第59話 装備の新調 後編
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革の鎧(女性用)
基礎防御力:15
属性:なし
特別効果:なし
エンチャント:可能
解説:革製の部分鎧。胸部と腹部を守る
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これ、女性用だし、アスターシアの体格にも合いそうだな。
少し重くなるけど、丈夫な革で胸と腹はしっかり守ってくれる感じ。
今、探索中に着けてるレザーベストだと、薄っぺらい革なんで防御効果があるのも怪しいからなぁ。
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鉄のショルダーガード(左肩用)
基礎防御力:10
属性:なし
特別効果:なし
エンチャント:可能
解説:鉄製の肩鎧。左肩から心臓部までを鉄の板で守る鎧
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守護の小手と干渉しない感じの肩鎧か。
利き腕の右手は、刀や杖を使うし、自由に動かせるようにしておきたいところだよな。
それと今の役に立たない鎧よりか軽いし、ベルト留めなんで、ロングコートの上から着けられるのもポイントが高い。
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チェインメイル
基礎防御力:20
属性:なし
特別効果:なし
エンチャント:可能
解説:鉄製の胴鎧。円環状の鉄鎖で編んだ胸部と腹部を守る鎧。
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防御力20上がるし、重さとの兼ね合いだな。
胸部の防御も増すし、腹部の防御もこれでできるだろうし、急所はかなり減るはず。
候補の鎧の鑑定を終えると、他に必要そうな装備候補も鑑定する。
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革のロングブーツ
基礎防御力:5
属性:なし
特別効果:なし
エンチャント:可能
解説:革製の長いブーツ。革製でひざ下まであるため、脛部を保護できる長いブーツ。
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アスターシアは、メイド服に鎧を着込んでいくわけだが、スカートだし足もとの保護もしないとね。
手元は盾もあるし、装備も重くさせたくないから、なしの方向だろうな。
俺は革の鎧と革のロングブーツをアスターシアに渡す。
「アスターシア、これとこれの重さはどう感じる?」
「少し重たいですが、これくらいなら、そんなに負担には感じません」
手に持ってもらったが、重みでよろけるといった様子は見られない。
あとはサイズが合うかどうかだが――。
「鎧の試着は、あっちでよろしく頼むぞ」
俺たちの話を聞いていた店主が、更衣室として用意してある小部屋を差した。
「ちょっと試着してきますね。着てみないと、分からないこともあるでしょうし」
「ああ、そうだな。動きにくさとかあったら、他のやつにした方がいいだろうし。確認してみてくれ。俺もこれを試着してみる」
「はーい。では、一緒にまいりましょう。ガチャ様ー、ヴェルデ様はご自分の鎧を試着なさるみたいなので、わたしと一緒にまいりましょう」
アスターシアは革の鎧と革のロングブーツを手に取ると、飽きて床に寝転んでいたガチャを連れ、女性用試着室へと消えていった。
「すみません、これとこれ試着しますね」
「ああ、いいぜ。男子用はあっちだからな」
店主はアスターシアの入ったのと反対側の部屋を指差した。
「ありがとうございます」
俺は鉄のショルダーガードとチェインメイルを持って、男性用試着室へ移動する。
入口がカーテンで仕切られた試着室の中は、姿見の鏡が置かれているが、意外と狭く1人入るのがやっとの広さだった。
ロングコートを脱いで、今着けている部分鎧を脱ぎ捨てる。
この貴族の衣装も別の方がいいのかなぁ。
服はアスターシアが選んでくれたのを毎日着てるわけだが、いつも貴族っぽい服なんだよなぁ。
探索者になったわけだし、それっぽい格好をした方がいいんではないだろうか。
動きにくさはないんだけどさ。
ベストを脱ぎ、シャツの上にチェインメイルを着込んでいく。
戦士のスキルのおかげで筋力があがってるし、重みはさほど感じないな。
円環状の鎖もしっかりしてるし、けっこう防御してくれそう。
このチェインメイルは、身体を守る最後の砦みたいなもんだ。
チェインメイルの出来に満足した俺はベストと革のコートを再び羽織る。
その上から左肩用の鉄のショルダーガードを着け、姿見の鏡で確認する。
厨二臭いが……。悪くない格好だと思う。防御力も上がったし。
動きの阻害もあまりないし、重さも移動が遅くなるほどのものは感じないな。
よし、これでいこう!
俺が更衣室を出ると、暇すぎて眠ってしまったガチャを抱えたアスターシアもちょうど出てきたところだった。
彼女の視線がこちらに注がれる。
「似合ってる?」
アスターシアは、無言のまま、こちらを見て固まっていた。
「ス、スキです!」
「は?」
思いもよらぬ言葉に、こちらも固まる。
「ああっ! 違います! ステキですの間違いです! 間違い!」
アスターシアが真っ赤な顔で、言い間違いを訂正した。
「あ、ああ。そうか、そうだよな。びっくりした。そういえば、そっちの鎧とロングブーツはどう?」
「あ、はい。大丈夫です。動きも変わらないくらいですね」
アスターシアは、俺の前でくるりと回って鎧とロングブーツを着けた姿を見せてくれた。
サイズは問題なさそうだ。これで前よりかは防御力も上がったはずだ。
「なら購入だな。これのお代は、俺が出すからいいよ」
「あ、いや。先ほどの雑貨店でも出してもらいましたので、そういうわけには――」
「オークションで売れた逆刃の小手はアスターシアが見つけたものだろ。名義上俺の金になっているが、相当額は使ってもらわないと」
実際、アスターシアがいなかったら、売り出したエンチャント装備品は見つけられなかったわけだしな。
それに装備は命を守る物なので、遠慮はしないで欲しい。
「しょ、承知しました。ヴェルデ様お言葉に甘えさせてもらいます」
「話は決まったかい?」
こちらの様子を窺っていた店主が、期待を込めた目でこちらに声をかけてくる。
「ええ、決まりました。買いますよ。このショルダーガードとチェインメイル、革の鎧、革のロングブーツ、刀の5点ください」
俺たちは店主のいるカウンターまで行き、購入額を聞くことにした。
「えっと、5点まとめて1400ゴルタになるがいいか?」
「問題ありませんよ」
購入額分の貨幣をカウンターの上に並べていく。
店主は1枚ずつ数えて問題ないことを確認すると、ニコニコ顔で握手を求めてきた。
「よい取引をありがとうございます」
「こっちも探索者がいなくなって商売上がったりだったからな。ヴェルデ殿のおかげでしばらくは食えそうだ」
探索で得た金で自分たちの装備も向上したし、世話になっている街の人に少しでも還元できたよな。
でも、俺たちだけじゃそんなに大きな金額にならないし、ホーカムの街にもっと探索者が戻ってきてくれるといいんだが。
俺はそんなことを思いつつ、武具屋を後にした。
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