下剋上 2話

 俺とばあさんで、孤児院を作った。

 ばあさんはアップルパイが自慢の料理だから、名前はアップル孤児院。

 俺の名前もオルフェウス・アップルになった。やけにメルヘンだ。



 俺は十六になった。

 士官学校は給料が良かったので、そこに行くことにした。

 ばあさんは「やめてほしい」と言ったが、俺は聞かなかった。


 士官学校の訓練は厳しかったが、スラムよりはマシだった。

 飯が食えるし、寝る場所もある。


 俺には案外、軍略の才能があるように思えた。


「お国のために」とか、そんな高尚な考えはない。自分や仲間が少しでも多く生き残る選択を取る。それが俺の方針だった。あと、なるべく楽して勝つ。勝てそうになければ、負けないこと。上手く逃げること。



 軍に入って二年が経った。

 王様が軍を改革するそうだ。

 俺は、その新チームのリーダーに選ばれた。

 古臭いジジイ共を追い出して、若い力でやっていく。

 面白そうじゃないか。

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