第2話 覚醒

「はぁ…はぁ…。」



岳は自分の唸るような吐息で目が覚めた。何故だろう。目の前は真っ暗だが、自分の周りだけスポットライトのような光が当たっている。



「なんだ…ここは…。さっき…高速を運転してて…タイヤと衝突して…どうなった?」



目の前の暗闇の先には、出口のない宇宙のような空間が広がっているように感じて岳は急に不安になった。



「俺、死んだのか?由紀はどうなったんだ…」



助手席に乗っていた妻の由紀は無事だろうか。自分が死んだのなら、由紀も…。

岳は身震いした。


「とにかくここから出よう。」


岳は手当り次第進んでみる事にした。

どうやらこのスポットライトは岳の動く場所に合わせて当たるらしい。




少し歩くと、漆黒の闇の中に上空から一筋の光が差しているのが見えた。



「出口?いや、誰かいるのか?由紀、由紀なのかっ!?」



岳は光に向かって走った。



光に向かって数分走っただろうか。

そこには岳と同じようなスポットライトに照らされて、1人の少年が横たわっている。

高校生程の年齢だろうか。蝋人形のように蒼白い顔だが、呼吸はしているようだった。



「おいっ!!おいっ!!大丈夫かっっっ!!?」



何度呼びかけても少年は目を覚まさない。



「おいっ!!起きろっ!!」



岳は強めに少年の頬を叩いた。

その瞬間



「いってぇぇぇなっっっ!!」



少年は飛び起きるように目覚めた。

そして頬を擦りながら、目の前にいる岳をジロジロと警戒しながら眺めた。




「オッサン、だれ?」




これが少年の第一声だった。



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