第11話 水色の希望
めぐみもそうだが。
花鈴や周りの連中に助けられている。
俺はその人達に感謝の気持ちを伝えたいと。
日頃の感謝のプレゼントを買った。
お年玉を貯めていた分だ。
「にーに」
「.....おう。めぐみ」
「どうしたの?突然こんなの.....」
「.....お前.....早速着けているのか?」
めぐみは髪留めを買った。
それは.....コイツの髪の毛に似合う髪留めだ。
そしてめぐみが好きな色。
オレンジの髪留め。
俺は極端に嬉しそうなめぐみを見る。
バレリーナの様な回転をして喜ぶ。
「お爺ちゃんには古本。そしてお婆ちゃんには割烹着。どうしたの?一体」
「.....日頃の感謝。.....まあ色々だな」
「.....そんな配慮しなくて良いんだよ?にーに」
「.....まあ俺がやりたいって思ったしな。.....全然余裕だ」
それから俺は笑みを浮かべる。
するとめぐみは、じゃあ今度お礼しなくちゃねぇ、と笑みを浮かべる。
俺は、要らないよ、と断りを入れるが。
めぐみは、そんな事言わないの、と頬を突いてくる。
「せっかく美人が御礼をしたいって言っているのに」
「お前さん.....自らを美人って言うのは如何なものかな」
「まあそうだけど。今だけ使わせて。.....だからお礼がしたい。私は」
「.....そうか。楽しみにしてるよ」
そんな感じで柔和に会話をする俺達。
それから、ところで、とニヤッとするめぐみ。
俺はビクッとなった。
そしてめぐみは切り出してくる。
「ここまで来るとにーには例のお2人さんにも購入したんでしょ?プレゼント」
「.....ま、まあな.....」
「それだったらきっちりしないとね。にーに」
「.....ああ。.....答えも出さないとな」
「.....それは無理しなくて良いと思う。.....みうさんも分かっていると思うから」
ふむ、と思いながら俺はめぐみを見る。
めぐみは俺に対して柔和になった。
それから、にーに。何時も有難う、と言ってくる。
俺は頭を下げて、それは俺もな、と顔を上げて笑顔を浮かべる。
☆
翌日は月曜日だった。
というか雨が降っている。
俺は空を見上げながら顎に手を添えつつ。
玄関から歩き出す。
今日はめぐみは部活動に先に行った。
その為に俺は後ほどの出発となる。
「先輩」
「.....ああ。みうか」
「.....はい。.....どうしたんですか?空を見上げて」
「.....いや.....ゴメンな。ちょっと昔の事を思い出していた」
「それは.....つまり.....実家の」
そうだな、と言いながら眉を顰める。
だから雨の日は嫌いだな、と笑みを浮かべた。
みうはそんな姿を見ながら何を思ったか。
俺の腕に腕を絡めてきた。
「お、おい.....!?」
「えへへ。相合傘ですね」
「お主は.....全く」
「.....私.....先輩が悩んでいる姿を見るのが苦痛です」
「.....!」
俺は赤くなりながらみうを見る。
みうは俺を少しだけ複雑な顔を浮かべる。
その姿に俺は目線を逸らした。
するとみうは、先輩。私は.....貴方が好きです、と言ってくる。
俺はまたボッと赤くなった。
何を言い出すんだ!?
「.....私は貴方に昔、助けられた。.....だからその分.....貴方に恩返しがしたいです」
「.....そうか。まあそれは有難いけど.....あ。そうだ。みう」
「.....何ですか?先輩」
みうはニコニコしながら俺を見てくる。
俺はその姿を見ながらそのプレゼントを取り出した。
傘を持ちながら斜めにならない様に。
そして渡した。
「.....え.....先輩これなんですか?」
「.....お前にはネックレスだ」
「.....お前って事は他の人にも渡しているって事ですね?いやーん」
「うぐ.....まあそうだが.....」
「.....先輩」
みうを見ているといきなり俺の持っている傘を斜めにした。
そして俺の頬にキスをしてく.....ホァ!?
俺は真っ赤になりながら頬を押さえながらみうを見る。
みうはそれに構わずプレゼントを開いた。
そして手に持って目を輝かせる。
「.....わ.....良い色ですね。.....水色の髪留め。私の好きな色です。.....え?知ってたんですか?」
「.....お前の入学の思いの文章に書いてあったろ。水色の様な自由な透き通る様な好きな色で生きていきたい、って」
「.....もー。先輩。恥ずかしいです。あんなものを覚えているなんて」
でもそんな事より。
先輩。私は.....今凄く幸せです。
と満面の笑顔で紐の付いた髪留めを髪の毛に着ける。
それからまた笑顔になる。
俺は、どうだ?、と聞いてみる。
スマホの画面レンズでみうは自分を見てから.....じわっと涙を浮かべた。
そして涙を拭う。
「.....すっごく可愛いと思います。.....有難う御座います。先輩.....その。.....先輩から見てどうですか?」
「似合ってる。.....可愛い。とても」
「まあもう。直球ですね。ありきたりです」
しょ、しょうがないだろ、と慌てる俺に。
みうは、でもですね。それが先輩で.....それで私の大好きな人です、と同じ様に直球で答えた。
そしてまたプレゼントを身につけたまま寄り添って来る。
俺はその姿を見ながら頬を掻きつつ苦笑いを浮かべながら学校に登校した。
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