第27話
俺も比沙子さんの話に引き込まれて盛り上がった。
目の前に提示れているのは事実だけだ。どうやって行われたかの過程が謎に包まれている。
乱暴ないい方をするなら、どうとでも解釈できるわけだ。
「雨乞いなどならば祈祷でもよかった。だけど、実際に土地を開墾するとなると人手がいる。これは祈るだけではどうしようもない。かといって、その時代にもお金にならないことをする人は少なかった。労力を増やすためには、神様に地上に降りて来てもらって物理的に手伝ってもらう必要があった。今でいうところの降霊術というわけね」
「降霊術ですか。確かにそこまでくると中々にオカルトといいますが、ディープな面が出て来ますね」
「うん。だからこの本は出版されなかった。逆にいえばしてはいけなかったのよ。分かってくれる人の間でだけ伝わっていけばそれでいい。そういうものになった」
話が段々と核心に近づいてくるのを感じる。
「どう? 引き返すなら、ここが最後のチャンスよ。これ以上はあなたのこれまでの日常を破壊することになると思う。それなりに楽しい、それなりに退屈なあなたの日常に別れを告げる覚悟はあるのかしら。もし引き返すなら、これ以上は何も言わず人形を私に渡しなさい。それで終わりよ。」
比沙子さんはゆっくりと俺の顔を覗き込んで真剣なことで聞いてきた。
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