~沈没世界の海上暮らし~

mackey_monkey

第1話 すいぼつ

 「あつーい」


私の横で机にとろけているメイちゃんが気だるげにつぶやく。


「そだね」


あまりの暑さに汗が止まらず、まるで溶けたアイスクリームみたいになっている私にはそう返すのが限界だった。


それにしても_。


それにしてもあつい。


暑すぎる。


ねっとりとした暑さがべたべたと肌にまとわりつく。


「ねー、メイちゃーん」


「なーに、マキマキぃ」


「あついー、つかれたー、温暖化してるよぉ」


「それねー」


「,,,」「,,,」


「ねえ、マキマキ、扇風機はどうしたの?」


メイちゃんが長いオレンジ色の髪をばさりと揺らして体を起こすとすがるような表情で聞いてくる。


「あー、その_昨日さ、ビルの下に水が入ったじゃん」


「うん、」


「その時、水没した,,,」


私の言葉を聞いたメイちゃんはガックリとまた机に倒れこんだ。


「そっかー、なにかない?」


机に倒れたままのメイちゃんが力なく言う。


「うーん、製氷機も調子悪いし、エアコンも_」


私はこの暑さをどうにかしのぐための方法を頭をフルに稼働させて考える。


考えて、考えて、考えて_。


プシュー。


そんな音が聞こえた気がした。


あ、ダメだ頭が茹で上がってきた。


うん、ない!


「なにも、ない!」


「そっかー」


そう言いながら、メイちゃんはため息をついた。


このままじゃ水没した世界の海の上の家でミイラになってしまう!

どうにか、どうにかしなくては!


そう思いつつ、私も机の上にだらりと溶けるのだった。

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