第38話 薬師育成3・準備完了
はぁ、タメ息ついていてもしかたがない。
取り敢えずは、
・探索者としてのJobスキルが生えやすいと思われる人材の傾向についての情報
(インドア系(頭脳派)の性向を持つ人物よりアウトドア系(脳筋派)の性向を持つ人物の方が早めに(初級)職業Jobスキル:探索者は生えやすい傾向にある。ただし、薬師になる為に有利な2次職スキル:魔法使(固有の技能スキルに魔力操作を含む)になる者には、頭脳派が多い。)
・製薬スキルが生えやすいと思われる人材の傾向についての情報
(製薬スキルに関しては、データ不足で明確な傾向は提示不能。若干、頭脳派の方が若干生え易い傾向があるかも知れない程度のデータしかない。ただし、製薬作業には魔力操作スキルが必須となるので、魔法使があれば有利と思われる。)
・適性が無ければスキルは生えない可能性が高い旨
(妻の様に死ぬる程アンチエイジング液を作っていても、スキルとして生えない事から、適性なり何なりの生成に重要な何かがあると判断した。)
・業(ぎょう)としての探索者の経験が少ないと上級職(2次職?、3次職?)としての薬師になれない可能性がある。
(私は、探索者としての経験が殆ど無いため、技能スキルとして魔力操作スキルや製薬スキルは生えているが、職業スキル:薬師は生えていない。)
・第1期生の受け入れ可能性枠(とりあえずMax30人)
・最大数受け入れた場合に必要となる研修用機材で外部調達が可能な物のリスト
・その他必要となる施設(トイレや休憩所などの厚生施設)・物資のリスト
・準備費用(必要になりそうなものとそれらをダンジョン内に設置する為の費用、定額報酬など)
等をリストアップして、基本契約の同意事項に基づく提供・支払いを要請する事にした。
この支払いや物資の提供を受けて、研修生の受け入れ準備を行う約束になっており、この件に関しては、うちのダンジョンからの持ち出しは一切ない約束だ。
因みにだ、今回の人材育成に関して、深層に設置されている農業エリア、製薬エリアに研修生が立ち入る予定は一切設けられていない。
今までの関係から、そこまで譲歩してやる必要性は無いと判断した。
また、少なくともうちのダンジョン内では、製薬エリア(俺と妻)、産廃エリア(産廃業者)、葬儀エリア(葬儀参列者)を除く所謂ダンジョンエリアにトイレ・レストルームなどを含む厚生施設は設置していない。
何せ、ダンジョンに自宅が隣接している…と言うか自宅の中庭にダンジョンが出来たんだから、休憩や用を足したくなれば自宅に帰ればいいのだ。
流石に、製薬中に帰るのは難しいので、そこだけには最低限用を足せるように設備を整えたが、レストルームで休むのなら自宅に帰る。
余りきれいな話では無いので、殆ど語られる事は無いが、ダンジョン内での排泄物の処理は、野〇ソ・野●ョ▼◇▼が基本となる。
短期探索場合は、前日から水分の吸収や食物の摂取は控えて、そう言うモノが出難くするのが常識だ。また、それを嫌う向き用に使い捨ての紙おむつ的な下着(元々は介護グッズだそうだ)や、携帯用の簡易トイレ的なもの(元々災害支援グッズだそうだ)も発売されている。
いずれにせよ、ダンジョン内で長期放置された状態の動かないモノはダンジョンに吸収されてしまうので、過密状態のダンジョンでも無ければ大きな問題になる事はまず無く、衛生的な意味でも問題にならない。
因みに、某イベントの時にはレンタル業者に頼んで期間限定で仮設のモノを設置してもらい、コアにはそのエリアにあるものだけは吸収しない様に命じておいた。
今回の件に関しては、そもそも今後も継続的に行われる予定なので、レンタル品を仮設するのではなく、それなりにちゃんとしたものを設置する予定だ。
ただし、研修生は基本的に通いの予定と聞いているので、本格的な宿泊施設は用意しない。せいぜいがレストスペースで休憩・仮眠を取れたり、簡易キッチンレベルの施設でお湯を沸かしたりレンチンして飯を食う事が出来る様にする程度の予定だ。
そんな感じで準備を整えていると、オーダーした荷物が届き始めた。
正直どんなものが届くのかまでは確認していなかったので、ガワはものに合わせて準備する形になるのだが、一応1回最大で30人程度が過ごす場所になる予定である。
オファー段階では、それなりのレベルのモノを要求する様にしておいた。
例えば、トイレについては、男女共に同じ仕様で、洋便器+ウォ●ュ■ッ▲の形で男子用×5、女子用×5、共用(多目的)の個室仕様×6で計16セット、実習室を挟んで左右のいずれかに、男子用×5+共用(多目的)×3,女子用×5+共用(多目的)×3の4室の形で設置する予定だ。
便器・ウォ●ュ■ッ▲一体型の自動で流す機能付きの奴は、使っていると馬鹿にされた気分になって嫌なので、自分で取り付けるタイプの物を道を選ぶ事にした。
小便器は無しだ。
同じ様に給湯設備や電子レンジは6セット(一斉に並んでも最大でも4人待ちで済む)、食堂兼レストルームの椅子に加えて休憩用の寝椅子も全員分30脚用意して、女性用5×2、男性用5×2、共用5×2の6部屋に分けて使う事にした。
薬科の世界は女性の方が多いと言う話も聞くので、どう言う人員配分になっても大丈夫な様に配慮した形だ。
想定以上に男女比が偏っていたら、その時はその時で再度調整する様にしないとな。
更衣室も同じだ。実習の前後には更衣はマストになるだろうし、今後男女で最も男女共用と言う訳には行かないから、6室用意して、男女比に応じてロッカーを動かせばいいだろう。
問題はシャワールームか…
トータルで考えれば使用頻度があまり高くないんだろうが、初期に実施するダンジョン研修の後で着替える前にさっぱり出来る様にしようするとマストな設備だ。
宿泊先までどの程度時間がかかるのかは知らないが、その間汗まみれと言うのも可愛そうな話だしな。
これが、探索者なら斟酌しないんだが。
うーん、これは3部屋で15器設置で良いか。男性更衣室用5×1、女性更衣室用5×1、共用・調整室用5×1で多少の不便は我慢してもらうと言う事で良いよな。
製薬施設については、どうするか悩んだでのだが、ぶっちゃけ30人が30人、同時にスキルを身に付けて製薬研修に移行出来るとはとても思えない。
適性に応じてスキルを身に付ける事の出来るタイミングも違うがずなのだ。
そうなれば、どうしたって、設備を遊ばせる事になる設備が訳で…
せっかくの真っ新な設備だと言うのに、使われないと分かっていて埃を被るに任せると言うのも何とも言い難い気分になる。
だからと言って、研修生全員が同時に研修作業を出来る準備をしない、と言うのもおかしな話だろう。
色々悩んだが、とりあえず、箱(部屋)だけは全員収容できる様に広めに用意して、設備は半分だけ封を開けて組んでおくことにし、残りは現状に合わせて足りなくなったら組むことにした。
そんな感じで、日常業務を熟しながら準備を重ねていくうちに、とうとう開講日がやって来てしまった。
ここで、一つ大きな想定違いが発生した。
実習用の準備した設備(実習台)は、この国の成人の男女の平均身長から想定される座高長からやや低めの70cm(女性の平均身長が157cm位の場合の平均座高長を85cm位になると想定してそこから-15cm位の位置に作業台の板面があると椅子に座った状態でも作業し易いのではないかと想定)に設定しておいたのだ。
しかし、研修1期生(結局、最大枠の30人派遣されてきた。)は、全般に小柄な人物が多く、女性の平均身長で言えば153cm程、中でも女性研修生の1名が143cm程しか身長がなかった事から、いささか高めの使い辛い作業台になってしまったのだ。
この件について協議した結果、彼女に関しては、実習台の前の床を上げ底にして専用で使ってもらう事で対応する事になった。
因みに、一応製薬会社からは簡単な履歴書(経歴情報)の様なものは送られてきていて、その中にこの種の情報と言うか、健康診断のデータもあったのだが、プライバシーの保護がどうだのとか、個人情報の取り扱いがどうとか叫ばれる様になって以来、その種の地雷もどきにあえて触る様な事は推奨されておらず、必要最低限のデータを統計的にチェックしただけにとどめていたのだが、それが災いした形になった訳だ。
いきなりの波乱を含みながらではあるが、いよいよ薬師研修がスタートした。
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