第5話

「おはようございます」

 俺は今のバイト先である神奈町の町立図書館へ入った。

 そんなわけでここは神奈町。

 元々は山林だった場所が江戸時代に開墾され農村として興った町だ。

 人口の3分の1は農家で占められている。

 ご多分に漏れず俺の家も実家は農業をやっている。だから俺も田植え時期や収穫の時期は手伝ったりもしているが、それ以外の時期は爺ちゃん、婆ちゃん、母ちゃんの、いわゆる3ちゃん農業だ。父さんはというと町役場に勤めている。


「おお、おはようさん」

 館長があいさつを返してくれた。

 この図書館は主に館長、司書長、受付、アルバイトの司書補助(つまり俺など)となっている。

 もちろん受付の人も1人ではなく複数人で順番にシフトを組んでいる。

「今日は帯出禁止の区画の整頓でしたよね。行ってきます」

 司書長に声を掛けてから俺は小さな脚立を持って書架へ入っていった。

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