第40話 2−9

「でもね、神様の方が降ろしやすいといってもやっぱり応じてくれやすい神様と応じてくれにくい神様がいる。それに応じてくれてもすぐに全ての力を貸してくれるわけじゃない。これはどの神様も一緒ね。いきなり初対面の人に自分の力を全て与えようなんて思わないでしょ」


「精霊などは自然界の現象や動物の霊が昇華したものね。海千山千って聞いてことある? 海に千年、山に千年に住んだ蛇は竜になるという故事が由来しているし、猫の精霊である猫又とかね。猫又のほうは妖怪として語られることの方が多いでしょうけど。伝承や都市伝説には精霊などの仕業であるものの少なくないのよ」


「人の霊が最も降ろしにくい一番の理由は魂に関連がある。霊格が低いからというのはあまりウェイトは占めていないの。その理由は転生してしまうから。ファンタジーな話じゃなくてね。あなたは前世とか過去世って言葉を聞いたことがあるでしょ? 既に体を得て生まれている霊を捕まえて降ろすことはできない。当然よね。だから降霊術で捕まえやすいのは徳の高い聖人か、業の深い悪人が多くなってしまう。なかなか転生する先が見つからないからよ」


 ホワイトボードを裏面に返して比沙子さんが表形式で特徴を書き出してくれた。一度に覚えるにはなかなかの情報量だった。


「一旦はここまでね。何か質問はある?」

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