どうすんだよ」
「どうするって、俺が分かる訳」
「う、オロロロロロロ」
「お前、吐くなって俺も気持ち悪いのに、オロロロロロロロ」
「おい、やめろ俺も貰ってしまうって、オロロロロロロロ」
阿鼻叫喚。
まさにこの一言に尽きる状況が王立学園まで繰り広げられる。
死体を前にして皆がパニックとなり、一人が吐いてしまったのを皮切りに周りの人間が次々と貰いゲロをしてしまう。
これを引き起こした元凶である、殺戮魔帝は何事もなかったように、否、彼にとってみれば、人が死ぬというのに日常である呼吸をするのと=であった為、本当に心の底から一切気にせずに城の中に入っていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます