第24話 VS魔人戦(2)
「クックックック⋯⋯」
突然エライソの攻撃を食らい劣勢な魔人が不気味な笑みを浮かべ始めた。
「何がおかしい? 死の直前で頭がいかれたのか?」
「ああ⋯⋯おかしいね。これから粋がってる雑魚の絶望に落ちた顔を見るのは」
「雑魚⋯⋯だと⋯⋯。この俺様がそこらの有象無象と同じだというのか!」
「いや、それは雑魚にたいして失礼だな。貴様は後ろからチクチクと刺す蚊のような存在だったな」
「この俺様を虫けら扱いするなんて許せねえ! 死にやがれ!」
エライソはこれまで通り死角から黒い矢を放ち魔人の魔力フィールドにダメージを与えていく。
「でけえ口を叩く割にはなす術がねえじゃねえか! 魔人なんてたいしたことねえな!」
「ほう? この虫けらは喋るのか。珍しいから飼ってみるのも一興だな」
「こ、この野郎。殺す! ぜってえに殺す! 2度とその口を開けないようにしてやる!」
この時エライソは魔人の挑発に乗り完全に頭に血が昇っていたため、居場所が特定されるのは容易であったが、魔人はエライソのことは気にせず右手を天高くかかげた。
「グラビティブレード」
すると何もない所から黒い禍々しい剣が現れ魔人の手に収まる。
「ま、まさかあれが
魔神器は魔人に取っての神器のようなものだ。先程より驚異な存在になったことは間違いないだろう。
魔人が魔神器を召喚したことによりエライソは警戒心を高め、冷静になる。そして心を落ち着かせて息を潜め、魔人の様子を窺っているため周囲は静寂に包まれた。
「何も聞こえなくなっちまったぞ。殺られちまったのか?」
「バカなことを言わないで下さい。先程エライソ様から魔神器という言葉が聞こえたので慎重に行動しているだけです」
この時ハーカスとスリエは魔人から離れた場所にいたため、エライソが殺られない限り自分達の所に攻撃は来ないと思っていた。
しかしその甘い考えはすぐに間違いだと気づく。
「先程まで蚊のように周りを飛び回っていたかと思えば今度はかくれんぼか⋯⋯ならば害虫駆除といくか」
魔人は右手に持っていた剣を両手に持ち、そして力強く地面に突き刺す。
「
魔人が言葉を発すると突然草木の陰に隠れていたエライソは地面に膝をつき、瀕死の虫のように地面に這いつくばることになる。
そして神器を手放してしまったせいか
「いてえ⋯⋯身体中の骨が折れちまう⋯⋯」
「う、動けない⋯⋯何ですかこれは⋯⋯」
2人は地面に倒れ、苦痛の表情を浮かべながら立ち上がろうともがいていた。
「て、てめえ何をしやがった⋯⋯」
「少しこの辺り一帯にいる生物の身体を重くしてやっただけだ。たかが2倍程度で立つことができないとはやはり人間は脆弱だな。おっと人間じゃなくて虫けらだから仕方のないことだったな」
「くっ!」
エライソは言い返そうにも身体を動かすことが出来ず、ただ憎しみの視線を向けることしか出来なかった。
「まずは邪魔な物を消させてもらう」
魔人はゆっくりとエライソの元へと向かい剣で斬りつけると魔力フィールドがあっさりと破られた。
「やはり虫けらは地面を這いつくばるのがよく似合う。ハーッハッハッ!」
「こ、この野郎⋯⋯」
魔人はエライソの頭を踏みつけ高らかに笑い優越感に浸っていた。エライソはこの状況をとても受け入れられるものではなかったが頭に乗った魔人の足を振り払うことが出来ない。
「や、やべえぞこれは」
ハーカスはこのままでは魔人に殺されると考えて重い腕を動かし、腰につけていた信号弾を天に上げた。
「仲間を呼び寄せたのか。こちらから殺しに行く手間が省けていい」
「お、お前なんか俺達の仲間がくればイチコロだからな。に、逃げるなら今のうちだぞ」
「ほう⋯⋯それは楽しみだな。ならば俺の姿を見ても逃げれないようにそれまで貴様らの命は生かしておいてやろう。人間には助け合いの精神とかいう下らないものがあるからな」
「仲間なんかいらねえ! 俺がお前を倒してやるから待ってろ!」
だが魔人は既に弱者と認識したエライソの言葉には興味を示していなかった。
「何も出来ぬ虫けらは口を開くな」
魔人はエライソの言葉が目障りだったのか顔面を踏みつける。するとエライソはその足をかわすことも出来ずまともに食らい気絶してしまう。
「エライソ様!」
「さて、お前達が余計なことを口にして人間共に逃げられては困るから意識を奪わせてもらうぞ。2度と目覚めることはないかもしれないがな」
そして魔人はエライソと同じ様にスリエとハーカスの魔力フィールドを消失させて意識を奪い、人間が来るのを待つのであった。
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