第31話 探索者登録完了
「
ウェンリーの様子がおかしい……。
何かマズい表示でもされているんだろうか。
アスターシアに隠蔽した後のステータスを確認してもらったから、そこまでおかしな表記はないはずだが。
チラリとアスターシアを見たが、まったく表情を変えた様子はない。
「あの何か問題でも?」
「えっと、壊れてるみたいだから、ちょっと再調整するのでお時間ください」
放心状態から戻ったウェンリーが、黒い板に触れると、彼女のステータスが俺にも見えるように表示された。
――――――――――――――――――――――――
ウェンリー 人族 女性 LV1
特性:なし
戦技スキル:なし
魔法:なし
装備:ギルド職員の制服
賞罰:なし
―――――――――――――――――――――――――
LV表記を高くし過ぎたのだろうか……。
山奥で修行していたことにしてあるし、戦技や魔法がたくさんあるので、それくらいはLVがあった方がいいと言われて弄ったわけだが。
それにしても、特性がない者も存在してるんだな。
アスターシアが、SSRランクの隠蔽看破を持ってた方が珍しいってことかも。
「も、問題なし。私のは正常に表示されてる。お待たせしました再調整が終わったので、もう一度触れてもらいますか?」
ウェンリーに進められたので、再び黒い板に触れる。
だが、結果はさきほどと同じステータスが表示された。
「…………同じですね。剣術使いと魔法使いの
ウェンリーは、チラチラとこちらとリアリーさんを見た。
「我が主、ヴェルデ様はアヴニール家の子息として修行に修行を重ねておりますので、これくらいは当然です」
アスターシアは、修行してた俺の実力があるのは、当たり前ですって顔をしてるけども。
偽装したやつでも、意外ととんでもないステータス設定だったんじゃないか?
「そうねー。一般人ならあり得ないステータスだけど、貴族家の子息として恥ずかしくない実力を得ようと、ヴェルデ君は相当修行を積んだようね。ウェンリー、問題はないから登録していいわよ」
「は、はい。では、本登録します!」
浮かんでいる俺のステータスに、ウェンリーが触れると眩く光る。
光が収まると、黒い板の上に銀色の小さなタグペンダントがあった。
「本登録完了しました。こちらがヴェルデ様の探索者タグになります。探索者としての様々な実績が蓄積されていくものですので、失くさないようにしてくださいね」
ウェンリーが差し出した小さなタグペンダントを受け取る。
タグには探索者ヴェルデ・アヴニールとして名が刻まれるから、そっちでちゃんと登録されたってことか。
これで、明日見碧とは完全に別人としての身分証を手に入れられたということだ。
「紛失しないよう気を付けるよ」
受け取ったタグペンダントを首からかけた。
さぁ、これでやっと探索者生活を始められるな。
「わたしも本登録をお願いします」
俺と同じように黒い板へ手を触れ、ステータスが浮かび上がる。
「は、はい。アスターシア様も本登録ですね」
同じようにウェンリーがステータス画面に触れ、光が収まると黒い板の上にタグペンダントが現れた。
「アスターシア様も失くさないようにしてくださいね」
「承知しております」
「2人ともこれからよろしく頼むわね。部屋はどうせ空いてるし、食事代だけ払ってくれたら部屋代はオマケしとくわ」
ガチャを抱えて、モフりを堪能していたリアリーさんからありがたい申し出がされた。
生活費もできるだけ節約したいところだし、甘えさせてもらえるなら、お言葉に甘えたいところだ。
「ありがとうございます! アスターシア、リアリーさんのお言葉に甘えさせてもらおう」
「はい、承知しました。お言葉に甘えさせてもらいます」
「ウェンリー、2名様を部屋にご案内して」
「はーい」
登録に使用した魔導具をカウンターに戻すと、ウェンリーの先導で泊まる部屋に向かう。
こうして、俺は無事に探索者としての第一歩を踏み出せることになった。
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