第5話 それで

僕は急に立ち止まった。空を見た。首が痛い。昨日ずっと流れ星を探していたせいだ。両サイドの耳から首筋。痛い。痛い。痛い。伸び縮みするゴムじゃない人間の体、本当に作りが雑だ。まあ、こう感じるのはいつものことだ。仕方ない。でも今は上空が気になる。横にいるお姉さんよりも気になる。とりあえず、時間はいつも通りで矯正されている。遅刻の心配はなくなった。これで期末テストの追試の心配もない。僕の歴に傷はつかない。僕は頭がいいからね。「ケイさん、すごい自信ね。」「お姉さん、急に僕の頭の中に入ってくるのやめてくださいね。せめてノックするとか、プライベートがなくなります。」「あら、ごめんなさい。この状況で、あなたがあまりにも日常的なことを考えているのが不思議でつい。」「お姉さん、当たり前じゃないですか、今、ぼくが地球人ではなくても今はただの高校生。今日のテストのほうが重要に決まってるでしょう。」「なぜケイさんは、この状況に驚かないのですか?」「驚く?まあ、全く驚いていないといえば嘘になります。ただ、地球人ではないと仮にしても何も今の僕には問題はありません。不都合なことはないです。ですから何も驚くことはないです。」「えー、さすがですね。動じないとは。」「お姉さん、何か勘違いしていませんか?僕がお姉さんが言うところのアトリナ人だからと思っていませんか?間違いですよ。僕は僕だから動じないのですよ。もう一度言います。僕だから。」「ケイさん、本当に自信家のようですね。悪いことではありません。私達は気高い民なので。」「お姉さんちゃんと僕の言うこと聞いていますか?僕は僕です。すべての決断は僕が決めます。」僕は機械的な冷たい鉄の目でお姉さんを睨みました。ただ悲しいことにこの僕の気持ちはお姉さんには届いていないようでまるで親バカの親の目で僕を見つめ返して「大丈夫です。ケイさん」「はあ?」「お姉さんこそ大丈夫ですか?僕たちかなり話がかみ合わずにずれている気がします。」「何か不都合なことがありますか?」「ないです。」お姉さんはこの後、僕の反応にかまわず話を続けた。興味がない僕は頭の中で「だめだ。」と僕はつぶやいた。そして、隣のお姉さんは、はさておき、僕は再び上空を見た。真っ青な澄んだ空でキラキラと美しい何かが光っているのが見えた。それは青に映えてとてもとてもきれいで。次の瞬間ぼくは空に立っていた。さっき地上から見たキラキラと美しいものが目の前にある。それで僕は、僕は手を伸ばしてしまった。











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