流星群

京極 道真  

第1話 見た

なんとなくテレビのニュースが耳に入った。今日、今まさに地球に流星群到来。テレビのアナウンサーの声が耳に残る。「22時。今がその時です。」寒いが足が3Fのベランダへと向かった。いや、嘘だ。自分の意志で向かった。怠け者で億劫な僕が動いた。今までも地球への流星群は何度も到来していた。ただ今までは全く興味がなかった。全く。まあ、たまに空が気になり見上げることもあったが今日のこのざわつきは、見なければいけないとの衝動が頭の中に走った。何かが来る。だが寒い。ベランダのサンダルに足は裸足。靴下でもはきたいところだが時間がない。少しでも離れたらその瞬間に見逃してしまうかもしれない。だが寒すぎる。無理だ。一度部屋に戻り靴下に厚手のコートを着て再びベランダへ。小さいアルミの椅子に座り空を見る。馬鹿みたいに真上をずーと見る。首が痛い。だが見なければ、見なければと不思議に焦る。学校の宿題でもあるまいし、見なければ見ないで誰に叱られるわかもないけどね。そんなことを勝手に頭の中で自問自答してると真上中央に火星が輝きやっぱり火星はきれいだなあーと思った瞬間。火星右横から短くこちらに向かって流れ星が。見た。見た。見たぞ。生まれて初めての流れ星。見てしまった。今まで全く興味がなかった。機会がなかった。チャンスもなかった。だが今日、見てしまった。僕はあまりの短さと感動無き感動を感じながらまだ空を見ている。よし。もう一回。もう一度。嫌な人間の欲深さが出てしまった。僕も人間?だったのか。ほっとした感情が湧いてきた。だがもう一度見たい。願いごとをしてみたい。3回唱えると願いが叶うらしい。世間に疎い僕でもこのくらいの情報は持っている。でも寒い。やっぱりもういいや。部屋に戻った僕はネットに向かう。必死で流れ星をググる。まるで恋占いにはまっている女子のようだ。僕はググった。ググった。軽く2時間が過ぎもうすぐ真夜中1時過ぎ。どんな答えが欲しくて?僕は僕の答えを探した。ない。ない。ない。僕の求める答えと同じ回答がググっても出てこない。目が痛い。寝よう。今日は寝よう。生まれて初めて見た流れ星。答えのないネットの光が白い壁を照らした。今日は寝よう。ネットの白い光が静かに星形に変わりスーッと消えた。

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