3話

 天使は向かってくる銃弾を全て避けるか、弾き返した。


「大丈夫?」

 敵が全て撤退した頃「天使」がウィルに向かって降りて来て、言った。

「え、あ、はい」


「私はディアナ」

「……ウィル、です」

「一緒に行きましょう」

 ディアナはウィルを抱えるようにして飛んだ。

 そして、光学迷彩によって隠された飛行母艦の中に入る。

「おかえりなさいませ、ディアナ様」

「ええ、ただいま」

 ディアナはメイド服を着た少女と挨拶を交わす。

「アトランティスまで向かって頂戴」

 操舵室に指令を出す。

「承知いたしました」

 そうすると、飛行船の高度が下がり、海の中に入っていく。

 アトランティスとは月陣営の基地の一つで、海中にある。

 水陸空両用の母艦である。ウィルは窓から魚が泳いでいる様子を見ることが出来た。

「綺麗……」

 今まで中東の砂漠を生きていたウィルにとって、海、しかも海中を見るのは初めてだった。

「この部屋へ」

 母艦の艦長室だった。


「これから、よろしくね」

「あの、俺は……」

「あなたは、私の剣なのだから――――」



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