2話

中東。ソマリ国国境付近。

 鳴り響く銃声、誰かの悲鳴、人が焼ける臭い。

「クソッ、また誰かやられた!」

 崩れた壁に隠れ、ウィルは声を荒げる。手に銃を持った彼の顔は怒りが浮かんでいた。

 昨日、一緒に飯を食った仲間が目の前で死んでいく。

 悲しむ暇もなく、銃弾は迫ってくる。

 

 銃弾が隣の奴に命中した。俺は咄嗟に物陰に隠れる。

 弾を避け損ない左足を貫通する。


 目の前にはパイロットの顔が分かるくらいに殺戮機械が迫っていた。


 死んだ―――――――。


 そう思い、目を瞑った。



 数秒経っても、痛みも何もない。

 恐る恐る目を開けて、見る――――。


「天使……?」


 ウィルを守るように、羽の生えた人物の後ろ姿があった。

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