俺は死んで、君の彼氏になる

ほた

第1話 プロローグ

キキキキキキーーーーーッッッッ!!!!!!



岳(がく)は反射的に強くブレーキを踏んだ。高速道路を運転する岳の目の前には隣車線のダンプカーから脱輪したタイヤが、今にも岳と隣の妻を踏み潰さんと猛烈なスピードで近づいていた。



タイヤに気がつき

「ぶつかるっっ!!」

と思った瞬間から実際にタイヤが激突するまで一瞬だった。




ガシャンッッッ!!!!




物凄い衝撃と共に、目の前は真っ暗になった。




痛みすら感じない。吸い込まれるような漆黒の暗闇。暗闇に自分が同化するような感覚。



「自分」という感覚が無くなる寸前に岳は思った。




「そうだ。葉月を迎えに行かないと…。」




今日は一人娘【葉月】のバスケのクラブチームの試合があり、その試合観戦に妻と出かけたのだった。




「葉月を迎えに…」




思いだけ残し、岳は暗闇に吸い込まれた。




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