第35話 2−4

 次に俺がやること、それは物の選別だった。

 持っていくものと持っていかないもの。家具家電は屋敷の方にもあるだろう。

 大きいし運ぶのも大変だ。業者を頼むのもありだろうが、中腹にある屋敷までとなると割り増し料金がかかりそうだな。

 もともと何もない部屋で実家に手伝ってもらって軽トラで持ってきたものだ。

 今どき家具は一揃いある物件がほとんどで、大家も借り手がつかずかなり安くしてもらっていた。置いていっても大丈夫だろう。


 時間は夕方から夜にうつり商店街の雑貨屋から大きめの旅行鞄を買ってきた。

 主に持っていくのは衣服。今は比沙子さんと使いの人たちだけで住んでいるわけだし必要だろうからな。歯ブラシやらバスタオルやらは、向こうで揃えてもらえると思う。

 俺個人として持っていきたいものはノートや筆記具。これは学校時代から使っているし、図書館の司書補助の時も大いに役に立ってくれたもの。これからまた覚えることが山のようにたくさんあるだろうから欠かせない。


「今日はこんなところかな。後のことはまた明日に考えよう」


 一日目、こうして日が暮れた。

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