第6話 新たな金色コイン


 ガチャが跳ねた拍子に、金色コインが地面に零れ落ちる。



「金色コイン? まさか、さっき全部使い切ったはずだが?」



 俺が首をかしげていると、ガチャが『新しくできた』と言いたげにレバーをグルグル回す。



 新しくできた? 魔物が死んだとき飛び出した光の玉があったが、あれで金色コインができたのか?



 こちらの思考を読み取ったように、ガチャが『そうだ』と言わんばかりにレバーを勢いよく回す。



 魔物を倒せば、あの金色コインがいっぱい手に入るってわけか。



 それでガチャを引いて自分が成長するってタイプのゲームなんだな。



 よくできたゲームシステムだ。



「じゃあ、またガチャを引くか。ガチャ、お座り!」



 ガチャが俺の前に来てコインが投入しやすいように座り込むと、新たに手に入れた2枚を差し込み、レバーを回す。



 カラフルなカプセルを開け、スキルを鑑定した。



 ―――――――――――――――――――――


 ランク:SR


 スキル名:空間収納Ⅰ


 種別:パッシブスキル


 効果:対象物に触れ収納を意識すると、異空間に物資をしまえる。


 効果:収納物資の重さは加算されず、時間の進行もない。


 インベントリ数:50個


 取得しますか? Y/N


 ―――――――――――――――――――――



 ―――――――――――――――――――――


 ランク:N


 スキル名:解体スキル


 種別:アクティブスキル


 効果:生物を解体して素材化できるようになる。


 発動条件:刃物装備時


 取得しますか? Y/N


 ―――――――――――――――――――――



 やったぁ! SRの空間収納Ⅰは最強に使えるクラスのスキルだろ!



 重量無効化と時間進行なしなら、食い物とかも腐らないだろう。



 ただインベントリ数50ってのが気になる。



 50個分入るのか、50種類を入られるのかどっちだろうか。



 前者だと使い勝手微妙だが、後者であれば物資の集約ができるそうではある。



 とりあえず取得はするとして、後で確認だな。



 もう一つは解体スキルか。



 あって困るスキルじゃないけど、今は刃物もってないしなぁ。



 でも、こいつを解体できるって話だよな?



 顔が黒焦げになった大きな犬の死骸に視線を向ける。



 素材売ってお金とか稼げたりするんだろうか? そうなると結構重要なスキルな気もする。



 いちおう取得しておいた方がよさそうだ。



 ――――――――――――――――――――――――


 明日見 碧 人族 男性 


 HP66/66


 MP22/22


 STR:20 VIT:22 INT:6 AGI:8 DEX:10 LUK:12


 ジョブ:戦士Ⅰ


 アクティブスキル:鑑定 『解体』


 パッシブスキル:魔力増強Ⅰ 体力増強Ⅰ 生命力増強Ⅰ 剣技向上Ⅰ 『空間収納Ⅰ』


 戦技スキル:なし


 魔法:ファイアⅠ アイスⅠ ヒーリングライトⅠ


 装備:なし


 基本攻撃値:20 基本防御値:22 基本魔法力:6


 SSR確定メーター:0/20 金色コイン残数:0



 ―――――――――――――――――――――――――



 おし、取得完了。



 なんかゲーム開始時にしてはいろいろと優遇されてる気がするぞ。



 あとは、こいつを鑑定して空間収納の力を試すとしよう。



 俺は襲ってきた大きな犬の残骸に手を触れた。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 はぐれウルフLV10


 HP0/40


 MP0/0


 攻撃方法:ひっかき かみつき 遠吠え


 弱点属性:炎 


 解体時取得物:狼の皮 狼の牙 狼の肉 骨


 解説:鋭い牙と爪で獲物を引き裂く肉食動物。本来群れで行動するが一匹狼で行動するこの個体は希少種である。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――



 こいつ大きな犬じゃなくて、狼だったのか……。



 HP表示がゼロになっているから死亡してるってことだよな。



 弱点である炎属性のファイアでHPを全部失ったということか。



 あと解体すると素材が手に入るっぽいけど……。



 解体スキルを発動させるには刃物がないしな。



 収納しておいて、刃物が手に入ったら解体してみるのもありか。



 収納は……。物に触れ、収納を意識するだったな。



 はぐれウルフの死骸に触れ、収納を意識すると死骸がきれいさっぱりと消え失せた。



 出す時は、インベントリ欄を拡大して出したい収納物を選べばいいみたいだ。



 拡大したインベントリ欄にあったはぐれウルフを選択すると、ふたたび地面に姿を現す。



「こりゃあ、楽ちんだ。さて、傷も癒えたし出口を探さないとな。ガチャ、行くぞ」



 収納スキルの確認を終え、はぐれウルフの死骸をしまうと、近くにあった松明を手に取り、洞窟の出口を探すことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る