ウィル
1話 使い捨ての駒
傭兵。
軍と違って金さえ出せばどこにでも付く便利な集団。忠誠心なんて毛ほどもないから、平気で所属を変える。裏切り、スパイ、日常茶飯事だ。
武器コンテナの中に集められた集団には少年が目立つ。皆、難民キャンプで拾われ、兵士として戦うことを強いられていた。親は死んだか殺されたか、恵まれた生活を知らず、ただの使い捨ての駒として使われるだけの存在。
「ハァーイ、皆さん、今回は月側陣営の援護が任務となりましたぁ。ソマリ国の東側国境で月の軍と合流します。約束は三日後。まあ飛ばせば間に合うでしょう。という訳でさっさと荷物をまとめて出発してくださーい」
指令台に立つ少年の声は場所にそぐわない明るさがあった。兵士は皆無表情なのに、この指揮官の少年は変に笑っている。
エルフィン・フォールス。
若干十六歳にして、プリズム指揮官。
今回、戦地に出てもいない彼は傷一つ負っていない。
ウィルは憎しみを込めた目でエルフィンを睨みつける。
(死んだ連中に対して手向けの言葉一つ言いやしねえ。まあいつものことか……)
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