第11話 連撃スキル


 食事を終え空腹を満たすと、食後の腹こなしを兼ねて先ほど取得した『連撃Ⅰ』と『ソードスラッシュⅠ』のコンボ練習をしてみる。



 ソードスラッシュは、発動条件に刀剣類が設定されてる。



 戦技の発動は魔法と同じように腹に力を込めて、使用する戦技を意識すれば、あとは自動的に発動モーションが立ち上がるっぽい。



 身体が勝手に腰を落とし、短剣をいったん鞘に納め、ものすごい速さで抜刀すると剣先から衝撃波が発生して飛び出した。



 だいたい1メートル幅の衝撃波が、20メートルくらい先まで飛ぶみたいだ。



 範囲ダメージが出るらしいから、敵が密集してる場所に撃ち込むと複数にダメージを与えられそう。



 『ソードスラッシュⅠ』のクールタイムが終わったところで、今度は『連撃Ⅰ』を絡めて連続戦技発動ができるか試してみる。



 1発目のソードスラッシュを放ち、時間を置かず連撃スキルを発動させると、予想した通りソードスラッシュのクールタイムのカウント秒数が一気にゼロになり再発動が可能になった。



 そして、2発目のソードスラッシュを放つ。



 この間の経過時間は、ほぼ発動モーションにかかる2秒ほどしかかかっていない。



 連発できるのはいいけど、2発目のソードスラッシュ放ったあとは、連撃スキルに設定されたクールタイムがカウントされるのか。



 450秒ってなると、その間ずっと通常攻撃や回避とかしかできなるか。



 使いどころは気を付けないとな。



「ふぅ、ソードスラッシュを2連発すれば集団に大ダメージが入りそうだな。魔法も可能って書いてあったし、そっちも試してみるか」



 連撃のクールタイムが再使用可能になるまで少し休憩してから、今度は魔法の連撃を試した。



 ファイア→連撃→ファイアだけでなく、ファイア→連撃→アイスという別魔法も発動させられるようでMPさえ潤沢になったら、大規模範囲魔法の連撃とか二属性の魔法を別個に素早く撃ちだせるようだ。



 最後に戦技と魔法の組み合わせも試し、どちらも問題なくクールタイムを無効化して連撃が発動した。



「おし、試し撃ちはこれくらいにしとくか……」



 セカンドジョブに魔術士のジョブが設定されたから、魔力の回復も早くなったな。



 消費したMPのバーが、ジリジリと回復していく。



「さて、腹ごなしも終ったし、今度こそ出口を見つけないと。ガチャ、行こうか」



 壁に掛かっていた新しい松明を手に取ると、くすぶっている焚火の近くで丸まっていたガチャを呼ぶ。



 駆け寄ってきたガチャとともに、出口を探して再び歩き出した。



 それにしても、広い洞窟だな。全然、出口らしいのが見えてこないが。



 暗闇の洞窟の中にいるため、時間の経過が認識しにくい。



 何時間も歩いている気もするし、数十分経っただけのような気もする。



 闇の奥でギギギとなにかが軋む音が聞こえた。



 いつでも出せるよう短剣の柄を握ると、手にした松明を奥に投げ込む。



 浮かび上がったのは、巨大アリの群れだった。



 狭い場所だってのに、10体もいる……が、向こうも戸惑っているようだ。



 さっき試したソードスラッシュ連撃を実戦で使ってみるか。



「ガチャ、ちょっと後ろに下がってくれ」



 俺の指示をきちんと聞いて、足もとにいたガチャが後ろにさがる。



「これでよし、悪いけど練習台になってもらう」



 俺との遭遇に戸惑っていた巨大アリの群れは、威嚇音を強め、集団でこちらに向かってくる。



「飛んで火にいるなんとやら、だなっ!」



 戦技発動のモーションが起動し、鞘から抜刀した勢いで衝撃波が生み出され、巨大アリの群れに向かう。



「一発じゃやれないらしいな。けど、もう一発は耐えられるか?」



 衝撃波によってダメージを受けた巨大アリの群れに、連撃スキルでクールタイムを無効化し、鞘に納めた短剣からソードスラッシュをもう一度打ち込む。



 二度目の衝撃波が巨大アリたちを次々に粉砕していった。



 魔物が絶命すると同時に、少量の光の玉がガチャの身体に吸収される。



 二発で倒せるか。範囲攻撃のソードスラッシュは雑魚狩りとして優秀だ。



 そこまで強い魔物じゃないから、あれだけ倒してもガチャコインは出ないか。



 巨大アリの死骸に触れ、鑑定をしてみる。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 ジャイアントアントLV3


 HP0/45


 MP0/0


 攻撃方法:突進 かみ砕き


 弱点属性:氷


 解体時取得物:蟻の硬皮 蟻の牙


 解説:洞窟を住処にする巨大蟻。強力な顎に噛まれると、金属鎧でも簡単に切断される。常時10体ほどの集団で行動する。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――



 油断大敵な相手だけど、強さはさほどと言ったところの相手である。



 やはりこれくらいの魔物では、あまり大量の光の玉は出ないのだろうか?



 こいつだけ特別に光の玉の量が少ない魔物だって線も捨てられないが。



 光の玉のことを考えながらも、解体スキルを発動し、倒した巨大アリたちを素材に変えていく。

 


 解体完了後、再び洞窟内を進み何度か分岐があったが、すべて右側を選択して進んできた。



 途中、何度も魔物に遭遇したが、はぐれウルフやロングネイルベアーほど強いやつはいなかった。



 出会った魔物は3種類。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 アシッドスライムLV1


 HP0/10


 MP0/0


 攻撃方法:溶解(腐食)


 弱点属性:火


 解体時取得物:スライム核 酸の液


 解説:深い森や洞窟に自生するゼリー状生物。対象を丸呑みして溶かす溶解液は金属を溶かす効果を持つ。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 戦う前にスライムに触れて鑑定してなかったら、そのまま斬ってた。



 酸の体液で鉄製装備はサビがでるらしいから、魔法はMPが有限だしサブウェポンとして木製の鈍器とかもあった方がいいかもしれない。



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 ポイズントードLV4


 HP0/25


 MP0/0


 攻撃方法:毒液(弱毒) 舌撃ち出し


 弱点属性:氷


 解体時取得物:毒の液 カエルの肉 


 解説:洞窟に生息する巨大なカエル。身体からは毒液が流れており、触れると皮膚がただれることもある。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――


 これはありえないほどデカいカエルだったな。



 紫色の身体は気持ち悪かった。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 ジャイアントセンチピードLV3


 HP100/100


 MP0/0


 攻撃方法:かみつき 突進


 弱点属性:火


 解体時取得物:ムカデの牙 ムカデの肉 


 解説:洞窟に生息する巨大ムカデ。巨体に見合わない素早い動きで近づき、強力なあごで噛まれると腕を切断されることもある。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――


 こいつは外見がすでに無理だったので、速攻でファイアで焼かしてもらった。



 寝起きにこいつと出会うのだけは勘弁して欲しい魔物だ。



 ここまで来るまでに討伐した数で言えば、すでに30体。



 すでに素材に解体して収納されている。



 倒した数こそ多いが、もらえた光の玉は少なく、金色コインは1枚も出てきていない。



 倒した魔物のことを考えながら歩いていたら、少し前を歩いていたガチャが立ち止まり、振り返ってレバーを回した。

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