第22話

「この部屋です。生前に父がここで色々な書き物をしていたみたいですね」

「ここが……」


 書斎は意外にも洋風だった。窓にはカーテンが引かれていて開かれた形跡がない。書斎というだけあって本棚の数が一つや二つではなかった。照明はというと天井からだけでは本棚に邪魔されてあまり届いていなかった。そのためカーテンの影響もあり部屋の中は昼でもうす暗い。本棚ごとのダウンライトには驚いた。また作業机も3つもあり、それぞれにスタンドライトが2つも付いていた。


「ここまで徹底した書斎は見たことがないですよ。机が3つもあるなんて」

「そうですね。私も初めは驚きました。折角だから少し読んでいきますか?」

「ありがとうございます。そうさせてもらいますね」


 俺はまず机の上に置いてある本から手に取った。


「それに目をつけましたか。それなら私は何度も読みました。この町の興りに関して神秘的に解き明かした本で世には出ていない本です。裏表紙にも奥付にも出版コードがついてないでしょう?」

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