第5話 初戦闘


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 明日見 碧 人族 男性 


 HP60/60→66/66


 MP20/20→22/22


 STR:20 VIT:20→22 INT:6 AGI:8 DEX:10 LUK:12


 ジョブ:戦士Ⅰ


 アクティブスキル:鑑定


 パッシブスキル:『魔力増強Ⅰ』『体力増強Ⅰ』『生命力増強Ⅰ』『剣技向上Ⅰ』


 魔法:ファイアⅠ『アイスⅠ』『ヒーリングライトⅠ』


 装備:なし


 基本攻撃値:20 基本防御値:20→22 基本魔法力:6


 SSR確定メーター:0/20 金色コイン残数:0



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 なんとか初期のスキルを取得したな。



 問題アリだと思われたスキルガチャだが、ステータス表示上にスキルの名前がでてこないようだ。



 怪しげではある。



 が、しかし、課金アイテムだと思われる金色コインさえあれば、新たなスキルを手に入れられるはずだ。



 それにわんこみたいに忠誠心の厚いガチャと一緒に、この俺の夢の世界を楽しめるのはありがたい。




「さてと、まだ目が覚める気配は全くないし、洞窟の中でぐーたらしてても時間がもったいないから、出口でも探して――」



 スキルを習得し、出口を探そうと俺が歩き出そうとしたら、ガチャが暗闇の奥へレバーを回して威嚇した。



「ん? なんだガチャ。どした?」



 ガチャが威嚇する先に視線を向ける。



 そこには灰色の毛なみの大きな犬がいた。



 か、可愛くない……。



 シベリアハスキーみたいなでっかいのとかあんまり可愛くないよな。



 唸り声をあげていた大きな犬が、俺に向かって一目散に駆け出してくる。



 けものに好かれるのはありがたいが、なんかちょっとデカいので怖い気がするんだが……。



 飛びかかってきた大きな犬が大きな口を開けて、俺の腕におもいっきり噛みついてきた。



 噛みつかれた痛みが脳に到達する。



「いってぇっ! これ夢だろ。なんで痛みが――」



 こちらの話を聞こうともせず、大きな犬がそのまま俺を地面に押し倒した。



 痛みが増すとともに、視界の端の赤いバーが勢いよく削られていく。



 や、やられるっ! このままだと、腕を噛みちぎられて失血死とかいう笑えない死に方するぞ。



 って、言うかコレは本当に夢なのか?



 今の現状を自分の夢だと楽観視していた俺だが、痛みを感じることでここが自分の夢の世界ではかもしれないという気になった。



 まさか、寝落ちする前にPCに表示されてた、召喚とかいう話ってマジってことじゃないよな。



 大きな犬が、くわえていた俺の腕から口を離すと、首筋に狙いを定めているのが見えた。



 マズい、やられるっ!?



 その瞬間、蛍光ピンクの物体が俺の視界を横切った。



「ガチャっ!! さんきゅ、助かった!」



 見ると、ガチャが大きな犬に体当たりをかましてくれたおかげで気が逸れた。



「さて、そっちのわんこ野郎、よそ見は大事故のもとだって教えてやる」



 とっさに腹に力を込め、大きな犬の口に噛まれていない方の手を突っ込むと、ファイアの魔法を発動させた。



 ジュウジュウと肉の焼ける匂いが、俺の鼻を刺激していく。



 大きな犬の鼻から黒い煙が吹き出すと、地面にドサリと倒れた。



 倒れた大きな犬から飛び出した光の玉が、ガチャの身体に吸収される。



「ふぅ、勝ったか。この痛みまさか夢じゃないってオチとかか?」



 噛まれた方の手は血が流れ、じくじくとした痛みを送ってきた。



 この痛み……やっぱ夢って考えるのは危ないかもしれん……。



 とりあえず、回復魔法を――



 患部に手を振れ、ヒーリングライトを発動させる。



 噛みあとはすぐに綺麗になくなった。



 ゲームのステータス表示、スキル、魔法が存在している時点で現実世界だとは思えないし、寝落ちした夢だと思いたいが……。



 痛みの感覚は現実世界に近いモノがあった。


 

 とはいえ、これが俺の夢であれば、うちの会社はリモートだけど、朝礼のリモート会議に参加しなかったら無断欠勤だ。



 そうなれば連帯責任を避けたい後輩が、俺のアパートに飛んできて、叩き起こしてくれるはずだ。



 夢であったら、そこで絶対に醒めるはずだ。



 でも、夢かもしれないが、リアルな痛みがあると分かったのは収穫であった。



 俺は目の前の焼け焦げた大きな犬から与えられた痛みから、この夢の世界では死なないよう慎重に行動した方がいいという結論に達した。



 そんな俺を心配したのか、ガチャが寄り添ってきてくれる。



 可愛いやつめ……。



 それにお前の忠誠心厚さ見せてもらったぞ。



 俺はガチャのスキルカプセルが入った透明な頭(?)を撫でてやると、レバーを回して喜んだ。

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