第24話

「それで具体的にはどんな内容なんですか?」

「あなたが図書館にあったという本と読んでいるなら分かると思うけど、その内容にかなり飛躍的な内容が書かれているわ」

「あっちの本というと、この町の開墾に神様や土着の霊に力を借りたという話ですね」

「そう。あなた、この国にどれくらいの神様がいるは知ってる?」


 いきなりそう聞かれて俺は戸惑った。

 なぜなら神様がいると思うか、ではなくどれくらいいると思うかとなると、神様はいることが前提として話がなされている。確かにこの国にも八岐大蛇(ヤマタノオロチ)や天野叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)といった神話級の話はある。だから眉唾ものと断じることは俺にはできなかった。


「どれくらいって。いろんな神社があるし、それぞれにまつられている神様もいるし、100くらいかな」

「残念、不正解。答えは八百万(やおよろず)ね」

 比沙子さんの声のトーンが下がった。彼女の中では正解率100%のボーナス問題だったのかもしれない。

 何せあの本を読み、興味を持ってこの屋敷までやってきたという、かなりの少数派であるはずの俺である。そう思われてもおかしくない。

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