第6話

 図書館特有のしんとした雰囲気と冷たい空気が漂っていた。

 ここは貸し出しをできない本が集められている。ここの区画で読んでいくのならば自由なのだが、持ち出しはできない。持ち出しができないから貸し出しもできないというわけだ。

「さてと、やりますか」

 俺は区画内と並ぶ本棚を見回した。図書館の中でも奥のほうの場所のためか、あまりここを利用する利用者は少ない。収められている本も難解なテーマの本が多かったり、500ページをゆうに超える分厚い本や、歴史資料といった特定の条件でしか使われない本たちだ。

 それでもさすがに掃除をしていないわけでもないから、歩いても埃が舞い上がったりはしない。

「書架の整頓と。今日は歴史資料と古文書の辺りだな」

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