第12話

 突然の来客に驚くでもなく淡々とした対応だった。

 俺が知らないだけで意外と多いのだろうか?

 本当のところは屋敷の人しか知らないだろうな。

 もしくはあの女性の堂々とし過ぎているというものあるか。


 そんなことをつらつらと考えていた。

 もう少しじっくりと内装も眺めてみた。古めかしい印象は受けるものの、手入れは行き届いているようで埃などは被ってはいなかった。

 何人くらいのお手伝いさんがいるのか、さっきから女性以外の人を見かけない。


「お待たせいたしました。ここの主人がお会いになってもいいと仰せです」

「はい。ありがとうございます」


 女性の淡々とした対応が変わらない。俺も取り継ぎのお礼を言った。

 女性の出て来た奥の方には階段があり2階へと続いていた。

 階段の途中にはカーテンがされていて、そのまた奥を覗くことはできないようになっていた。


「それにしてもあの本のことでここを訪れる人が……」


 そのとき奥のカーテンが揺れた。

 中からゆっくりと降りて来たのは何と、俺と年の変わらない程度の女の子だった。

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