第2話 まだ

いつも変わらない朝が始まる。枕の下で携帯を探す。5:50。タイマーの10分前に必ず目が覚める。いつも通り。不思議なことに僕は小さい時から何故か10分ほど前に必ず起きてしまう。変な特技だ。頭の中では6:00ジャストのタイマーが鳴っているんだが、まあ、そのおかげで兄貴のような遅刻をせずに良い子でいられたけど、まあ、それだけ。まあいいか、それにしても人生初の流れ星を見た夜。とりあえず不思議な夢でも見るのかと期待したものの残念。全く何も見ていない。全くいつもと変わらない朝だ。ガラス越しに真下の横断歩道の信号が青に変わるのが見えた。黄色帽子の小学生が列にならんで渡っている。登校時間。えっ?待て待て僕の携帯は6:00。6:00のはずだ。僕はもう一度携帯を見た。6:00だ。えっ?じゃあ外の小学生は?

そうだ今日は遠足かなんかで登校時間が早いとか?「バーン」勢い良くドアが開き勝ち誇った顔で兄貴が言った。「お先ー」「はあ?!」僕は急いで台所へ、時計見た。8:05。遅刻だ。期末テスト。両親はすでに出勤している。僕は時計を睨んだ。時計が笑った。夢だ。これは夢だ。人生初の流れ星。何か期待した僕が悪いのか?変だ。変だ。おかしいよ。Happy を期待した僕が悪いのか?2時間10分時間が無くなった。

僕は人生初の遅刻で慌てている。対処法が浮かばない。高2男子。以外と僕はイレギュラーに弱いようだ。とりあえず制服に着替えてカバンを持って玄関へ「はじめまして私、人間型の宇宙人です。地球時間、買取に来ました。」「おいくらですか。」「?」「はあ?」マンガのようなやりとり。落ち着け、落ち着け。僕は僕に言い聞かせた。「ケイさんですよね。お母さんに聞いていませんか?あなた地球人ではありませんよ。私と同じ宇宙時間を売買する民です。「ちょっと待ってください。頭が追いつきません。それに自分で言うのもなんだけど、僕、頭いいですよ。なので・・・」僕は目の前の状況を入るだけ頭に入れ込み情報処理した。「答えが出ました。事実として受け止めます。」頭で分かったが「ごめんなさい。お姉さん、まだ無理です。まだ。」僕は玄関を出て走った。



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